『怒られることで愛情を感じる』と言った17歳の娘へ
子育てって、本当に難しい。
良かれと思ってしてきたことが、子どもにとってはありがた迷惑だったり。
思春期になると、その積み重ねが異性との付き合い方にまで表れることがあるのだと、私は初めて知りました。
去年の年末。
私は母親になって初めて、娘に心から謝りました。
きっかけは、たった一言でした。
「怒られることで愛情を感じる」
17歳の娘のその言葉に、私は何も返せませんでした。
年末、私たちは2時間向き合って話をしました。
始まりは、本当に些細なこと。
こんなに大きな話になるなんて思ってもいませんでした。
娘には高校生になって初めて彼氏ができました。
照れながら報告してくれた日のことを、今でもよく覚えています。
年頃の娘が、母親にそんな話をしてくれたこと。
そして、大切に思ってくれる人ができたこと。
私は自分のことのように嬉しかったのです。
交際は順調でした。
でも半年ほど経った頃、少し気になることがありました。
娘は男友達とも仲が良く、電話やメッセージのやり取りも頻繁でした。
私は何気なく聞きました。
「彼氏は心配しないの?」
すると娘は笑いながら言いました。
「だって、心配してくれないもん。」
そして続けて、
「怒ってくれるの待ってる。」
思わず私は聞き返しました。
「怒られるためにしてるの?」
娘は少し考えてから、静かに言いました。
「うん。怒られることで愛情を感じるから。」
その瞬間、胸が締めつけられました。
私は娘に何を伝えてきたんだろう。
何を見せてきたんだろう。
そう思わずにはいられませんでした。
話を続けるうちに、自然と夫の話になりました。
娘は言いました。
「お父さんは、欲しい物は何でも買ってくれた。」
「送り迎えも、お願いしたらすぐ来てくれた。」
「部屋も、私の言う通りにしてくれた。」
私は「それって大切にされてたってことじゃないの?」と聞きました。
すると娘は首を横に振りました。
「違う。」
「一度も、お父さんから愛されてるって感じたことがない。」
私は言葉を失いました。
娘は続けました。
「怒るところは怒ってほしかった。」
「ダメなことはダメって言ってほしかった。」
「私は、お父さんに向き合ってほしかった。」
その言葉を聞いて、私は気づきました。
娘は彼氏に怒られたいわけじゃなかった。
“愛されている”という実感が欲しかっただけなんだ、と。
あの日、私は初めて娘に謝りました。
愛情は、与えたつもりでは届かない。
相手が「愛された」と感じて、初めて愛情になる。
母になって17年。
娘から教えられたことは、きっとこの先も忘れないと思います。
