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【展覧会ログ】病みあがりのリハビリ散歩と、100年つなぐという思想|《つぐ minä perhonen展》(東京会場)@世田谷美術館

 こんにちは、ヒロミヤです。
 昨年、子宮体癌の手術を受けました。療養を経て、今はわりと元気に復帰しています。
 さて、その手術前に「元気になったら行こう」と決めていたことがいくつかあり。
 そのうちのひとつが、世田谷美術館で開かれている《つぐ minä perhonen展》を観に行くことでした。
 世田谷美術館はとても素敵なところなのですが、最寄りの東急田園都市線用賀駅からだと20分近く歩きます。(または各方面からバスが利用できます。)
 病み上がりにはキツい行程です。
「はやく行けるくらいに元気になりたい」と楽しみにしていました。
 お目に留めていただき、ありがとうございます。おつきあいいただければ幸いです。


用賀駅から遊歩道を歩く

 宇宙までそのまま届くような青い空が広がる、あたたかな冬の日。
 用賀駅からは、《世田谷美術館》《砧(きぬた)公園》の案内を辿って歩いていけば着きます。徒歩18分ほどです。
 途中、百人一首の和歌がずっと歩道沿いに埋め込まれています。古の和歌を口ずさみながら歩くなんて、何だか楽しい散歩道です。
 住宅街の中を抜けていくのですが、このあたりは街区もゆったりしていて、町全体、民家も何だかおしゃれでした。

遊歩道《いらかみち》沿いに歩きました
百人一首がタイルに埋め込まれています
ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しと見し世ぞ 今は恋しき
藤原清輔朝臣

砧公園をてくてく歩く

 世田谷の知名度抜群の公園、砧公園。車で用賀インターに出る時に横を通るのですが、美術館訪問以外でここに来ることは、私はありません。
とにかく広い。広大な敷地を誇る都立公園です。
 都内なのにここだけ人口密度が低すぎて、勝手が狂うような不思議な空間です。
 端から入って、すっかり冬木立の小径を美術館へ向かいます。ここからさらに1.2km。
 てくてく、てくてく。
 後ろから来た若いカップルに追い越されても気にしない、気にしない。たとえゆっくりでも、また、こんなに普通に歩けるようになったんだ、と思うと、感慨深いです。

砧公園入口
ここからさらに森の奥へと進みます

《つぐ展》を観に行こう

 実は昨年の暮れ、皆川明さんのトークライブ@スパイラルホールに行きまして。
 前回の《つづく展》@東京都立現代美術館(2019)と、今回の《つぐ展》@世田谷美術館(2026)の違いについても話題にされていました。
 このイベントのメモは取っていないので、ざっくりと理解したことをまとめます。
 前回は、「せめて100年は続くブランドを」という意識でやってきた、ミナペルホネンの継承、次世代を意識するということ。デザインや作業を続ける、続く、ということをテーマにしていたそうです。
 今回は、その前提は同じなのだけれども、横の広がり、たとえばテキスタイル作りに関わる職人さんや工房、工場といった、生みだす場や空間、技への広がりも含めて、継ぐ、次世代に残すということをテーマにしているのが違いなのだそう。
 放っておけば失われる一方の織物や染色の技術への危機感。まだそれができる職人さんがいらっしゃる今の時点でテキスタイルに留めておけば、またさらに次の世代に残していけるということ。

 こういうふうに100年のスパンで物事を考える人や組織、大好きです。

 コスパ、タイパが重視される今の時代に、これはものすごい思想と実践です。レトロなだけではない反骨的なクリエイティビティに感心し、面白いとも、愛だなとも感じいったわけです。
 まだ身体が万全とも言えない今、決定版のような《つづく展》を6年前に観ているから、今回は無理して行かなくてもいいかな、という諦めも少しありました。が、この話を伺って、やっぱり行きたい! ミナペルホネンの現在地をみておきたいよねぇ、という気持ちが強まったのでした。

2025年 皆川明さんのトークイベント舞台

つぐ minä perhonen

 高い天井を活かした空間づかい。
 大胆さと繊細さが同居したデザイン。
 のびやかさと緻密さが絶妙にバランスをとりあっている色彩。
 ソファや椅子、絨毯、タペストリーまでミナペルホネンの世界。

ウェルカムボードのような壁画
入り口を飾るタペストリー

 ここに居るだけでヒーリング効果があるような空間でした。

最初の展示コーナー
一面のファブリックボード
初期の作品
マネキンさんも素敵


 今回はインタビュー動画、テキスタイル、ファブリックを生みだす工房の作業動画といった映像資料も充実していました。
 ミナペルホネンの文化が、職人さんの高い技術の裏付けによって成り立っていることを隠さず示している、とても熱量の高い展示コーナーがそこかしこにありました。

ミシン工房のコーナー



 ミナペルホネン現リーダーの田中景子さんが映像の中で仰っていました。

「団塊の世代の職人さんの高い技術も、このままでは失われてしまう。次世代につないでいけるのは、自分たちの世代の役目だと思います」
「皆川(創業者)は100年続くブランドと言いましたが、それから30年経ち、いま入社した人もまた、これからの100年、今からの100年を考えるような雰囲気がある」

 素敵ですねぇ。
 ブランドとしても組織としても、とても素晴らしい文化が醸成されていることが感じられました。

Forest Parade
今回はこれが刺さりました


手持ちの山岡古都
雰囲気が似ている気がする

 これだけの手間暇をかけた布からうみだされる洋服は、まるで芸術品。
 バッグなどの小物は、着物との相性も抜群なんですよねぇ。
 お値段的に高くなってしまうのは、仕方ないよね、としみじみ……。

日常づかいのバッグを購入
布のカバーも内側に付いています
内ポケットは2つ。手帳が入るほど深めです

お土産にティラミスを買いました

 帰り道、用賀駅近くのパティスリー《リョウラ(Ryoura)》に寄り道しました。 久しぶりにたくさん歩いた自分へのご褒美です。
 美しいテキスタイルに刺激を受けた心と、久しぶりに運動した体に、とびきりのスイーツ。リハビリとして、完璧じゃないですか。と、自画自賛。
 ショーケースに並ぶケーキはどれも宝石のよう。

 家までの移動を考えて、今日はしっかりした陶器ケース入りのティラミスと焼菓子を買い求めました。
 何層にも重なった繊細なティラミスもまた、まさに職人技。とても美味しかったです。(もっと元気になって再訪するときには、また違うケーキを試してみます。)

ティラミス♡

全国をまわる巡回展


tambourine

 世田谷美術館での展示は2026年2月1日まで。
 今後の全国巡回展のご案内はこちらのページにあります。
 空間にあわせてレイアウトや作品の入れ替えもあるのでしょうか。それも何だか楽しみですね。
 つぐminä perhonenアウトライン(開催概要)


追伸

 ドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』第2話を観ました。
 杉咲花さん演じる主人公と成田凌さん演じる恋人がミナペルホネンの店舗へ椅子を買いに行き、生地見本をめくりながら迷い、最終的に1脚ずつ購入するシーンがありました。
 まぁ、うらやましい。
 そこだけ何度も観てしまいました。

ほぼ日手帳カバー(オリジナル)
ミナペルホネン
今年はこれを使っています
2本のしおり紐も凝っていて可愛い

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