広島市映像文化ライブラリーで吉村公三郎監督の「女の坂」を観る。

2020年5月24日(日)

1960年(昭和35年) 松竹(京都) 107分 カラー 35mm

監督:吉村公三郎
原作:沢野久雄
脚色:新藤兼人
撮影:宮島義勇
音楽:黛敏郎
美術:大角純一
出演:岡田茉莉子、乙羽信子、真木康次郎、佐田啓二、四代目澤村國太郎、金剛麗子、樋口美子、殿山泰司、森美樹、河内桃子、二代目中村鴈治郎

中村登監督の「集金旅行」で良いコンビを見せていた二人が出演する作品とあって楽しみにしていた通り、ほどよく楽しめた映画だった。カラー作品で初めて俳優さんの輪郭を本物に観るようで、スケッチではない色彩によって肌理までよくわかり、物の立体感を強く感じた。

鋭さを持ったカットや不自然なほどうまく連結した編集が目立つことなく、尻切れのようなつなぎやひねりのない甘ったるい演出もところどころあるにしても、京都を舞台にした言葉遣いと、岡田さんのファッションショーらしき姿に見るところがあった。

佐田啓二さんを好む自分の趣味というのも、優男らしい気障な顔立ちだけでなく実際にそういう役を作品で観ているからで、岡田さんを好むのも同様に、はっきり物を言う自分勝手な仕切癖のある性格が役に表れているからだろう。この作品に乙羽信子さんも出ているが、さすが役者らしい貫禄で一癖ある母親を演じていて、役者それぞれの性質があるのだとつくづく感じた。

岡田さんと佐田さんが向かい合って京時雨を食べる場面があり、食べれば食べるほど味わいのある庶民的な食べ物、らしい台詞があり、その言葉がこの映画を形容していると思うほど骨を感じにくいのだが、京都を舞台にした内装や菓子作りの場面など、細かい点で最初から味わいのある映画作品となっている。

優男はどうしたって尻に敷かれたがるもので、内面の弱さを隠すように虚勢を張って威張る男はがさつで性に合わないから、やはり元気よく威張って動く女性が好ましく思える。深く考えさせるような物語ではないが、岡田さんと佐田さんの姿に、男女の一つのありかたを確認した作品だった。

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