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【二十四節気】小満。いのちが満ちていく、心地よい季節の過ごし方

新緑のグラデーションが一段と深まり、
爽やかな風が吹き抜ける心地よい季節になりました。

二十四節気 第8節目にあたる「小満」が、
いよいよ5月21日から始まります。

また、旧暦の5月は「木の葉採り月」
という美しい異名も持っています。
これは、養蚕のために蚕の主食となる桑の葉を
盛んに採った時期であることからついた名だそう。

今回は、そんな自然と人の営みが瑞々しく交差する
「小満」の季節の意味や、
この時期に出会える美しい自然の姿、
心地よく過ごすヒントを綴ってみようと思います。


小満(しょうまん)とは?

小満の語源には、こんな言葉があります。

万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る

「世の中のすべてのものが満ちあふれ、草木の枝や葉が青々と生い茂る」
という意味です。

まさに「木の葉採り月」の名が示す通り、
太陽の光をたっぷり浴びて、
あらゆる生き物たちがすくすくと成長し、
周囲に「いのちの輝き」が満ちていく頃。
本格的な夏を前にした、
どこか前向きで、瑞々しいエネルギーにあふれた季節です。

この時期に出会える美しい植物と、水と光の景色

小満の季節、私たちの目を楽しませ、暮らしに寄り添ってくれる自然の姿。

白く爽やかにただずむ「ウツギ」
この時期、山野や庭先を白く彩るのが「ウツギ(空木)」の花です。
旧暦の5月(卯月)に咲くことから「卯の花」とも呼ばれ、
古くから日本の初夏の風景に欠かせない植物として愛されてきました。

幹の真ん中が空洞になっていることから
「空木」とも書くウツギは、
どこか軽やかで、
爽やかな風を通すこの季節に、ぴったりの佇まいをしています。

水田にきらめく「田毎の月」
小満の時期は、田んぼに水が張られ、
田植えが始まる季節でもあります。
この頃だけの美しい情景として知られるのが「田毎の月」。
水を湛えたばかりの棚田の一枚一枚に、
夜空の月がそれぞれ映り込む様子を指します。
幻想的で日本ならではの美しい一瞬です。

初夏を彩る「ベニバナ」と「ドクダミ」
小満の始まりの5日間は、
七十二候で「紅花栄」と呼ばれています。
一面の緑の中に、灯るように咲き始める黄橙色のベニバナ(紅花)。

ベニバナといえば、
茎のいちばん先の花から摘み取ることから
『源氏物語』の「末摘花(すえつむはな)」の由来にもなった花。
源氏の君から「鼻の頭が紅花のように赤い」なんて
お茶目なあだ名をつけられた恋物語に想いを馳せるのも、
この季節のひとつの楽しさかもしれません。

また、少し遅れて梅雨の気配を感じる日陰には、
ひっそりと、しかし力強く「ドクダミ」が
白い十字の花を咲かせます。
古くから「十薬(じゅうやく)」とも呼ばれ、
お茶や暮らしの知恵に活かされてきた逞しい生命力も、
この季節の愛おしい姿です。

黄金色に輝く「麦の刈り取り」
小満の終わり頃になると、
まわりの青々とした緑とは対照的に、
一面が美しい黄金色に染まる畑が目を引きます。

初夏でありながら、麦にとっては今が収穫の秋。
この時期を「麦秋」と呼び、
黄金色の穂を揺らす畑では、
いよいよ「麦の刈り取り」が始まります。
じっくりと時間をかけて実を育み、
ついに収穫を迎えた麦畑の輝きは、
まさに「小満(いのちが満ちる)」という言葉そのものの景色です。

この時期のおすすめの過ごし方:旬の「初物」で身体を潤す

小満の時期は、夏に向けた身体の準備期間。
この時期に旬を迎える食べ物は、
身体の余分な熱を取り、
水分を補ってくれるものがたくさんあります。

里の恵み:ソラマメ、ビワ、そして「シソジュース」

麦の刈り取りとちょうど同じ頃に
収穫を迎えるのが「ソラマメ(蚕豆)」です。
ふっくらとした形が蚕の繭に似ていることや、
蚕が繭を作る時期に実ることから
その名がついたとも言われています。
「木の葉採り月」の呼び名とも、
どこか嬉しいつながりを感じる食材です。

また、初夏の陽気を浴びて美しい橙色に熟した「ビワ(枇杷)」が
店頭に並び始め、渇いた喉を優しく潤してくれます。

そして、庭先や店先で瑞々しい「シソ(大葉)」が
勢いよく茂り始めるのもこの頃。
この時期に「シソジュース」を仕込む、
ご家庭も多いのではないでしょうか?
赤シソをコトコト煮出し、
お酢やクエン酸を加えた瞬間に、
パッと鮮やかなルビー色に変わる瞬間は、
初夏のキッチンならではの小さなお楽しみ。
爽やかな酸味は、これからの季節の夏バテ予防にもぴったりです。

海の恵み:鱚(キス)
そして海では、
上品で淡白な味わいの「鱚(キス)」が、旬を迎えます。
「海の鮎」とも呼ばれるほど透き通った美しい魚で、
サクサクの天ぷらや、さっぱりとした塩焼き、
お刺身などでいただく鱚は、
初夏の食卓に爽やかな贅沢を運んでくれます。

小さな「満足」を見つけていく

万物ここに至ってようやく長じて、満つる(暦便覧)

すべてが急激に変化するわけではないけれど、
確実に、少しずつ満ちていく。
私たちの日常も同じかもしれません。

劇的な変化や大きな成功がなくても、
「今日これができた」
「手作りのシソジュースが、鮮やかに仕上がった」
「足元の小さな花に季節の移ろいを感じられた」
という小さな満足(小満)を積み重ねていくこと。
それこそが、心を豊かに保つ秘訣なのだと感じます。

季節の変わり目、
どうぞご自愛いただきながら、瑞々しい初夏をお過ごしください。

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