#009亡き父への手紙|【エッセイ】今と言う時に向かって
この文章はお墓参りに行くのに父に書いた手紙なので、読んでくださる方にはもしかしてしっくりこないかもしれません。でも、こんなことを考えましたという記録としてnoteに置こうと思いました。
昨日こころのプロの所へ行きました。
カウンセリングというものを本格的に始めて受けてみました。「亡くなった父」に対する自分の疑問を書いた紙を持参しました。私はカウンセリングというのはその疑問に答えてくれるものなのだと思っていました。カウンセラーに疑問をぶつけるとその答えを言ってもらえるのだと。
開始早々様子が違うことに気付きました。
カウンセラーは質問をしてくれる。私がそれに答えるところから始まりました。私に上手な質問をしてくれました。答えるとそこから何か別のものが出て来る質問を。
私は夢中になってその質問に答えました。どうしても答えが知りたかったから。
私は答えるうちに、さっき言っていたことと少し自分の答えが違ってきていることに気付きました。けれど、構いませんでした。頭の中の記憶が少しずつ外に出てくると、自分で思っていた認識とずれていたことに気付きました。
一塊になっていた感覚は、質問に答えて解かれて行くうちに3つの感覚に分けられていきました。
私が「気持ち悪い」と言っていた感覚は「もどかしい」と「悔しい」と「拗ねた感情」でした。
カウンセラーは「今からでも遅くないから」と言います。
私は墓参りにでも行ってみると約束しました。
その後こころのプロに話をしたら「親を許してあげてください。」と言います。
はて?私は親を許していなかっただろうかと思いました。許しているものなのだと思っていたから。そして、よく考えました。
子供時代の自分が納得するように、自分に何が起こっていたのかが私は知りたかったのです。子供時代の自分というのは自分の一部だ。自分のこころの中にいるもう一人の自分。その自分が納得するようにしたかったということは、つまり「自分の一部が親を許していない」状態なのだなと思いました。
許せるだろうか。そう思いました。
「もどかし」くて「悔しく」て「拗ねた感情」をどう墓前に報告していいのか分からなくなりました。
「墓か……」
私は思いました。
あそこに行くと何があるのだろうか。あそこにまだ生きていた状態の「父の意識」が残っている気がしていました。でも、違うのです。あそこにあるのはただの「カルシウム」。「父」は無機物になってあの冷たい黒い石の下に白い陶器の容器に入れられてあそこに入っているだけなのです。
人って最後は「無機物」になるものなのです。
どんなに私を「悔しくさせ」「もどかしくさせ」「拗ねさせていた」としても、ただの「カルシウム」になる。石と一緒。何千年何万年経って人がいなくなった地球があるのなら、墓が壊れそこらの石に交じってしまうそんな類のもの。
そんなものに、気持ちを煩わされている。
「あれはなんだったのだろう」
そう思わされている。
「父の意識」はもうとっくにどっかへ行ってしまっている。もう、私にあれこれ言ってくるわけでもない。霊魂だの魂だのあるのかもしれない。でも、それが私に意思を伝えてきたことはないし、その魂が夢の中で語り掛けることもしてこない。
なのに、私の記憶の中でだけ、壊れたテープレコーダーの様に再生ボタンが押され、繰り返し巻き戻され、また再生ボタンが押されている。
本体はもういないのです。
私はよく、風になりました。
そう意識すると、気持ちが軽くなりました。
死んだあとって、風になるんじゃないかと思っていました。
カウンセリングルームを去ろうとしたときカウンセラーが、私が残したカーデガンに気が付いて「わすれないで」と声をかけました。
私は本当にすぐに失念して物を置き忘れたりする。それは私の特性でした。
私は昔から指摘されると
「あ、本当だ」
と反射的に言うのが自然でした。
父はそれを子供の頃からかった。
父が亡くなって私はからかわれなくなりました。私は素直なままでいていいとやっと言われているような気がします。
もしかして私の記憶の中で何度も言われている気がして、実際にはそんなに言っていないのかもしれません。でも、一度言われたことはこころの中でずっと記憶として残るのです。
だから、素直な感情を言ってはいけないと感じていました。もう、今は素直な感情を外に出してもからかわれないのだと。恥じることをしなくていいのだとそう感じます。
まだまだ、許し切れていない自分がいて、それでいいのだとも思います。
父は亡くなって、少しは変わったのでしょうか。亡くなったら変わらないのでしょうか。私のこころの中を少しは気にしていてくれているのでしょうか。想像ができないから、悲しい。ただ悲しいし、涙が出る。
私が頑張っていたことを本当は見ていたのでしょうか。出来ないなりに私なりに頑張っていたことを。
そんなことをお墓の前で聞いてみたい気がしました。
English Version:
🌐#009 A Letter to My Late Father | Facing the Present Moment
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