アスファルトから立ち上がった雨のにほひ|【エッセイ】日常のスベッたコロンだ
日曜日。私はいつもの日曜日で書くことはおやすみにしようとしていました。でも、「名古屋場所の千秋楽の記事だけは書こう」そう思っていたので、それまでに家の事をやってしまおうとしています。
でも、何だか何もしたくない。寝ることすらしたくない。どうすればいいのかと思いました。
とにかくやってしまわなければと思って気になっていることを頭の中でリストアップしました。
お洗濯は終わった。あとは
掃除
白すぎるファンデーション代わりのBBクリームを買い直す。
洋服屋で、スパッツを買い足す。
スーパーでお肉を買う。
寒天ゼリーを買う。
これらを全部やればすっきりして明日を迎えられる。そう思いました。
スーパーに買い物に行って帰って来て思いました。
「BBクリームとスパッツを買い忘れた……」
どうしよう?
ま、行くか。時間あるし。ずっと気がかりだったし。
スーパーの化粧品売り場に行って2種類の中から1つを選んで、ちょっとだけ浮気をして靴下を見たけど、結局目的のものだけ買って帰ろうと出口の外に出ました。
さっき迄、ブルーグレーの空だったのに、西の空がどす黒くなっていました。
スーパーを出るとポツリポツリと大きな雨粒が日傘にしている晴雨兼用傘に当たります。
日差しが照り付けていたアスファルト。そこに
「ポツリ」
また
「ポツリ」
そんな風に雨が落ちてくると、湿って温かな雨の匂いがむうっと立ち上がります。
嫌いじゃありません。夏の雨の匂い。
ほこり臭くて、そこに懐かしい感じがまとわりついて、干した布団の中にいるような、雑多な感情がぐるぐると渦巻きます。
小さい濡れた子猫を拾った放課後
その猫が校舎の隅で静かになっていて、
それをみんなで見つけた朝
ひどく明るくて
ひどく暗くて
どうしようもなかったこと
一つではない感情がまざりあう
雑多な、にほひ
そうして私は雨の匂いを嗅ぐために、ゆっくりゆっくりと歩きました。
100メートルほど向こうに洋服屋があり、そこに入って買い物を済ませる為に店に入りました。そして、洋服屋の大きな窓から見える雨の様子をふと見て、その時初めて「あ!」と思いました。
「洗濯物……」
もうどうにもなりません。
私は諦めました。
外は先ほどの雨が大粒の雨になって、今度はザーザーと音を立てて降っています。
恨めしくはあります。
しかし今日雨が降るとは思えなかったのです。あんなに晴れていて。夏で。
「通り雨……」
通り雨は夜まで降り続きました。
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