レコードからCDへ移った頃。|矢野顕子「いろはにこんぺいとう」私が最初に買ったCD|【エッセイ】日常のスベッたコロンだ
私が最後に買ったレコードは今でも覚えています。小堺一機さんが歌う「ムーンライトシンギング」でした。
小堺さんが唄うこの歌はとてもよかったので欲しくなったのでした。そのレコードを最後に私の音楽時代はCDへと完全に移っていきました。
私が20歳頃のことです。
私が中学生の頃、世間では矢野顕子さんの認知度は高く、「春咲小紅」が大流行していました。
そんな折だったので、矢野顕子さんのライブというのをテレビで放送したことがあり、姉がそれをテープレコーダーで録音していたので、私はそれを拝借して繰り返し聴いていました。
その中の一曲に「たいようのおなら」というのがありました。小学生が書いた詩に矢野顕子さんが曲を付けたものです。
「たいようがおならをしたので
ちきゅうがふっとびました」
という歌詞から始まります。
奇想天外で、ハチャメチャなところが、当時の私にはおもちゃ箱をひっくり返したような、色とりどりの色鉛筆で画用紙に絵を描いたようなそんな気がして、面白く感じた歌でした。
矢野顕子さんのピアノが弾み、歌が語り掛けるようでとても印象的でした。
そのテープを聴いていたので、私は矢野顕子さんが特別な存在になりました。
世の中がレコードからCDに変わる時私は、とある会社に勤めていました。
そこで初めてポータブルCDプレイヤーというものを手に入れ、CDを買ってみることにしました。
連れて行ってもらったのは、新譜だけではなく中古の置いてあるCDショップでした。私はちょっと大人の通な人の行くところに来てしまったと感じました。
何を買おうか迷います。私には御贔屓の歌手がその頃いませんでした。
その時目に留まったのが、矢野顕子さんの「いろはにこんぺいとう」で、私はそれを買って帰ったのです。
不思議な世界でした。
「行け柳田」私は巨人軍は巨人軍でも柳田選手を知っている世代ではないのですが、「応援する人というのはこういう感じなんだ」という臨場感があって、そこに惹かれてよく聴いたのです。
「昨日はもう」石川セリさんに書き下ろした曲だそうですが、石川セリさんの詩も良かったのです。
不思議な詩の世界に、矢野顕子さんが曲を付けるとどうしてあんなにその世界を言い現わす一曲に仕上がるのだろうといつも思います。
音楽は最近はYouTubeで聞くことも増えたので滅多にCDを買わなくなりました。
それでも、この人達のものはというものはCDを買ってしまいます。
「物で持っている」という安心感はあると思います。
今私が聴く音楽は、「懐かしくて掘り起こしたくなる音楽」です。
そういう掘り起こしたくなるCDを買うという行為をしない今、頭の中にあるのは「いつか買い戻したい幻のCD」なのかもしれません。
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