帰るまで、気が抜けなかったあの頃
2022年5月、ひとりで2週間、
夫のいるオランダへ向かいました。
家族が向こうにいなければ、
きっと選ばなかったであろう移動でした。
コロナ禍での欧州⇔日本の移動は
これまでにも経験しており、
2020年12月に夫が一時帰国、
2021年9月に私が渡航、
そして同年12月にも夫が一時帰国しています。
なかでも、
オミクロン株が拡大した2021年12月の夫の移動が、
いちばん大変でした。
今回の旅は、〈ファストトラック〉が導入されて
間もない頃の渡航でもありました。
ルールはそのたびに変わり、
その時々で確認しながら進むしかない、
そんな状況でした。
この記録は当時の自分のメモをもとに書いています。
今はすっかり変わっていますが、
あの頃の空気を残しておきたくて、ここに記します。
ファストトラックと事前準備
日本に入国する人は全員、
出発前72時間以内の陰性証明書が必要で、
これは2021年から変わらないルールでした。
その中で、
検疫手続きを一部事前に済ませる仕組みとして
〈ファストトラック〉が導入されていました。

検疫手続きの一部をアプリ上で
事前に済ませることができ、
空港での時間短縮につながります。
まずはアプリ〈MySOS〉をインストール。
出発前々日の夜に、質問票・誓約書の入力、
ワクチン接種証明書の添付を済ませました。
最初は赤い画面が、
審査を通過すると黄色に、
最後は緑色に変わります。
この確認には少し時間がかかりましたが、
入力自体は数分で終わるものでした。
出発前日、PCR検査
帰国前日の朝、PCR検査へ。
日本政府の指定する形式を満たした証明書が
必要なので、事前に
「ここなら大丈夫」という施設で受検しました。
検査自体はあっという間です。
結果は約4時間後にメールで届きます。
陰性であることを確認し、それを
〈MySOS〉にアップロードして、再び審査へ。
しばらくして通知が届き、画面は緑に。
これで事前準備は完了です。
出国当日、空港のリアル
当時のスキポール空港は、
コロナ禍で人員が減る一方で、
旅行需要が一気に戻り始めていた時期でした。
日によってはチェックインカウンターの外まで
列が伸びるほどの混雑があったと聞きます。
KLMでは「出発の4時間前に空港へ」と
アナウンスが出ていたほどで、
空港そのものがまだ安定していない空気がありました。
夫の同僚からも
「保安検査を抜けるまでに何時間もかかった」と聞き、当時の空港の様子を想像していました。
その記憶があったため、
この日は念のため、出発5時間前に空港へ向かいました。
結果的には、チェックインカウンターは
拍子抜けするほど空いていて、
手続き自体はすぐに終わりました。
ただそのあと、保安検査場の場所がわかりにくく、
あちこち閉鎖されていて、少し歩くことになりました。
ようやくたどり着いた保安検査場は、
長蛇の列を想定した導線になっていたものの、
全く混んでいませんでした。
結果として、
出国までにかかった時間はトータルで約1時間。
5時間前到着は、少し早すぎたかもしれません。

韓国経由という想定外
搭乗前、体温測定と健康チェックの記入がありました。あとからわかったのですが、
これは韓国政府からの要請によるものでした。
このときのフライトは、
ロシア上空を飛べない影響で往復とも
韓国経由になっていました。
途中の仁川国際空港で一度降機し、
手荷物を持ったまま保安検査を受けます。
本来ならそのまま進むはずの流れが、
一度切り離されるような工程でした。
その後、ロビーで2時間ほど待機し、
再び同じ飛行機に乗り込みます。
避けられないとはいえ、
移動の中でかなり大きな負担となる経路でした。
日本入国の流れ
トータル16時間のフライトを経て、日本へ到着。
機内はほぼ満席でしたが、
韓国で多くの人が降りたため、
日本まで来る人はそこまで多くありませんでした。
到着後は、〈MySOS〉の画面を提示しながら進みます。
いくつかのチェックポイントがありましたが、
基本的にはその場での確認が中心で、
紙の書類を見せる場面はほとんどありませんでした。
前回は何枚も書類を持って移動していたので、
その違いに驚きます。
そのままPCR検査へ。
唾液検査は、事前に少し準備しておくとスムーズです。検査後は待機スペースへ。
このときは空いていて、
他の便の人もほとんどいませんでした。
結果は約1時間後。
名前(番号)が呼ばれたときは、
本当にほっとしました。

渡航して感じたこと
空港から自宅が遠いため、
その日のうちに帰れるかどうかも気がかりでしたが、
無事に帰宅できました。
公共交通機関が利用できるようになっていたのも、
大きな助けでした。
この渡航は、出発までに何度も状況が変わり、
気持ちの面でも、ずっとどこか緊張が
続いていたように思います。
それでも、無事に移動を終えられて、
ただただ安堵しました。
日本を出てみると、
そこにはマスクのない世界が広がっていました。
空港も人であふれ、どこか開放感のある空気。
太陽の光や、新緑、花々の美しさもあって、
まるでコロナ前に戻ったかのような景色でした。
どちらが良い、悪いではなく。
考え方や価値観の違いを感じながら、
改めて「世界は広いな」と思った旅でした。
渡航を終えて
この帰国は「待機なし」だったため、
位置情報の送信や健康フォームの入力などは
一切ありませんでした。
それでも入国から3日後、
〈MySOS〉から通知が届きます。
あの通知音は、やっぱり少しドキッとするものでした。
開いてみると…
「ご協力いただきありがとうございました」という
終了の連絡でした。
これで、ようやく本当に終わったのだと、
ほっとしました。
というのも、機内で感染者が出た場合、
自分の座席の前後を含めて、
待機対象になる可能性があったからです。
ほぼ満席の機内。
もしそうなれば、7日間の自宅待機。
無事に何事もなく終えられたことに、安堵しました。
ちなみに、2021年12月の夫の一時帰国時は、
機内に感染者が出た場合、
全員が2週間の施設隔離という状況でした。
それを思うと、今回の変化はとても大きいものです。
水際対策も少しずつ緩和され、
入国時の検査が不要になる国も出てきました。
海外旅行も、少しずつ戻りつつありました。
欧州では、
機内でのマスク着用義務もなくなっていました。
コロナが終わったわけではないけれど、
確実に、空気は変わってきている。
その変化に少し戸惑いながらも、
次の渡航が、穏やかなものでありますようにと、
あの頃は願っていました。
