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出版した本の寿命を伸ばすのに必要なこと

2024年12月 私はがん患者となった妻と共著で、がんとの向き合い方に関する本を書店流通ありの自費出版で初出版しました。

毎日200冊近い新刊が次々と発売になる出版の世界で、売れなかった本は発売開始後2週間〜1ヶ月でその寿命を終えて静かに消えていくともいわれます。これは商業出版でも自費出版でも同じです。
地道に本を作っても、初速で売れなければそれで終わりという、まるでセミの一生かのような厳しい現実があります。

私の本は、よく売れているとはいい難い小部数ですが、発売後1ヶ月で2刷重版が決まり、その後3刷まで増刷に至っており、何とか出版の世界の土俵に残っています。
今日は、本の寿命を伸ばすうえで必要なことについて、考えてみたいと思います。

出版はチームプレイ

以前の記事にも書きましたが、出版はチームプレイです。
1冊の本には本当に多くの方々が関わっています。

出版の成否は、自分を応援してくださる輪をどれだけ広げられるかにかかっています。
例えるなら、アニメのドラゴンボールに出てくる、“元気玉”のようなイメージで、大きな元気玉を作ることが肝要です。

本を長く読み継がれるためには、長く売り続ける戦略が必要です。
そのために4つの鍵が存在すると思います。
それが、読者受け、書店受け、出版社受け、取次受けです。

自分の本の寿命を伸ばすための4つの鍵

さきほど述べた、4つの鍵=読者受け、書店受け、出版社受け、取次受けについて考えてみます。

  • 読者受け
    一番大事な鍵です。読者がいなければ、ロングセラーを目指す本として成立しません。
    実際に本を購入してくださった方とお会いする機会があるなら、是非その感想に耳を傾けることが大事だと思います。
    Amazonでのカスタマーレビューや読書メーター、ブクロブなどのインターネットサイトで、自著の評価を知ることができます。
    実際に本を読んでくださった方が、個人のSNSで感想を載せておられることもあります。
    出版社さんに寄せられる読者ハガキも貴重な情報源です。

    時に厳しい評価も含まれているかもしれません。
    しかし、世間での反応を知ることで、自分の本が長く売り伸ばせそうか、想起することができます。

    読者受けするためには、本の内容をお金を払ってでも読みたい魅力的なものに仕上げることが最重要です。
    本は有料であり、無料のSNSで宣伝すれば売れるという単純な話ではないというのが私の持論です。

  • 書店受け
    読書受けが一番大事な鍵ですが、その読書との接点を作り出してくれるのが書店さんです。
    書店で取り扱ってもらえなければ、どんなに内容が優れた本でも、存在していないのと同じです。読者に知ってもらう機会がないからです。

    リアル書店でどれだけ長い期間大きく展開してもらえるか、返品されずに販売を続けてもらえるかは、本の寿命を決定づける重要な要素です。
    そのためには、実際に本が売れていること=実売が必要です。
    しかも、一過性ではなく、少しずつでも長く売れ続けることが大事です。

    私の本の場合、私が暮らしている県の書店や生まれ育った実家近くの書店では発売後1年半が経ったいまも、平積みや面陳が続いています。ここでの返品はほぼゼロです。
    私の生活圏や職場から最寄りの小さな書店では、新刊話題書の一等地でずっと販売継続してくださっています。隣に並んでいる本はその時々のベストセラーです。最近はオードリーの若林正恭さんの『青天』の隣に並んでいます。

    書店さんの後推しで強固な販売拠点を作ることができれば、本の寿命を伸ばすことに大きく寄与します。
    振り返ってみると、私の本は返品されにくいという特徴があり、書店員さんの支援が比較的得られているのかなと思います。

    書店受けするためには、返品しなくても売れていく継続的な実売が重要です。裏技的ですが、仮に売れ行きがいまひとつでも、返品したくなくなるような、タイトルや表紙カバーを作成するというのもいいかもしれません。

  • 出版社受け
    本をいつまで販売継続するか、決定権を持っているのが出版社さんです。
    出版社さんが増刷しない方針=売り切りで販売終了の方針を打ち出せば、本の成長はストップします。そして在庫処分=断裁となれば、本の寿命は完全に終了です。

    ここでも、実際に本が売れていることが、重要な要素になってきます。
    しかも、瞬間的に売れたあと全く売れなくなるのではなく、継続的に売れるということが大切です。売れ行きの見通しが立つ本でないと、増刷した途端に売れなくなる本では、かえって大きな赤字を計上するからです。

    それは当然ですが、出版社さんとは実際に本づくりをしている段階から長期にわたって濃密なやりとりをしてきているはずです。
    そこでの人間関係は無視できない大きな要素だと思われます。

    つまり、本を制作するうえで、原稿の期日など約束をしっかり守ったか、出版社さんの要望に真摯に対応したかといったことです。
    仮に少し売れても、ビジネス相手として今後関係を継続したくないと思われれば、出版さんからの支援は得られなくなってくると予想されます。

    出版社受けするためには、販売計画を立てやすい継続的な実売とビジネス相手として信頼できる仕事ぶりと振舞いが重要だと思われます。

  • 取次受け
    ここが正直、一番見えにくいところです。
    著者が直接関わりを持つことができない部門だからです。他の3つ、読者・書店・出版社はその気になれば、著者と直接関わりを持つことができます。

    取次さんは、書店に配本して返品がなければ、売り上げが確定します。
    極論すれば、本が書店で売れなかったとしても、返品がなければよいわけです。売れたか売れなかったかは、実は関係がない。
    ですから、書店が販売を継続してくれて、返品されてこない本が、取次さんにとって良い本なのではないかと思います。

    取次受けするためには、書店がたくさんの販売を請け負ってくれて、返品率が低い本を仕上げることが重要だと思われます。

結論

自分の本の寿命を延ばすために必要な4つの鍵=読者受け、書店受け、出版社受け、取次受けをまとめると、

  • お金を払ってでも読みたい魅力的な本の内容

  • 返品しなくても売れていく継続的な実売

  • ビジネス相手として信頼できる仕事ぶりと振舞い

この3点に集約されるのではないかと考えます。


実際の出版体験に基づいた話題を綴っています。
出版に興味がある方の参考になれば、幸いです。
マガジン“出版サバイバル編”で、出版の世界の土俵に何とか残って販売を継続していく方策をまとめています。


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