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ダイナソーJrを聴くと、少しだけ複雑な気持ちになる

時々思う。
50代も半ばになって、
こんなことを考えるなんて、
鈍臭いにもほどがある。

アメリカのバンド、
Dinosaur Jr.

同じ時代に名前は知っていた。
でも、当時は聴かなかった。

90年代、
フリージャズだの、
爆音だの、ノイズだの
訳のわからない音ばかり追いかけていて、
ちゃんとしたロックからは少し離れていた。

雑誌は読んでいた。
だから名前も、存在も知っていた。
それだけだった。

十年以上前、
阪急梅田の中古レコード市で、
たまたま手に取った一枚。
グリーン・マインド

「あ、これあるやん」
それだけの理由だった。

家に帰って聴いた。

……めちゃくちゃ良かった。

なんで今まで聴かなかったんやろ、
と、普通に思った。
少し後悔した。

爆音のギター。
わざと外したヴォーカル。
これを3人でやっている。

とんでもないバンドだ。

★★★★★

30年くらい前、
東京・練馬に住んでいた
シエちゃんという友人がいた。

彼女は、
ダイナソーJrの熱狂的なファンだった。

ハムスターの名前は「J」。
もちろん、
J・マスシスから取った名前だ。

買ったギターは
フェンダーのジャガー。
ムスタングじゃない。
ジャガー。

理由は聞かなくても分かる。
J・マスシスが使っていたからだ。

何度か彼女の部屋に泊めてもらった。
夜中に押しかけて、
ロフトで川の字になって寝た。

手紙も何通かやり取りした。
大阪に来てくれたこともあった。

不定期だけど、
ちゃんと繋がっていた。

ある朝、
パソコンを立ち上げて
メールを開いた。

共通の友人からだった。

シエちゃんが、
自分で人生を終わらせたと。

それから何年も経って、
俺はダイナソーJrを聴き始めて、今も聴いている。

凄くいい。
本当にいい。

でも、
聴けば聴くほど、
少しだけ複雑な気持ちになる。

彼女と、
もっとこの音楽の話ができたはずだ、
と、思ってしまう。

今さらだ。

それでも、
俺はアルバムを買い続ける。

時間を埋めるために。
記憶と一緒に聴くために。

もちろん、
俺のために。

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