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[朗報] 追い込まなくてOK!?脂肪を減らしながら筋肉を大きくする「ゆる筋トレ」を科学的に解説

ダイエットを始めようと思って、筋トレの動画を見てみる。

すると、重いバーベルを持ち上げ、顔を真っ赤にしながら「もう無理!」というところまで追い込んでいる人が出てきます。

「ここまでやらないと、筋トレには意味がないの?」

そう思って、始める前から気持ちが折れてしまった人もいるかもしれません。

でも、安心してください。

ダイエット目的の初心者が、毎セット限界まで追い込む必要はありません。

ボティビル・筋トレ界隈で有名な山本義徳氏も動画の中で、筋トレは追い込みすぎないほうがよい、という趣旨の説明をしています。

では、本当に追い込まなくても筋肉を守ったり、身体を引き締めたりできるのでしょうか。

今回は、既存の研究をもとに初心者向けに解説します。


限界まで追い込まなくても、筋トレの効果は得られる

多くの筋トレ中級者以上が言う

「最後の1回が上がらなくなるまでやらないと、筋肉は成長しない」

実は、これは現在の研究からは断定できません。

2022年のメタ分析(15件の研究を横断して分析した信頼度が最上級の分析方法)では、限界まで行う筋トレと、限界の手前で終了する筋トレを比較したところ、筋力と筋肥大のどちらにも明確な差は確認されませんでした。

論文からの引用
“Training to muscle failure does not seem to be required for gains in strength and muscle size.”
「筋力と筋肉量を増やすために、限界までトレーニングすることは必須ではないようだ」

Grgic et al., 2022

さらに、筋トレ経験者を対象にした2024年の研究では、脚のトレーニングを毎セット限界まで行った場合と、あと1〜2回できるところで止めた場合で、8週間後の大腿四頭筋の成長は同程度であることを示しました。

これらの結果からいえるのは、

筋肉にある程度の刺激を与える必要はあるが、毎セット完全な限界まで行くことは必須ではない

ということです。

特に、これまで筋トレをしていなかった初心者にとっては、「完璧に追い込めるか」よりも、まず筋トレを生活に組み込むことのほうが重要です。

追い込みすぎるほど、疲労と不快感は増えやすい

限界まで追い込むと筋肉への刺激を確保しやすくなりますが、同時にそれによる"負の結果"も増えます。

限界まで行う筋トレと限界前に止める筋トレを比較したメタ分析では、限界まで行った場合のほうが、

  • 挙上速度の低下

  • 一時的な筋力低下

  • 主観的なきつさ

  • 筋肉へのダメージ

  • 回復に必要な時間

が大きくなる傾向が確認されています。

このメタ分析では20件の研究がレビューされ、そのうち12件が統合解析に使われました。限界まで行った条件では、限界前に止めた条件より、運動直後の身体パフォーマンス低下、代謝反応、筋損傷、主観的なきつさが大きくなっていました。

論文からの引用
“RTF leads to greater acute fatigue compared with RTNF.”
「限界まで行う筋トレは、限界前に止める筋トレより急性疲労を大きくする」

Vieira et al., 2022

ダイエット中は、摂取カロリーを抑えている影響で、普段より疲れやすくなることもあります。

その状態で毎回限界まで追い込むと、

つらい → 次の筋トレが嫌になる → 行かなくなる

という流れになりかねません。

1回だけ完璧に追い込むより、少し余力を残した筋トレを半年続けるほうが、初心者のダイエットには役立ちます。

では、なぜ、追い込みすぎてはダメなのでしょうか?
ここからは、その理論について簡単に見ていきます。

一応説明:コルチゾールが増えると筋肉が減る?

追い込みすぎを避ける理由として、「コルチゾールが増えると筋肉が分解されるから」と説明されることがありますが、これが正しいかどうかは、現在の科学ではまだ確定できていません。

  • たしかに、病気や強いストレスなどによってコルチゾールが長期間高い状態では、筋タンパク質合成が抑えられ、筋肉の減少につながる可能性があります。

  • しかし、筋トレ後に一時的にコルチゾールが上がることと、長期間コルチゾールが高い状態は同じではありません。

  • 実際に、筋トレ後のホルモン変化と長期的な筋肥大を調べた研究では、運動直後のコルチゾールなどの変化は、その後の筋肉の成長をうまく予測しませんでした。

したがって、

追い込むとコルチゾールが出る → 筋肉が分解される → 筋トレが無駄になる

と単純化するのは正確ではありません。

毎セット限界まで行かなくてよい主な理由は、コルチゾールそのものよりも、限界まで行く追加効果が明確ではない一方で、疲労や回復コストは増えやすいことです。

初心者ダイエッター向け「ゆる筋トレ」の目安

最初は、次の内容から始めてみてください。

頻度

  • 週2回

時間

  • 1回15〜30分程度

種目

  • スクワット、またはレッグプレス

  • チェストプレス、または膝つき腕立て伏せ

  • ラットプルダウン、またはローイング

  • ヒップリフト

  • 腹筋系の種目を1つ

セット数

各種目1〜2セット

回数

8〜15回程度

終わるタイミング

フォームを保ったまま「あと2〜4回できそう」と感じるところ

最初は「こんなに少なくて大丈夫?」と思うかもしれません。

しかし、最初の目標は、その日の体力をすべて使い切ることではありません。筋トレを翌週も、その次の週も続けられる状態を作ることです。

脂肪を減らすための優先順位

初心者ダイエッターは、筋トレの苦しさよりも、次の順番を意識してみてください。

  1. 続けられる範囲で食事量を調整する

  2. タンパク質を確保する

  3. 日常の歩数や活動量を増やす

  4. 週2回程度の筋トレを行う

  5. 慣れてから回数・重量・セット数を少しずつ増やす

筋トレで毎回ヘトヘトになることは、優先事項ではありません。

まとめ:ゆるく始めて、少しずつ強くなればいい

  • ダイエット初心者は、毎セット限界まで追い込まなくてよい

  • 最初は、あと2〜4回できそうなところで止めてよい

  • 筋トレは、減量中の筋肉を守り、身体を引き締めるために役立つ

  • 脂肪を減らす主役は、食事を含めたカロリー収支

  • まずは週2回、1回15〜30分程度から始める

  • 慣れてきたら、回数や重量を少しずつ増やす

ダイエットの筋トレは、苦しさを競うものではありません。

最初から100点を目指して1週間でやめるより、60点の筋トレを半年続けるほうが、身体は着実に変わっていきます。

まずは「これなら来週もできそう」と思える強度から始めてみてください。

科学的根拠から検証してほしい筋トレやダイエットの情報があれば、ぜひコメントで教えてください。

参考文献

  1. Currier BS, et al. American College of Sports Medicine Position Stand. Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews. Med Sci Sports Exerc. 2026.

  2. Bellicha A, et al. Effect of exercise training on weight loss, body composition changes, and weight maintenance in adults with overweight or obesity: An overview of 12 systematic reviews and 149 studies. Obes Rev. 2021.

  3. Wewege MA, et al. The Effect of Resistance Training in Healthy Adults on Body Fat Percentage, Fat Mass and Visceral Fat: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2022.

  4. Grgic J, et al. Effects of resistance training performed to repetition failure or non-failure on muscular strength and hypertrophy: A systematic review and meta-analysis. J Sport Health Sci. 2022.

  5. Refalo MC, et al. Similar muscle hypertrophy following eight weeks of resistance training to momentary muscular failure or with repetitions-in-reserve in resistance-trained individuals. J Sports Sci. 2024.

  6. Vieira JG, et al. Effects of Resistance Training to Muscle Failure on Acute Fatigue: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2022.

  7. Paddon-Jones D, et al. Atrophy and impaired muscle protein synthesis during prolonged inactivity and stress. J Clin Endocrinol Metab. 2006.

  8. Morton RW, et al. Neither load nor systemic hormones determine resistance training-mediated hypertrophy or strength gains in resistance-trained young men. J Appl Physiol. 2016.


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