秋の庭で存在感を増す、シュウメイギク
夏の暑さが少しずつ和らぎ、朝晩に秋の気配を感じるようになると、
園芸店でも秋の植物が目立つようになります。
その中でも、毎年この時期になると
「秋らしい花を植えたい」
というお客様におすすめすることが多いのが、
シュウメイギクです。
細く伸びた茎の先に、白やピンクの花を咲かせる姿は、春や夏の花とは少し違った落ち着いた雰囲気があります。
「菊」なのに、実は菊ではない?
シュウメイギクという名前から、菊の仲間だと思われる方も多いのですが、実はキク科ではありません。
シュウメイギクはキンポウゲ科の植物で、アネモネなどに近い仲間です。
名前に「菊」と付いているのは、花の姿が菊に似ていることから。
こうした植物の名前には、昔の人が植物を見て感じた印象がそのまま残っていて、調べてみると意外な発見があります。
ちなみに、英名では「Japanese anemone」と呼ばれます。
アネモネの仲間と知ると、花の雰囲気にも少し納得できます。
園芸店でよく聞かれる「これ、来年も咲きますか?」
シュウメイギクを販売していると、よく聞かれるのが、
「これは一年草ですか?」
という質問です。
シュウメイギクは多年草なので、環境が合えば毎年花を楽しむことができます。
ただし、買った年だけきれいに咲かせて終わり、という植物ではありません。
むしろ植えてから時間が経つにつれて株が充実し、地下茎で少しずつ広がっていきます。
地植えにすると、最初は小さな株だったものが、数年後には思った以上に大きくなっていることもあります。
「こんなところからも芽が出てきた」
と驚かれることもありますが、それもシュウメイギクの特徴のひとつです。
育てるポイントは「乾かしすぎない」
基本的には丈夫で育てやすい植物ですが、ひとつ注意したいのが乾燥です。
特に鉢植えの場合、夏の暑い時期に水切れを起こすと葉が傷みやすくなります。
土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷり水を与えます。
ただし、いつも水がたまっているような状態はよくありません。
「水が好きだから、とにかくたくさん」
ということではなく、水はけと適度な湿り気のバランスが大切です。
置き場所は、日当たりのよい場所から半日陰程度。
特に夏の強い西日や乾燥を避けられる場所なら、より育てやすくなります。

花が終わったあとも楽しむ
秋に花を楽しんだ後、冬になると地上部は枯れていきます。
「枯れてしまった」と心配されることがありますが、これは自然な姿です。
枯れた茎や葉を整理しておけば、春になると地面から新しい芽が出てきます。
園芸では、花が咲いている時期だけを見るのではなく、
「花が終わった後、植物がどう過ごしているのか」
を知ることも大切です。
シュウメイギクは、秋に花を咲かせ、冬は地中で休み、春になると再び動き始めます。
一年を通して植物を見ていると、季節ごとの変化が少しずつ分かるようになります。
秋の花というと、どうしても一年草を思い浮かべがちですが、
シュウメイギクのような多年草を庭に取り入れると、
毎年同じ季節に花が咲く楽しみが生まれます。
今年植えたシュウメイギクが、来年、再来年にはどんな株になっているのか。
そんな「育てた先の楽しみ」まで考えて植物を選ぶのも、
園芸の面白さではないでしょうか。
秋風に揺れるシュウメイギクを眺めながら、
季節の移り変わりを楽しんでみてください。
