私の脳みそは、付箋でできていた。
これ、脳みそを外注してた時の写真。

昔、予備校で働いてた時の机である。
わたしの脳みそは、付箋でできていた。
わたしの仕事は、授業以外の校舎運営はすべてやるという感じの部署。
締切も種類もバラバラの仕事が途切れなく押し寄せてくる。
高速でテトリスをやってる気分だった。
社内メールとSlackが、全国の部署から毎日山のように届く。
流し見すると、大事なメールがトラップのように紛れている。
「大事なメールは督促状みたいな文字にして送ってくんねえかな」と何度も思った。

今まで学校にしか勤めたことのない私が初めて受けた、「会社」という組織の洗礼だった。
覚えることが、わたしの脳の容量を超えていた。
なので、覚えることは諦め、
・机上のボードに付箋貼る
・手帳に書く
・手の甲に書く
のTHE・アナログ戦法で乗り切ることにしていた。
もはや、人体までメモ帳だった。
繁忙期は、とんでもなかった。
「祭」だった。神輿は出ていない。
夜遅く、やっと家に帰る。
スマホならば充電3%くらいのライフ。
「せめてソファで寝な〜」という夫の声。
スーツのまま、床で気絶し、気がつくと朝。
死んだ目で、駅の階段降りる時のテーマソングは、鈴木瑛美子ver.「フロントメモリー」。
「がんばれないよがんばれないよ」と歌詞を呪詛のように呟きながら、会社に向かっていた。
そういう時に大事なのは、チームの雰囲気だと、しみじみ感じた。
忙しくても、チーム仲が良好ならば、励まし合って乗り切れる。
1人クセ者がいた。
上司のUさん。
東大卒で仕事が鬼できるが、周りに求めるレベルも高い。
イライラするとすぐ態度に出るし、周りを詰める。
最悪のトリプルアイスクリームである。
もちろん一つも甘くない。
ダメ押しで、「奥様と不仲」というトッピングまで乗っていた。
とにかく毎日機嫌が悪く、部下や同僚を詰めていた。
昼休み、近くのコンビニ。
レジ待ちの長い列。
疲れ切った頭でボーっと考えていた。
「忙しいのはみんな一緒なのに、
夜遅くまでみんな頑張ってるのに、
どうして、自分1人が機嫌悪くしてもいいと思ってるんだろ?
みんな、頑張ってるのに…」
ブワッと涙が出てきた。
自分の番が来た。
涙ぐんだまま、わたしは
「牛すじと大根ください」
とレジのお姉さんに頼んだ。
レジのお姉さん「すいません、牛すじは今なくて…(わたしの顔見てハッとした顔)〇〇さん⁈〇〇さーん⁈牛すじ、牛すじってある?ない?すいません、牛すじないんです!!」
はたから見ると、わたしは
「牛すじが品切れで、涙ぐんでる人」になっていた。
違うんです、泣いている理由は、牛すじじゃないんです…すみません…ちくわぶでいいです…
以来、そのコンビニに行くたび、お姉さんは声をかけてくれるようになった。
極限まで疲れると、人は牛すじで泣いているように見える。
人生で学んだことの一つである。
