AI導入支援の副業 個人が補助金の枠に入る道は「構成員」だけ
会社でAIツールを使いこなしている人のところに、知人の経営者から声がかかる。「うちにも入れてほしい」。
設定を手伝い、使い方を教え、社内ルールの下書きを作る。作業自体は週末で足りそうに見えます。
ところが相手が「補助金を使いたい」と言った瞬間、話は制度の話に変わります。
その費用は補助の対象か、自分はどの立場で関わるのか。分岐点を制度の原文で確かめます。
「相談相手がいない」は11.5%、「推進する人材がいない」は32.0%
商工中金が2026年3月に公表した「中小企業の生成AIの利用にかかる調査」があります。
調査期間は2025年12月19日から2026年1月16日、有効回答は3,892社です。
対象は同金庫の取引先の中小企業なので、日本の中小企業全体を代表する数字ではありません。
導入状況は「会社での導入はなく、使用は個人の判断に任せている」が64.9%で最多でした。
導入・推進の課題を聞いた設問では、「具体的な活用場面が不明」が35.6%、「導入を推進する人材がいない」が32.0%、「従業員の知識不足、心理的抵抗」が29.2%と続きます。
一方で「支援先や相談相手を確保できない」は11.5%にとどまりました。
足りないと答えているのは、助言をくれる相手ではなく、社内で実際に動かす人です。
副業で入る余地があるとすれば、この作業の部分です。
補助金では「導入研修」も対象になる。ただしソフトと対でしか乗らない
中小企業側が使う制度の代表が「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金)です。
中小企業庁の監督のもと中小企業基盤整備機構が採択し、事務局はTOPPAN株式会社が運営しています。
通常枠の補助率は1/2以内(一定の賃金要件を満たす場合は2/3以内)、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。
補助の対象は、登録された「IT導入支援事業者」が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用に限られます。
ITツールは「ソフトウェア(AIを含む)」「オプション」「役務」の3つに分類されています。
この「役務」の中身が、副業で受ける作業とほぼ重なります。
公募要領(2026年2月27日作成、8月28日更新)では、カテゴリー5「導入コンサルティング・活用コンサルティング」、カテゴリー6「導入設定・マニュアル作成・導入研修」、カテゴリー7「保守サポート」の3つです。
役務の補助対象経費は合計200万円が上限で、各カテゴリーは1交付申請につき1つだけ申請できます。
ただし条件があります。
役務は「ITツール登録申請時に選択したカテゴリー1(ソフトウェア)と対になっている役務を導入する場合に限り」申請できます。
コンサルティングや研修だけを切り出して補助金に乗せることはできません。
申請者の要件には「導入するITツールに比して役務費用が占める割合が著しく高額でないこと」もあります。
「補助金申請、報告に係る申請代行費」は補助対象外です。
ソフトの側にも線があります。
RPAやチャットボットシステムなどが例示される「汎用プロセス」だけのツールは、単独では交付申請できません。
顧客対応や会計などの業務プロセスを持つソフトと組み合わせて初めて、1プロセスとして数えられます。
個人事業主は幹事社になれない。書類は令和7年分の確定申告書
では、副業の個人が「IT導入支援事業者」の側に立てるのか。
「IT導入支援事業者登録要領」(2026年1月23日作成)は、登録形態を「法人(単独)」と「コンソーシアム」の2つに分けています。
そして「幹事社として登録できるのは法人のみである。個人事業主は、コンソーシアム構成員としてのみIT導入支援事業者として登録できる」と明記されています。
構成員として登録する個人事業主の添付書類は5点です。
本人確認書類、所得税の納税証明書(その1またはその2)、令和7年分の確定申告書の控え、青色申告決算書または収支内訳書、販売実績一覧。
確定申告書の控えは、税務署が受領したことが分かるものに限られます。
やむを得ない事情がある場合は令和6年分でも可とされています。
今年始めた副業で申告実績がない人は、書類がそろいません。
構成員の要件には「安定的な事業基盤を有していること」も入っています。
コンソーシアムは幹事社1社と構成員1者以上で作り、コンソーシアム内に1者以上、ソフトウェアの販売実績を持つ事業者が必要です。
登録マニュアルによると、構成員の役割には「その他付随業務(ITツール取扱い無し)」という選択肢があります。
その場合は取扱いITツールの種類数を「0」として登録します。
販売実績のない個人でも、役務を担う構成員として参画する形は制度上あり得るということです。
幹事社と構成員の間では協定書を結びます。
必須項目には秘密情報と個人情報の取扱い、それぞれの責任の範囲が含まれます。
「コンソーシアムが支援する補助事業全般から生じる一切の責任については原則として、幹事社が負う」とも書かれています。
登録には事務局と外部審査委員会の審査があり、不採択なら原則として同一年度内に再申請できません。
交付決定の実績がない支援事業者は、年度中でも資格を停止する場合があるという注記もあります。
また「IT導入支援事業者(構成員を含む)」と「補助事業者」は重複できません。
9月29日締切の次は未公表 今年度は「乗らない」前提で組む
通常枠の5次締切は2026年9月29日17時、交付決定は11月9日の予定です。
事業実施期間は2027年4月30日まで。6次・7次締切分は今後公表予定と書かれています。
これから幹事社を探し、協定書を結び、審査を待つと考えると、今年度の案件に間に合う前提で動くのは現実的ではありません。
そこで、順番を変えます。
今日15分でできるのは、事務局サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」を1回使うことです。無料です。
自分が業務で使っているAIツールの名前で検索し、登録されているか、どの事業者が登録しているかを見ます。
検索結果に役務は表示されないので、ソフトウェアの名前で探します。
次に、自分がやろうとしている作業を、公募要領の3カテゴリーの言葉で書き分けます。
「導入コンサルティング・活用コンサルティング」「導入設定・マニュアル作成・導入研修」「保守サポート」。
補助金を使わない案件でも、見積書の項目名をこの形にしておくと、発注側が制度と照らし合わせやすくなります。
「申請代行」は補助対象外なので、項目に入れません。
相手が補助金を使うと決めたら、自分の立ち位置を先に決めます。
相手が選んだ支援事業者のコンソーシアムに構成員として入るのか、その外で手伝うのか。
外で手伝う分は補助の対象外です。
公募要領は「特にオプション・役務については二重計上となる可能性が非常に高い」と注意しています。
外の作業と補助対象の役務が重ならないよう、範囲を文書で分けておきます。
構成員として入る道を選ぶなら、前提は自分の副業の確定申告が済んでいることです。
始める前に、勤務先の就業規則で副業が許可制か届出制かを確認してください。
所得が生じれば確定申告の要否も確かめます。
補助金の個別の解釈は、事務局コールセンター(0570-666-376、平日9時30分〜17時30分)が窓口です。
補助金に乗るかどうかは、相手が決めることです。
自分が今日できるのは、使っているツールの名前を検索窓に入れて、制度の中にあるかを見ることまでです。
出典
商工中金 マーケティング部「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」(2026年3月31日)https://www.shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/futai202603.pdf
中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)」(2026年2月27日作成・8月28日更新)https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_koubo_tsujyo.pdf
中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「IT導入支援事業者登録要領」(2026年1月23日)https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_touroku_it_jigyosha.pdf
中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「IT導入支援事業者登録マニュアル」(2026年3月26日更新)https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/it2026_manual_it_jigyosha.pdf
デジタル化・AI導入補助金2026「通常枠」https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/
デジタル化・AI導入補助金2026「IT導入支援事業者とは」https://it-shien.smrj.go.jp/itvendor/about/
デジタル化・AI導入補助金2026「事業スケジュール」https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/
デジタル化・AI導入補助金2026「ITツール・IT導入支援事業者検索」https://it-shien.smrj.go.jp/search/
本記事は一般的な情報提供であり、収入や成果を保証するものではありません。副業の可否は勤務先の就業規則をご確認ください。
税務上の取り扱いは個々の状況によって異なります。具体的な判断は税務署または税理士にご相談ください。
補助金の要件や解釈は公募回ごとに変わる可能性があります。申請にあたっては最新の公募要領と事務局の案内をご確認ください。
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※AIを参考に執筆しました。画像はAI生成です。
