車の乗り降りで脚が上がりにくい。筋力より先に見直したいこと
車に乗るとき、片脚だけがうまく車内へ入らない。
降りたあと、腰や股関節がなかなか伸びない。
ドアや家族の腕につかまらないと、立ち上がりにくい。
こうなると、
「脚の筋力が落ちたのかな」
と心配になりますよね。
でも、車の乗り降りがつらいからといって、筋力だけが原因とは限りません。
車の乗り降りは、思っている以上に複雑な動作だからです。
向きを変える。
低い座席へ座る。
体を回す。
狭い入口から脚を出し入れする。
これらを短い時間で続けて行っています。
なので、まず見てほしいのは「脚の力があるか」ではありません。
自分が、どの動作で止まっているかです。
車へ乗る動作は、4つに分けて考えられます。

まず、車の横まで歩きます。
次に体の向きを変えて、座席へお尻を向けます。
そこから、ゆっくり腰を下ろします。
最後に、体の向きを変えながら脚を車内へ入れます。
ぼくは、この動きを、
「移動」
「方向転換」
「立ち座り」
「脚の出し入れ」
の4つに分けて考えると分かりやすいと思っています。
どこで困るかによって、考えるポイントが変わります。
座るときにつらい場合は、膝や股関節の曲がりにくさや、脚で体を支える力が関係しているかもしれません。
脚を車内へ入れるところで止まる場合は、股関節を持ち上げる動きや、体の向きを変える動きが関係していることがあります。
「車に乗れない」とひとまとめにせず、
「自分はどこで止まるんだろう」
と観察してみてください。
これだけでも、対策が考えやすくなります。
車そのものが、乗り降りを難しくしている場合もあります。
低い車では、座席へ座るときに膝や股関節を深く曲げます。
立ち上がるときも、低い位置から体を持ち上げる必要があります。
一方で、車高が高い車では、座席まで脚を持ち上げたり、段差を越えたりする必要があります。
なので、
「車高が高ければ楽」
「低ければ楽」
とは一概に言えません。
ドアがどこまで開くか。
座席を後ろまで動かせるか。
足元にどれくらい広さがあるか。
こうした条件でも、乗りやすさはかなり変わります。

同じ人でも、車が変われば乗り降りの難しさは変わります。
全部を「自分の筋力のせい」と考える必要はありません。
もう一つ確認してほしいのが、
「乗るときと、降りるときのどちらがつらいか」
です。
乗るときは問題ないのに、長く車に乗ったあとだけ降りにくい。
そんな場合は、筋力だけでなく、長時間座っていたことが影響している可能性もあります。
長く同じ姿勢を続けたあと、股関節や膝が動き始めにくくなる人はいます。
その場合は、到着してすぐに立とうとせず、座ったまま足首や膝を数回動かしてから降りる方法があります。
焦って立ち上がる必要はありません。
そして、乗り方そのものを変えるだけで楽になることもあります。
よく見かけるのが、片脚を先に車内へ入れ、その脚へ体重を乗せながら座る方法です。
この方法は、狭い場所で片脚立ちと方向転換を同時に行います。
膝や股関節に痛みがある人や、バランスに不安がある人には難しい動きです。
そこで試してほしいのが、
先にお尻を座席へ下ろす方法です。
まず、両足を車の外へ置いたまま座ります。
そのあとで、体と脚の向きを少しずつ車内へ変えます。
「座る」と「脚を入れる」を分けます。

これだけで、立った状態で体をひねる量を減らせます。
降りるときは逆です。
まず両脚を外へ出します。
足裏を地面につけます。
それから体を少し前へ傾けて、立ち上がります。
全部を一度にやろうとしないことがポイントです。
つかまる場所にも注意してください。
立ち上がるときに、開いたドアを強く引っ張る人がいます。
でも、ドアは動きます。
固定された手すりと同じ感覚で体重をかけると、バランスを崩すことがあります。
使える場合は、車に固定された持ち手など、安定した場所を利用してください。
また、車を停める場所も意外と重要です。
地面が傾いている。
すぐ横に縁石がある。
足を置く場所が狭い。
こうした条件だけでも、乗り降りは難しくなります。
可能なら、足をしっかり置ける平らな場所で乗り降りしてください。
座席を後ろへ動かせる車なら、先に足元の空間を広げておくのもいいです。
体を鍛える前に、環境や動作を変える。
これで必要な筋力や柔軟性を減らせる場合があります。
家でも、動きを分けて確認できます。
安定した椅子へ少し浅めに座ります。
そこから、片方の膝をゆっくり持ち上げて下ろします。
左右5回ずつ行います。
次に、両足をそろえたまま、つま先を少し右へ向けます。
元へ戻して、今度は左へ向けます。
お尻を少しずつ動かしながら、体と脚の向きを一緒に変えてみます。
実際の車では、衣服と座席の摩擦でも体の回しやすさは変わります。
勢いをつける必要はありません。
小さく座り直しながら向きを変えてください。
最後に、足を少し手前へ引きます。
体を前へ傾けて、ゆっくり立ち上がります。
痛みやふらつきが出る場合は無理をしないでください。
一方で、動作の工夫だけで様子を見ないほうがいい場合もあります。
股関節の付け根に強い痛みがある。
脚へ体重をかけられない。
急に片脚が上がりにくくなった。
脚のしびれや、力の入りにくさがある。
車の乗り降り以外でも転ぶことが増えた。
こうした症状がある場合は、一度専門家へ相談してください。
股関節の手術後で、曲げ方やひねり方について注意を受けている人も、担当者から受けた説明を優先してください。
回復の段階や手術の方法によって、注意する動きは変わります。
車の乗り降りが難しくなったからといって、
「筋力が落ちたからだ」
とすぐに決める必要はありません。
座席の高さ。
ドアの広さ。
股関節や膝の動き。
体の向きを変える方法。
いくつもの条件が重なっています。
次に車へ乗るときは、まず一つだけ試してみてください。
先にお尻を座席へ下ろす。
そのあとで脚を車内へ入れる。
全部を一度にやらず、二段階に分けます。
これだけでも乗りやすさが変わる人はいます。
そして、ぼくが知りたいのはここです。
あなたは、
①乗るときがつらい
②降りるときがつらい
③どちらもつらい
どれに近いですか?
さらに、
「脚が上がらない」
「腰が痛い」
「座席から立ちにくい」
など、困っていることがあれば、コメントしてください。
コメントが多かった悩みは、次の記事で取り上げます。
読者のみなさんの実際の困りごとをもとに、続きを書いていきます。
※この記事は一般的な健康情報を紹介するもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状が長く続く場合や、強い痛み・腫れ・しびれなどがある場合は、医療機関へご相談ください。
