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モロッコ、苦しんでからの3発 ウナヒ2得点でアフリカ初の2度目ベスト8へ

カナダ0-3モロッコ。

スコアだけ見れば、モロッコの完勝に見える。

でも、この試合はそんなに簡単ではなかった。

前半は、共催国カナダが本気でモロッコを追い詰めた。

高い位置からプレスをかける。
球際でぶつかる。
セカンドボールに食らいつく。
そして、前へ前へと走る。

ヒューストンのピッチで、カナダは間違いなく勝つ気だった。

それでも、最後に勝ち上がったのはモロッコだった。

50分、アゼディン・ウナヒ。
82分、再びウナヒ。
97分、スフィアン・ラヒミ。

苦しんだ前半を耐え、後半に空いたスペースを突き、モロッコが3-0でカナダを下した。

これでモロッコは2大会連続のベスト8進出。
アフリカ勢として、ワールドカップで初めて複数回ベスト8に進んだ国となった。


第1章 カナダは本気でモロッコを押し込んだ

前半の主役は、間違いなくカナダだった。

立ち上がりから強度が高い。

モロッコの最終ラインに対して、前線から迷わず圧力をかける。
ボールがサイドに出ると、すぐに人数を寄せる。
中央へ入れさせず、外へ外へ追い込む。

守備ブロックを作って待つだけではない。
ボールを奪いにいく守備だった。

モロッコは、なかなか前進できない。

中盤でボールを受けても、すぐにカナダの選手が寄せてくる。
前線に入れようとしても、受け手が背中から圧力を受ける。
サイドに逃がしても、そこで囲まれる。

前半のモロッコのシュートはわずか1本。

カタール2022で世界を驚かせたアトラス・ライオンズが、共催国カナダのエネルギーに飲み込まれかけていた。


第2章 ブヌが立ちはだかった前半

カナダが優勢だった前半。
それでもスコアは動かなかった。

理由はシンプルだ。

最後の一線に、ヤシン・ブヌがいた。

カナダは高い位置で奪い、素早くゴール前へ運んだ。
クロスも入れた。
セットプレーも狙った。
モロッコの守備ラインの背後にも走った。

しかし、ゴール前でブヌが立ちはだかる。

GKの仕事は、派手なセーブだけではない。
クロスに出るか、出ないか。
ニアを締めるか、中央に残るか。
相手FWとの距離をどこまで詰めるか。

この細かい判断で、カナダの勢いをゴールに変えさせなかった。

カナダは良かった。
でも、良いだけではワールドカップの決勝トーナメントは勝てない。

決めるべき時間に決められなかった。

それが、あとから大きく響くことになる。


第3章 サイバリ負傷で苦しくなったモロッコ

モロッコにとって、22分のアクシデントは痛かった。

今大会チーム最多得点者のイスマエル・サイバリが負傷交代。

前半から押し込まれている状況で、攻撃の重要なカードを失った。

これは単なる選手交代ではない。

前線で起点を作る選手が減る。
相手を背負ってボールを収める選手がいなくなる。
味方が押し上げる時間を作りにくくなる。

カナダのプレスを受けるモロッコにとって、前線で一度ボールを落ち着かせるプレーは必要だった。

だからこそ、前半のモロッコは苦しかった。

ボールを持っても、前に進めない。
奪っても、すぐ奪い返される。
攻撃が単発になり、リズムを作れない。

ただ、モロッコは崩れなかった。

ここが強い。

悪い時間を0-0で終える。
これも、トーナメントを勝ち上がるチームの力だ。


第4章 50分、セットプレーで試合が動いた

後半開始直後、試合が動いた。

50分。
右サイドからアクラフ・ハキミが低いボールを入れる。

このボールが素晴らしかった。

ふわっとしたクロスではない。
ボックス前を横切る、速くて低いボール。
相手DFが跳ね返しにくく、GKも飛び出しにくい。

そこに、ペナルティアーク付近からアゼディン・ウナヒが入ってくる。

ウナヒは止めない。
ダイレクトで右足を振り抜く。

ボールはGKマキシム・クレポーの前を抜け、ゴールへ突き刺さった。

これは、ただのミドルシュートではない。

セットプレーのこぼれを待つのではなく、最初からボックス手前を使う形。
カナダの守備がゴール前に意識を向けた瞬間、その外側を使った。

前半は押し込まれていたモロッコが、後半最初の決定機を仕留めた。

ワールドカップの怖さが、ここにある。


第5章 カナダは前に出た。だから裏にスペースが生まれた

1点を追うカナダは、当然前に出る。

ここから試合の構図が変わった。

前半はカナダが高い位置からプレスをかけ、モロッコを押し込んだ。
しかし、失点後はさらに前がかりになる。

すると、モロッコの前線にはスペースが生まれる。

守備ラインの背後。
サイドの外側。
中盤の選手が戻り切れないライン間。

モロッコが狙ったのは、ここだった。

ボールを奪った瞬間、縦へ速く出る。
無理に細かくつながない。
カナダの戻りが整う前に、前線へ運ぶ。

これがトランジションだ。

守備から攻撃へ切り替わる一瞬。
この一瞬で、モロッコはカナダを刺しにいった。


第6章 82分、ブラヒム・ディアスが作った2点目

82分の2点目は、モロッコらしいカウンターだった。

ブラヒム・ディアスが右サイドを駆け上がる。

ここで大事なのは、ただ走ったことではない。

ディアスはDF2人を引き付けた。

相手が自分に寄ってくるまで待つ。
そして、並走していたウナヒへ預ける。

ウナヒはここでも止めない。

ダイレクトで右足を振り抜き、ニア上へ突き刺した。

完璧だった。

カナダからすれば、止めたい場所は分かっていた。
でも、ディアスに寄ればウナヒが空く。
ウナヒを見れば、ディアスに運ばれる。

この二択を突きつけた時点で、モロッコの勝ちだった。

この日2アシストのブラヒム・ディアスは、今大会4アシスト。
アフリカ勢の選手として、単一ワールドカップ最多アシストとなった。

数字だけでなく、プレーの中身も濃い。

彼は得点者ではない。
でも、試合を決めるスペースを作った選手だった。


第7章 ラヒミの3点目は、試合を閉じる一撃だった

アディショナルタイム。
モロッコはさらにカナダを突いた。

サイバリに代わって入ったスフィアン・ラヒミが、カウンターからGKとの1対1へ。

前に出るカナダ。
空いた背後。
そこへ走るラヒミ。

最後は落ち着いて決めた。

これで0-3。

カナダの冒険は、ここで終わった。

ただし、このスコアだけでカナダを語るのは違う。

前半のカナダは本当に良かった。
モロッコにリズムを作らせず、球際で戦い、チャンスを作った。

ジェシー・マーシュ監督が語ったように、強度で劣っていたわけではない。
むしろ前半は、カナダの方が試合を握っていた時間も長かった。

足りなかったのは、最後の質だった。

ファイナルサードでプレーを成立させる力。
ゴール前で1本を決め切る力。
そして、失点後のトランジション対応。

この細部が、0-3という結果につながった。


第8章 モロッコはまた歴史を進めた

モロッコは強かった。

ただ、圧倒したわけではない。

苦しんだ。
押し込まれた。
主力を負傷で失った。
前半はシュート1本だった。

それでも、耐えた。

そして後半、少ないチャンスを確実にゴールへ変えた。

これが、今のモロッコの底力だ。

カタール2022でアフリカ勢初のベスト4。
そして2026年、2大会連続のベスト8。

アフリカ勢として初めて、複数回ワールドカップ準々決勝に進んだ国となった。

もう、モロッコは「大会のサプライズ」ではない。

勝ち方を知っているチームだ。
苦しい時間を耐え、相手が前に出た瞬間を逃さないチームだ。
守備ブロック、トランジション、セットプレー、個の質。

そのすべてを、勝利に変えられるチームになっている。

次は、フランス対パラグアイの勝者。

ここから先は、さらに厳しい。

でも、モロッコにはもう驚きはない。

彼らは堂々と、ベスト8の舞台へ戻ってきた。


第9章 ワールドカップは「なぜ勝ったか」を見ると面白い

この試合は、0-3というスコアだけでは見えないものが多い。

カナダはなぜ前半に押し込めたのか。
モロッコはなぜ崩れなかったのか。
ハキミの低いボールは、なぜ危険だったのか。
ディアスのカウンターは、なぜ2点目につながったのか。
カナダはなぜトランジションで痛手を受けたのか。

ここが見えてくると、ワールドカップは一気に面白くなる。

「強いチームが勝った」で終わらない。
「どの時間帯で、どのスペースを使い、どのプレーが試合を動かしたのか」が見えてくる。

日本代表の試合も同じです。

守備ブロック。
カウンター。
ボールを奪った後の最初のパス。
交代選手の役割。
最後の5分の試合運び。

そうした視点で見ると、代表戦はもっと深く楽しめます。

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