アーカイブ MAIL MAGAZINE 2026/04/13 配信 Vol.16 惑星原理「火星」
こんにちは。
LIGHTNESS TREE の田坂円です。
配信が遅くなってしまい申し訳ございません。踊りに出ていました。勉強しているオイリュトミーの公演で、私にとっては実践の場。日頃の鍛錬を試せる機会となり、ありがたい経験でした。
また、先月末から始めた遠隔気功でもありがたい機会を頂きました。お申し込みいただいたモニター様から変化の経過をご報告いただきまして、こうやってお話できる機会を嬉しく感じました。公演が終わりましたので、モニター期間を終え、本メニューの構成に入りたいと思っております。
さて、メルマガ。
このシリーズでは、惑星の原理を通して人間の内面と宇宙との関係を見てきました。水星は思考。金星は関係と愛。そして今回のテーマは「火星」です。
火星というと「戦い」「怒り」「衝動」といったイメージが強いかもしれません。けれど人智学の視点で見ると、火星の本質はもっと深いところにあります。
火星が関係しているのは、「人間の意志と行動の力」です。
|火星の本質 ― 衝動・勇気・意志
火星の力は、最初から整った形で現れるわけではありません。多くの場合、それはまず 「衝動」として現れます。
怒り。
焦り。
競争心。
何かを押し進めようとする強い力。
こうしたものは未成熟な火星の表れでもあります。
しかしこの衝動の中には、大きなエネルギーが眠っています。それが少しずつ整っていくと、火星の力は「勇気」として現れます。
勇気とは、恐れがない状態ではありません。
恐れを感じながらも、それでも必要な一歩を選ぶ力です。
そしてさらに成熟すると、この力は「意志」へと変わっていきます。
衝動だった力が、勇気となり、意識的な意志へと変わる。
火星とは、この「行動の力が育っていくプロセス」と関係しているのです。
|火星とカルマ ― 行動はどこから生まれるのか
ここで「行動」というテーマをもう少し深く見てみたいと思います。一般的には、行動するためには勇気が必要だと考えられています。確かにそれは一面では正しいことです。けれど実際の人生では、ただ勇気を出そうとしてもうまく動けないことがあります。
なぜなら、人が動けないとき、その背景には
・過去の経験による緊張
・繰り返される思考の癖
・感情の滞り
・人間関係の中で生まれたカルマ
こうしたものが関係していることが多いからです。
このシリーズの流れで見ると、水星は「理解する力」でした。出来事や関係の意味を読み取る力です。
金星は「調和する力」でした。感情が柔らぎ、人と人との関係がほどけていく力です。
そして火星は「行動の力」です。
ここで重要なのは、火星の行動はしばしば「理解と調和のあとに自然に生まれる」という点です。
カルマの理解が深まり、関係の緊張がほどけ、内側の強張りがゆるんでいくとき、人は以前ほど頑張らなくても、自然に動ける瞬間が訪れます。堰き止められていた流れが動き出すように、エネルギーが自然に行動へと変わるのです。これが火星の成熟した働きです。
|火星と宇宙知性
シュタイナーは火星について、さらに興味深いことを語っています。それは、「かつて思考は人間の中にはなく、宇宙そのものの中にあった」ということです。
古代の人間は、自分で考えているという感覚を持っていませんでした。思考は宇宙から流れ込むものであり、人はそれを受け取っていました。この知性は「宇宙知性」と呼ばれ、その流れには火星や木星の領域が関係していたとされています。
火星は、知性を「行動へと結びつける力」、
木星は、知性を「秩序と叡智として保つ力」
に関係していました。
しかし人類進化の中で、この宇宙知性は人間の内部へと移行します。人間は、宇宙に導かれる存在から、「自分で考える存在」へと変わっていきました。
|火星とミカエル ― 思考の自由
この宇宙知性の変化と深く関係しているのが「大天使ミカエル」と語られています。私は天使という存在を幼い頃はとても好きだったのですが、年齢が増すにつれて遠ざけておりました。シュタイナーの本を読み始めて、その抵抗感が少しずつ解れていったように思います。こうやって天使存在について語ることにも抵抗があったのですが、ようやく勇気を持って取り組めております。(余談でした)
ミカエルはかつて宇宙知性の守護者と語られます。
そして現在は、人間の「自由な思考を守る存在」として働いているとシュタイナーは語っています。
人間の思考は今、
・霊的な誇りへと傾く力(ルシファー)
・物質的に固定される力(アーリマン)
この二つの影響のあいだにあります。
幻想に流れるのか、固定された思考に閉じ込められるのか。
それともそのどちらにも偏らず、「自由な思考を保つのか」。
これが現代人にとっての課題です。
しばしば神話で語られるミカエルの龍との戦いとは、この「思考の自由を守る戦い」でもあります。
|火星と霊的戦い
火星は「戦いの星」と言われますが、それは外側の戦争を意味しているのではありません。本当の戦いは、内側で起きています。
恐れに流されるのか、習慣に従い続けるのか、それとも自分で選ぶのか。
このとき必要なのが、火星の力です。ただしそれは、無理に自分を奮い立たせる力ではありません。
理解と調和を通して流れが整ったとき、「必要な一歩を踏み出す静かな力」として現れるものです。そのためには如何に要らなくなったものを燃やせるか、捨てられるか、手放せるかにかかっています。
|火星と声
火星の力は、人間の「声」とも深く関係しています。
声は意志の表現です。同じ言葉でも、そこにどのような意志が込められているかによって、まったく違う響きになります。
人を押しのける声。
自分を守るための声。
あるいは、誰かに勇気を渡す声。
声とは、内側の意志が外の世界に触れる瞬間でもあります。
火星の力が成熟するとき、声は争いのためではなく、「真理や勇気を伝える力」へと変わっていきます。
|火星とブッダ ― 戦いを慈悲へ
シュタイナーはさらに象徴的な話を語っています。
地上での使命を終えたブッダは、その後、火星の霊的領域に関わったとされています。
火星の世界には、強い闘争的衝動が存在していました。そこにブッダは「慈悲の衝動」をもたらしたといわれています。(驚いたのはブッダが火星に行かれたのは地球時間では17世紀だと、シュタイナーの講義で語られています)
その結果、火星の力は戦いから慈悲へ、という新しい方向へと開かれていきました。これは象徴的に、人間の内側でも同じことが起こりうることを示しています。
怒りや衝動として現れる力は、変容するとき「勇気や守る力、そして慈悲へと変わる可能性」を持っています。
|火星と自由
火星のテーマをたどっていくと、これは太陽系天体全てに共通する問いでもありますが、「自由」という問いに行き着きます。
人間は、自分で考え、自分で選び、自分で行動する存在になりました。しかしその自由は、簡単に保てるものではありません。内側の緊張や過去の影響に動かされるのではなく、本当に必要な一歩を選ぶこと。そのためには、静かな勇気が必要です。火星の本当の力は、この「自由のための意志」として働きます。
無理に頑張る力ではなく、流れが整ったときに自然に動く力。それが火星の成熟した姿です。
|おわりに
火星と木星の間には数多くの小惑星が点在しています。これらの小惑星は人間の我欲(エゴ)やカルマの浮上に関わっているのではないかと検証しております。浮上してくる負の要素は悪い流れではなく、変容の機会と捉えています。手放すチャンス。埋もれている時はそれを認識できないので手放すのは難しい。意識できる形で浮上してきてくれたからこそ、感謝して手放せます。全ての出来事はその時は分からなくても、純化のためのプロセスのように感じます。ですので、怒りや憤りが立ち現れた時こそ、チャンスと思って、どうぞ手放してください。具体的に形にして手放すという作業をするのもおすすめです。紙に書いて捨てる、燃やす。この行動に移したこと、身体を使ったということがとても重要です。そこに感情が湧いてきたり湧いてこなかったりはあまり関係ありません。ただ手を放す。放した分だけ新しいものが入ってきますからね。
カルマは感情よりももっと深い層にもあります。感覚は浮上してきてアストラルに変換されて知覚されますから、むしろ手放すことの隔たりになっているのは感情の方かもしれません。燃やしていきましょう。
次回は、この火星の力がさらに拡大し、意志がより大きな視野へと開かれていく段階である「木星の原理」を見ていきます。
木星は発展と成熟の星。
そこには、個人の意志がより大きな意味とつながっていくプロセスが現れていきます。
「私は私の中の霊に至る道の途上にある」
皆様と共に。
火星に対応する鉱物
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