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私の好きな体位の話。攻略日記Vol.80

勇者のマーキーの過去へアクセス。

二十歳になったばかりの大学時代。

一人暮らしをしている彼氏の家に、

初めて泊まりに行った日のこと。

手をつないだばかりの私たちは、

スーパーで材料を買って二人でピーマンの肉詰めを作り、

大人ぶって缶チューハイを一本ずつ買った。

二人とも苦くてビールが飲めなかったからだ。

シャワーを浴びて、いよいよ就寝。

ドキドキの夜。 けれど、その先へは進まなかった。

真上を向いてカチンコチンに固まる私に、

彼が「こっちを向いてほしい」とお願いしてきた。

昔から横向きが苦手な私だったが、

彼のお願いだからとしぶしぶ横を向いた。

そして彼が寝息を立てるのを今か今かと待った。

彼が寝たのを確かめて、そっと大好きな「真上」に向き直した。

心地よい眠りに落ちていた午前四時。

「マーキー、大丈夫!?」

大きな力で激しく揺り起こされた。

目を開けると、彼が私を心配そうに見つめている。

「息してないかと思ったよ。」

気持ちよく熟睡していたのに起こされた、二十歳の夜。

その彼とは、結局遠距離恋愛を経て別れることになるのだが、

吟遊詩人(夫)と付き合い始めた頃にも、よく似たことが起きた。

私の好きな体位は、ダントツで「真上(仰向け)」。

幼少期から横向きで寝るのがどうにも苦手で、

布団に入ったら天井を見つめ、

静かに真上を向いて固まる。

寝息も驚くほど静かで、

小さな頃は母も心配してわざわざ揺らして起こしてきたらしい。

みんな、私の眠りを妨げる。

私はただ、大好きな真上を向いて静かに寝たいだけなのに。

ADHD気質の勇者、せめて布団の中くらいは行儀よく静止していたい。

もし夜中に私が息をしていないように見えても、

どうかそっとしておいてほしい。

私は最高の体位で、ただ静かに熟睡してHPを回復させているだけなのだから。

#文藝大賞2026

#エッセイ部門





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