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ホームラン


僕は近所の本屋さんに無料で小説を置いて貰ってる、しかしそれでお金を稼いでない。どうして人生という有限な時間を使って小説を書いてるかよく聞かれる。

昔から僕は何の特技もなかった。父親に似て勉強が出来ない、母親に似て運動神経も悪い。喋っても地味だった。あれは小学5年生のクラス対抗のソフトボールの時間だ。日程がずれて昼休みに一試合をすることになっていた。そこで運動神経も悪い僕がたまたま見事なホームランを打った。歓声があがった、いつもは話しかけてくれない女子生徒たちの心の底からの歓声、そしてその女子生徒の人気を掻っ攫ってるリーダー格の男子生徒の声、いろいろな声が混ざっていた。そして打った僕をみんなキラキラした目で見ていた。

注目を浴びること讃えられること自分がなんらかの貢献をしたことが純粋に快感だった。

あのホームランが忘れられない
今、大人になって書いているこの小説が讃えられる見られる何らかの貢献をすることはないだろうけど何で小説に時間を注いでるかの答えはもう

あのホームランが忘れられないしかない。

ある日 僕の小説に小さなファンが出来た。本屋の近所に住む小学生の男の子だ。僕が本屋に納品に行った時にたまたま会ったから感想をきかせてくれる仲になった。
他のお客さんもいるから静かにでも興奮したように話してくれる

似ている。

あのホームランを打ったときの歓声の感じに、そして何よりあのホームランを打った僕を見ていた沢山の生徒たちのキラキラした目に。

ありがとう
やっぱりあのホームランが
忘れられないが理由でいいや、ありがとう。

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