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良かったね 🔥3

祖母の家に来てから2週間が経った。

「こんばんはー」
ガラガラ……

玄関の扉が開く音。


母だった。


「赤ちゃんはどう?元気?」
母は、赤ちゃんのいる部屋に入る。
「あー元気だねー!」

母に聞いて欲しいことは、山ほどあった。
私の苦しさ、おばあちゃんのこと。
子供の体重が増えなくて辛いこと。

眠れなくて、涙が出ること。


そんな私の気持ちとは裏腹に、
母は立ち上がった。

「さてと、そろそろ帰ろうかな」
「えっ、もう帰るの?」

もう少しいて欲しい。話を聞いて欲しい。
「明日も仕事だからさ、またね。頑張ってね」


「あ、そうそう。これ、お土産。」

私に紙袋を差し出す。
「これ食べて頑張って」


中身を見ると、菓子パンだった。

「ありがとう…」

私、乳腺炎で甘いものを
食べられないんだよなぁ……。

私は黙って紙袋の中身を見つめた。

「それじゃ、頑張ってね」

手を振って玄関の扉を開ける母。

「うん……。ありがとう」

お母さんは、仕事忙しいし。
仕方ないよね。
わがまま言うのはやめよう。

そう思い直した時、
母が振り返って笑った。

「本当に良かったね、
おばあちゃんがいてくれて」

「産後の面倒見てもらえるなんて、
みのりは幸せ者だね」

笑顔で手を振りる母。
玄関の扉が閉まる。

私は、紙袋を下げたまま
薄暗い玄関にひとり、立ち尽くしていた。

──────────
🫧この形の私

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