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信じるものは自分だけの男





信じるものは自分だけの男

雨の夜だった。

彼は約束を信じなかった。

契約も。

友情も。

愛も。

誰かが「ずっと一緒だ」と言うたびに、
その言葉が壊れる瞬間を見てきたから。

だから彼は学んだ。

信じるな。

期待するな。

失望しないために。

人は彼を冷たいと言った。

孤高だと言った。

無慈悲だと言った。

全部正しかった。

正しいけれど、

全部違った。

本当は。

彼は誰よりも裏切られるのが怖かった。

だから先に距離を置いた。

誰も近付けなければ、
傷付かなくて済むと思った。

大きな窓のある古い屋敷で、
彼はひとり暮らしていた。

夜になると灯りを落とし、
雨の音だけを聞く。

誰も来ない。

誰も必要ない。

そう言い聞かせながら。

ある夜。

玄関のベルが鳴った。

珍しいことだった。

彼は無視した。

二度鳴った。

三度鳴った。

しつこい。

仕方なく扉を開く。

そこに立っていたのは、

小さな箱を抱えた女だった。

「届け物です」

彼は眉をひそめる。

頼んでいない。

受け取る理由もない。

「返品しますか?」

女は聞いた。

「好きにしろ」

「じゃあ置いていきます」

勝手な人間だった。

彼は舌打ちした。

扉を閉めた。

気付くと。

箱は部屋の中にあった。

中には一枚の紙。

短い文字。

たった一行。

『ずっと一人でいるの、大変だったでしょう』

彼は笑った。

馬鹿馬鹿しい。

誰だ。

こんなことを書くのは。

けれど。

その夜だけは。

窓の外の雨が、

少しだけ静かに聞こえた。

彼はまだ、

誰も信じていない。

愛も信じていない。

約束も信じていない。

だけど。

机の引き出しには今も、

あの紙が入っている。

捨てられないまま。

信じるものは自分だけの男。

その物語は、

まだ始まったばかりだった🌹🖤✨



☕カフェ・ル・ノワール

窓際席。

黒い軍帽を脱いだ司令官は、
真顔でノートを広げた。

「今日こそ世界征服計画を完成させる」


「はい」

司令官
「まずは重要拠点の確保だ」


「どこ?」

司令官

「パンケーキの美味しい店」


「それ世界征服関係ある?」

司令官

「士気は大事だ」

五分後。

ノートにはこう書かれていた。

世界征服計画


  1. パンケーキ

  2. 温泉

  3. 昼寝

  4. 考え中


「雑すぎる」

司令官

「まだ序盤だ」

さらに三十分後。

改訂版


  1. パンケーキ

  2. 温泉

  3. おやつ

  4. おかわり


「むしろ退化してる」

司令官はコーヒーを一口飲み、

窓の外を眺めながら言う。

「世界征服というのはな」


「うん」

「みんなが少しだけ幸せなら成功なんだ」


「結局それが言いたかっただけでしょ」

司令官

「バレたか」

🌹☕📖✨


「休日はカフェで世界征服を考えている」




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