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もはや仏な台湾🇹🇼夫の「リリココ:哩哩摳摳(lī-lī-khó-khó)」を駆逐します。

このご時世に、台湾に住んでいるものですから、台湾情勢を気にせざるを得ない我が家です。日々、夫と膝を突き合わせて、真面目な顔であれやこれや、有意義な夫婦会議を重ねている……、なんて、実は稀で。

それよりももっと、普段の私が夢中になっていることなんて、お酒の場でも語れないような「汚話(おはなし)」なのです。

私が夢中になっている日々のこと。それは、夫の耳の穴の中に溜まっている「リリココ:哩哩摳摳(lī-lī-khó-khó/台湾語で“細々した”の意味)」を駆逐すること。……つまり、耳掃除です。

実は、私の耳は人より小さいんです。耳が小さいから、当然その穴もちっちゃいわけです。かつて、センター試験の英語リスニングで、標準的なイヤホン…(耳の奥にフィットするゴムの先っちょがない、あのプラスチック剥き出しの「頭のでっかいイヤホン」)がどうしても耳に入らず、ヘッドホンを借りたほど。

だから幼い時分、母に耳掃除をしてもらっても、10秒もたたずに「痛い!」と音を上げていました。でも、本当は、私の耳のリリココだってごっそり駆逐して欲しかった。その「叶わぬ願い」がずっと心に残っていたようです。

そのせいか、二十数年の時を経た今、私は夫の耳に執着している…あ、いや、猛烈に夢中なっているのかもしれません。

夫は、仏のような台湾人です。いや、むしろ、私の方が非常に悪魔的なのかもしれません。娘の隣で健やかに寝落ちした夫を、仕事終わりの少し高揚した状態でゆすり起こし、寝室のクイーンベッドへと誘います。嫌な顔はしていますが、夫が怒ったことは一度もありません。夫が仏か、私が悪魔か。そこは、皆様のご判断に委ねましょう。

母から「モアイ像」と評される立派なお顔の夫は、お耳もまた立派なのであります。ですからして、お耳の中のリリココもたいそう、豊かな実りをお恵みくださるのです。私にとって、そこは五穀豊穣を約束された、肥沃な地。私は嬉々として、それらを一掃します。

もしかしたら、私は夫の耳に対して、医学的には非常に良くないことをしてしまっているのかもしれない。そんな罪悪感も、覗き込み続ける首の痛みに相まって、快感に変わっていくのです。

もちろん、やり過ぎは禁物。ある程度で夫を解放するようにしています。なんせ彼は、台湾の基幹産業を担う長時間労働の戦士。身も心も、そしてお耳も、労わらなければならないのですから。

耳掃除を終え、スッキリしていてもいいはずの夫は、顔を顰めたまま、いそいそと娘の隣へ戻っていく。一方、駆逐に精を出した私は、さっきよりも一層、首と腰ににぶい痛みを抱えつつ、どこか晴れやかな「やりきった感」を持って、クイーンベッドの真ん中で眠りにつく。

おやすみ、また明日、夫の耳。


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