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ファン・コンシャス・バイアス=幸せな思い込み

「専業主婦でもできるビジネスだから、あなたも稼げますよ」

4年ほど前に1人の男性から言われた言葉だ。

"主婦でも"の言葉には「それくらい簡単にできる」という意味が込められているのだろうか。この言葉を聞いたとき、強烈な違和感を抱いた。
この男性は、365日主夫業をやったことがあるのだろうか。4年経った今でもふと思い出して、モヤっとする出来事である。


そんな私は、専業主婦ではない。30代未婚の会社員だ。冒頭のセリフは、物事や人物に対する無意識の思い込みの一例として書いた。
この無意識の思い込みを「アンコンシャス・バイアス」というそうだ。つい最近知った言葉である。「あんこんしゃすばいあす?何それ」という感じだった。ビジネスカタカナ用語アレルギーの私には、最初受けつけ難い言葉だった。


私たちは誰しも、日常の中で誰かや何かに向けて偏見を持っていることがあるみたいだ。
私は、この"誰か"には、自分自身も含まれると思っている。

「世界のスターに私は会えないだろう」
「留学したことないから英語を話す仕事はできないだろう」

これは、私が自分自身へ無意識にかけていた呪い=アンコンシャス・バイアスである。


私の幼少期を思い返すと、子どもの頃から感性が変わっていたのかもしれない。「変わっている」と思われるのが好きだから、願望も込めて「変わっていた」と言いたい。

小学校低学年の頃、なぜかわからないけど、当時テレビに映ったドイツのサッカーのGK、オリバー・カーンを見てなんか気になった。その後も、当時のアメリカ大統領、ジョージ・W・ブッシュを見て「ブッシュって可愛いよね」と母に言ったり、当時のサッカー日本代表監督、ジーコのことも「可愛い」と言ったりしていた。可愛いの感性が変わっていたと今になって思う。そして、異国の人に惹かれる体質だったのだろう。

小学校6年生のときに家族でハワイに行き、プールの監視員をしていた黒人のお兄さんを見て、「なんて太陽の似合うきれいな肌なんだろう」と思ったのを覚えている。


そんな幼少期から10年、20歳を過ぎた頃、ハリウッド俳優のウィル・スミスの映画をなんとなく見た。肝心の初めて見た彼の作品が何だったのか覚えていない。今の私が当時の私に会えるなら、「将来エッセイに書くから、最初に見たウィルの映画覚えておけよ」と言いたい。初めて見た作品が何だったのか忘れるほど、彼の作品を2週間で15本くらい一気に見たのだ。

余談だが、今の私が1人で海外旅行できるくらいに英語を聞き取れるようになったのは、ウィルのおかげである。2週間で一気見したとき、「あ、なんかちょっと1つ扉が開けた」という感じで、英語のリスニング力が一歩進んだ。

それはさておき、彼の作品を見まくっていたら、ある日ふと「この人に死ぬまでに会ってみたい」と思ったのだ。しかも図々しいことに「なんか会える気がする」とすら思った。なぜそう思ったのかはわからない。

と同時に、「まあ、私には無理なことだよな」という気持ちも湧いていた。

そんな心に湧いた気持ちを特に気にせず、時々彼の映画などを見返しては、「かっこいいわあ」と心を潤していた。


そんな日々から2、3年経った頃、とある好きなYouTuberさんのチャンネルになんとウィル・スミスが出演したのだ。それを見た私は、また図々しくも「私も会える日が近いってことか」と思ってしまったのだ。なんと根拠のない思い込み。まさにアンコンシャス・バイアス。得意げにここで言ってみたかった。

私はYouTuberでもなければ、ましてやハリウッド俳優でもない、ただの会社員。どこでどうやってハリウッドスター、ウィル・スミスに会えるというのだ。疑問だが、当時の私は、自分で自分にアンコンシャス・バイアスしていたのだろう。


そこからさらに5、6年くらいだろうか。「いつか会える気がする〜」と思ったことすら忘れつつ日々を生きてきて、去年の2025年8月のこと。

ひょんなことから、母と弟と3人でヨーロッパ(オランダ・ベルギー・ルクセンブルク)を旅行することになった。4月に航空券やらホテルやらの予約を済ませて、あとは楽しみに待つだけ、という頃の5月。

何気なくウィルのインスタを見ていたら、ヨーロッパツアーの情報が目に入ってきた。「もしかしたら、私がヨーロッパに行っている期間にライブに行けるかもしれない」と思ってツアー日程を見たら、8月14日のハンガリーのブダペスト公演があるではないか…!!ハンガリーはオランダから飛行機で2時間。その日は日本への帰国日の前日。行ける…!!!心臓バクバクだった。

さらに、ブダペスト公演は、ウィルと話して2ショットを撮って、リハーサルを見学できるVIPチケットが販売されていたのだ。ハンガリーの通貨で421,548フォリント、当時の日本円で187,000円ほど。

心臓バクバクで金銭感覚が狂っていたのだろう。高いと思わなかったのだ。いや、高い。だが当時の私の気持ちは、「ウィルと会って話して2ショット撮って、リハーサル見学して本番も見て、187,000円……安い。これを買わずして私死ねない!!!」と思ったのだ。

迷わず購入し、ついに迎えた8月14日の朝。オランダのアムステルダムで家族と別れ、単身ハンガリーのブダペストへ向かうため、9時にホテルの前で予約していたタクシーを待っていたが、待てども待てども15分過ぎても来ず。不安になって予約した会社に連絡したら、担当の運転手が急遽行けなくなったため、他の運転手を向かわせると連絡が入った。

無事に代わりに来てくれた運転手のおじさまに「ウィル・スミスに会いにブダペストに行くんだ」と話したら、「俺、ウィルと彼の家族を送迎したことあるよ」と話してくれた。本当かどうかはわからないが、そんな世間話もしていたらあっという間に空港に到着し、なんとかブダペストに到着し、ひと安心。


と思いきや、ブダペストでも空港から会場までのバスが待てども待てども来ず。バス会社の窓口の方に聞いても「待っていれば来るからさ」と呑気な回答。周りの観光客たちもイライラし始めていた。私も「このままじゃ間に合わない」と焦り、急遽タクシーに移動手段を変更。タクシー乗り場で手続きをしなければならず、受付へと走った。

受付のスタッフの方から「行き先の住所を教えて」と言われたとき、相当焦っていたのだろう、何を思ったのか、日本にある自分の家の住所を教えてしまったのだ。なぜそうなる。今思えば我ながら爆笑だが、あの時は「間に合わなかったらこの世の終わり」くらいの気持ちでパニックだったのだろう。「こんな住所見たことないわよ」と怪訝な顔で言われ、やっと会場の住所を伝えて、なんとか汗だくで会場入り。


ゴリゴリのSPみたいな人にボディチェックをされ、会場内に入ると、普通にもういるじゃないか、あのハリウッドスターのウィル・スミスが。なんか普通に「Hey!」とか言いながらこっちに手振ってますけど。「え、もう会えていいんですか」と思った。

私含め、全部で15名ほどのVIPチケットを購入したファンの人たちと一緒にステージに上がり、1人1人ウィルと話して2ショットを撮った。その時私が彼とどんな言葉を交わしたのか、何を感じたのかはまた別の機会に書きたい。だって1万字じゃ収まらなそうだから。

「本当にこいつ、ウィル・スミスと会ったのか?」と思われて当然なので、証拠としてここに写真を添える。


2025年8月14日ブダペストにて



私はこの出来事を「夢を叶えた」と思っていない。「なんか知らんけど叶ってしまった」という感覚だ。「叶ってしまった」理由は、逆アンコンシャス・バイアスだろう。日本語で表現するならば、「幸せな思い込み」だ。


つい先日も、またしても自分への幸せな思い込みが引き寄せた出来事がある。英会話が必要な仕事の内定をいただいたのだ。「留学をしたことがないから、好きな英語を話す仕事はできないだろう」と長年無意識に思っていた。「TOEICで900点以上取れるように、そろそろ勉強でもすればいいのだろうか」と思ったこともあったが、「点数じゃ私の英会話力は測れないわ」と、またなんとも図々しい思い込みの転換をしたのだ。

そしたら外国人観光客向けの仕事が決まった。ワクワクした気持ちでいっぱいだ。これも「逆アンコンシャス・バイアス=幸せな思い込み」によって叶ったのかなと思う。


人生、どうせなら心地良く生きたい。他人への無意識の偏見をゼロにはできないけど、減らしていきたい。と同時に、自分への思い込みに気づいてあげたい。無意識の思い込みで可能性を制限することも広げることもできる。せっかくなら、自分の可能性が広がった方が人生は楽しいだろう。

「幸せな思い込み=逆アンコンシャス・バイアス」を「ファン・コンシャス・バイアス(無意識な思い込みを楽しむ)」とでも言ってみたい。何が起きても自分が楽しめる方へとバイアスを向けるのだ。

そしたら、気づいたときに叶ってしまう日が来るのだろう。これからも実証実験を続けていく。



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