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のぞみ薄し、女心。

お盆休み。
妻が「大阪のららぽーとに買い物に行きたい」と言い出した。

内心、
「またか……」
と思った。

僕は、買い物にほとんど興味がない。
特に服とか靴とかカバンとか。
店をぶらぶら見て回るということに、
まったく興味がない。

だから妻の買い物に付き合うときの僕は、
だいたい「運転手兼荷物持ち」だ。

この日も、ららぽーとの店内に入ると、
特に何を見るわけでもなく、
妻の後ろをなんとなくついて歩いていた。

建物の中に本屋でもあれば、
そこで30分くらい時間を潰して、
妻の買い物が終わったころに合流する。
それが僕の理想だ。

しかし、この日は本屋に逃げることもできず、仕方なく妻の後ろを歩きながら、
しょうもないことを考えていた。

『無印良品』の、
ふわっと柔らかな雰囲気の店員のお姉さん。

一方、
『ZARA』の、バッキバキに洗練された感じの
店員のお姉さん。

もし、この二人のどちらかと一日デートできるとしたら、僕はどちらを選ぶだろう。

これはもう、
僕の中では『きのこの山』か『たけのこの里』
世に言う『きのこたけのこ論争』
くらいの永遠のテーマだ。

しばらく真剣に考えた結果、
月・水・木・土は無印のお姉さん。
火・金・日はZARAのお姉さん。
これが一番いい。
最&高。

そんな、どうでもいい結論にたどり着いた
ところで、気がつくと僕は妻の後ろをついて、ミスタードーナツの前に立っていた。

閉店間際だったので、
店内はかなり空いていた。

僕たちの前には、トレーとトングを持った
20歳くらいの男の子が一人。

ドーナツを選び終わっているのに、
なぜかレジへ行かない。

レジは二つ。
一つは40歳くらいの男性店員。
もう一つは20歳くらいの女性店員。

男性店員のレジは空いている。
なのに、その男の子は、チラチラと
女性店員のほうを見ている。

「なんで行かへんのやろ?」
と思いながら、僕はドーナツを選んでいた。

そして、女性店員のレジが空いた瞬間だった。
男の子がシュッと動いた。
まるで獲物を狙っていたかのように、
女性店員のレジへ。

二人は笑顔で話している。
どうやら知り合いらしい。

男の子は、明らかに嬉しそうだった。
女性店員もマスクをしていたけれど、
笑っているように見えた。

「ああ、この男の子、
この子のことが好きなんやな」

見ていてすぐにわかった。

たぶん、この時間に彼女がここで
アルバイトをしていることを知っていて、
わざわざ来たんだろう。

そして、男性店員の空いているレジに行かず、彼女のレジが空くのを待っていた。

なるほど。
そういうことか。
なんだか微笑ましい光景だった。

店を出たあと、僕は妻に聞いた。
「さっきの二人、見た?」

「うん、見てたよ。男の子、
あの女の子のこと、めっちゃ大好きやね」
妻もそこは同意見だった。

「うん。めっちゃ好きやと思う」
僕は続けた。
「でも、女の子もすごい笑顔やったやん。
あの二人、ええ感じなんちゃうん?」

すると妻が言った。
「はぁ?何言ってんの?見ててわかんない?
あれは『異性』に向ける笑顔じゃなくて、
『単なる男友達』に向けてる笑顔やで」

そして、追い打ちをかけるように、
「かわいそうやけど、彼には脈ないかな〜」
と言った。

「え、そうなん? マジで?」
僕は本気で驚いた。
「ニコニコしてたやん。めっちゃええ感じ
やったやん」

すると妻が、呆れたように一言。
「っていうか……
相変わらず、女心、全くわかってないなぁ〜」


……。
相変わらず・・・
アイカワラズ・・・

ちょっと悲しくなったので、
ChatGPTに質問してみた。


……なるほど。
どうやら僕は、今回だけじゃなくて、以前から何度も女心を理解していなかったらしい。

妻の言う「相変わらず」には、
ちゃんと積み重ねがあったようだ。

悲しい。。。
でも、ちょっと納得した。

そういえば、さっきまで僕は、
「無印のお姉さんとZARAのお姉さん、
どっちとデートするのがいいか」
なんて、かなり真剣に考えていた。

女心を分かってない僕には
無印のお姉さんとも、
ZARAのお姉さんとも、
デートできる日は、
永遠にやってこないのかもしれない。

そんなことを考えながら、ふと思った。
あのミスタードーナツの男の子。

君が彼女のレジが空くのを、
じっと待っていたこと。
僕はちゃんと見てたぞ。

彼女がどう思っているのかは、
僕にはわからない。

いや、女心がわからない僕には、
たぶん一生わからない。

でも。
少なくとも僕は、
君のその頑張りを応援している。
頑張れ、20歳くらいの君!!!

いつか彼女のほうから、
「今日は来てくれたんや」
なんて言ってもらえる日が来ることを、
勝手に願ってる!!



今回、noteクリエイターのぺぺさんから
『エッセイしりとり』という企画の
バトンを受け取りました。

ぺぺさんは、小学生の娘さんが成長していく日々を、いつも素敵な文章で綴られています。

今回のタイトルは、「竹とんぼと、宝物」の
最後の文字、「の」から始まるタイトルにする
ことがルールでした。

この企画は、前の方から受け取ったバトンを
もとに、それぞれが自由にエッセイを書き、
次の方へバトンをつないでいくというもの。

ただ、もう期限まで1週間程度しかないため、今回は僕のところでバトンを
止めさせてもらいました。

(僕が回すのが遅かったせいです……
ゴメンなさい。。。)


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