見出し画像

誰かのおかげ

the pillowsが、解散するらしい。ライブを見に行ったこともないし、アルバムを買ったこともない。あるのは、このバンドスコアだけ。

2014年7月と書いているから、大学1年生の夏の頃の写真だ。たぶん、軽音サークルでthe pillowsをコピーしようということになったのだろうか。記憶では、その時期にはやっていないはずだ。


実際に買ったのは、2010年12月頃だったと思う。



2010年12月、中学3年の冬。人生のハイライトを考えた時に、これほどハイライトになり得る時期もないだろうと思う。高校受験を目の前に控えていた。といっても、ド田舎の高校受験は、選択肢が少ない。

・ヤンキー高校(といっても相手にする高校が無いので校内でいちびる)
・クソ真面目高校(可もなく不可もなく、女子のスカートは折らないで有名)
・チャラい(人もいるが特進クラスもあり野球部は甲子園出場もある)高校

僕が住んでいた市の中学3年生は、だいたい、この3つの中から選ぶことになるし、私立受験のように高い壁があるわけでもない。定員割れに近いのだ。私立高校に通おうものなら、通いはほぼ不可能で下宿か寮住まいをすることになる。
ということで、特に僕の通っていた中学の3年生の冬というのは、わりかし自由が効いていたように思う。

何をきっかけにしたかは本当に覚えていないが、有志でバンドを組んで、卒業式あたりで発表しようということになった(今度誰かに会ったらきっかけについては本当に聞いておきたい)。8月で部活を引退し、9月の体育祭が終わり、かといって受験にガチンコで取り組む風でもなく、皆時間と体力を余らせていたのだろう。

おじいちゃんのカラオケアンプや、兄貴のお下がりというVOXの真空管アンプ、親戚から譲ってもらったというドラムセット。めいめいが持ち寄って、5人でバンドを組むことになった。

ギターがコウキで、ギターボーカルがヒロキ、と僕、ベースがシュンヤでドラムがヨシキ。
(ヨシキは本当に可哀想だと思う、YOSHIKIじゃないのに)

田舎の良いところは、家や土地が広いところにある。僕の家は中学校から近く、行事の打ち上げ会場でよく使うこともあって、溜まり場風になっていたから、僕の家の仏間をスタジオにすることになった。罰当たりな子孫である。さすがに仏壇に向けて音を出す訳にはいかなかったが、何名かの先祖は目を覚ましただろう。

ということで、2010年12月、どの曲をやろうかという話になり、ELLEGARDENとthe pillowsに決まった。ELLEGARDENのFunny Bunnyを聴いたが、やっぱり違うなとなり、the pillowsの方でいこう、となった。Funny Bunnyの歌詞は、卒業シーズンにはいいだろう、と思った。

ロストワールド
Missing
Make A Wish
Pizza Man
スターフィッシュ
Funny Bunny
(たぶん、うろ覚え)

ELLEGARDENは、コウキの兄貴がほぼスコアを持っていたので新しく買う必要がなかったが、the pillowsは誰も持っていなかった。ということで、僕が代表して隣街まで電車に乗って、楽器屋へ買いに行った。今ならAmazonで買えばいいのだが、「わざわざ電車(正確には気動車、電車すら走っていないのが田舎の証左)に乗って」「皆からお金を集めて」「買いに行く」という手間ひまが、今となっては愛おしい。
話が、逸れた。そうして手に入れたこのthe pillowsのバンドスコアを、いそいそと親父のプリンターを拝借しコピーを取り、皆に配った。
途中、僕の姉貴は大学受験にも被っていて、さすがに同じ敷地でギターやドラムを鳴らされては困るということで、ヨシキの家の離れに移動することになった。
この離れというのが大変居心地がよく、(仏間に比べれば当たり前だが)、しかし15歳の少年が5人集まっても煙草や酒に手を出すことも無く、「今日から俺は!!」や、「WORST」を読み耽った。(練習も、した。)

シュンヤの家で焚き火で焼き芋を作ったらボヤになりかけたり、ヨシキのドラムが全く上達しなかったり、コウキの気分屋に大変振り回されたり、ヒロキにギターを教えたり、と思い出を細かく書き出すとキリがないので省略するが、そうして僕たちの初ライブは、2011年3月の卒業式の後、地区の公民館を借りての謝恩会で行われた。
実際、当日の風景というのもうろ覚えでしかない。むしろ、曲を決めた時のことや練習の風景が思い出される。


取り留めもなく書いたが、こうしてELLEGARDENはもとより、the pillowsのFunny Bunnyは、僕の心に大きく刻まれることになった。

君の夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ。
風の強い日を選んで走ってきた
飛べなくても不安じゃない 地面は続いているんだ。
好きな場所へ行こう キミならそれが出来る

事ある毎に、この歌詞に救われている。し、これからも救われることになる。

去年は、特に聴いた。普通の転職活動ならいざ知らず、仕事をしながら就職試験の勉強をやりつつ、土曜日夜勤に出かける妻に代わり、2歳の息子と2人で夜を過ごした。本当に、風の強い日が続いていたし、夢が叶わなくても、地面は続いていると、思えた。

the pillowsは他にも、ONE LIFE、カーニバル、ストレンジカメレオン、スケアクロウ、サードアイ、Ride on shooting star、Thank  you,my twilight、リトルバスターズ、I think I can、バビロン天使の詩、アナザーモーニング、その未来は今、本当に書き出すとこれもキリがないほど好きな曲が沢山ある。

だから、解散してしまうのはやっぱり寂しいが、去年の僕の夢を叶えてくれたのは、the pillowsのおかげだったように、思う。ありがとう、the pillows。

いいなと思ったら応援しよう!