拝啓、昨日の私へ
拝啓、昨日の私へ
君は今、洗濯機の中でぐるぐると回っているところだろうか?いや、もう暗い排水管の中を流されている頃合いかもしれないな。
どのみち私が追えない場所へ行くだろう。
左様なら。
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拝啓、一昨日の私へ
パチンと切り落とされた君は、ゴミの集積場の片隅で縮こまっていることだろう。何かの役に立つのだろうか?いや、そんなことのために生きる必要はないだろう。
左様なら。
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拝啓、先週の私へ
激痛で私を苦しめた君は、いやにあっけなく出て行った。
下水とともにどこかへ流れて、今頃どこかのフィルターにでも張り付いているのだろうか。
痛みは覚えているが、君のことはもう忘れる。
左様なら。
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拝啓、先月の私へ
どのように処理されるのか、詳しいことは知りはしない。パックされて凍える場所で保管されているのか、はたまたどこかの誰かの身体の中で活躍しているのか。
いずれにせよ、私のことは綺麗さっぱり忘れなさいね。
左様なら。
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拝啓、十年前の私へ
君を形作っていたものは、もうほとんどここにはいないようだ。
細胞は入れ替わり、髪も爪も血も、ずいぶんと遠くへ行ってしまった。
君は誰だ?私は君の続きなのか?
まあいいか。
左様なら。
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拝啓、三十年前の私へ
私はこうして手紙を書いているものの、
それがどこにも届かないことは知っている。
しかし、私がその宛先を知っているということも、また確かだ。
それでもいつか、その宛先をも忘れてしまう日が来るのだろう。
その前に。
左様なら。
Mr.Qさんの「拝啓文芸部」の企画に参加させていただきます。
