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【掌編小説】ぬくもり #せりふ三題噺

 雪こそ降っていないものの寒すぎる、また遅くなった仕事帰り、もう十時を過ぎている、今日は特に遅くなった。
 誰もいない一人の部屋、コンビニで買った晩飯の弁当をレンジで温め食べ、風呂に入り寝て、起きて仕事に行く。そんな変わり映えしない毎日を何年と繰り返しをしている。が、今日は違った。
 アパートの部屋の前にダンボールが置いてあった。ネットで何かを買った覚えもないが間違った置き配か、いや、住所はここだ。ダンボールを持ち上げる、底が濡れていた、雪はもちろん雨も降っていないのに、このまま持ち帰ればもちろん部屋が濡れてしまう、その場で乱暴にテープを剥がし中を確認する。

「なんだこれ……」

 声が漏れた、真っ白い雪が楕円形に固められ、深い緑の譲葉が耳を模し、鮮やかな赤の南天が目となった雪うさぎが二つ、中で溶けてきていた。視線を感じ振り向くと電柱の陰にロングコートを着た女が一人、長い黒髪の隙間からこちらを見ていた。

「よかった、ちゃんと届いた……だから ″今日はここまで″ にしようと思いますね」

 歪んだ口元へ、ポケットから出した見覚えのある鍵に、こちらに聞こえる程の音を立てて口付けた。
 寒気が走り手から荷物を落とす、慌てて部屋の鍵取り出す。やはりそうだ、あの女の持っている鍵はこの部屋の鍵だ。
 ストーカー!? なぜこの部屋の鍵を!? なぜこんな真似を!? 引っ越さなければならないのか!? そんな事をされる覚えはないぞ!? 
 様々な考えが手元をおぼつかせる。急いで鍵を開け、扉を開けると部屋の中の冷たい空気が顔を打ち、身震いを起こさせ通り過ぎた。

 目の前に渦巻く、暗く、冷たい、一人の部屋。

 彼女はどれだけの時間そこにいたのだろう? 彼女は何を求めているのだろう? 今日は? 明日も来るのか? なぜかそんな疑問が浮び、鍵に口付けした手が赤く震えていた気がした。
 足元に落としたダンボール拾い上げ、部屋への扉を開け放ち、電柱の陰の彼女を招く。途端、見開いた目と大きく歪んだ口元で白い息を弾ませ駆け寄ってくる、側から見れば気が触れた行動かもしれないが、それ以上に、ぬくもりが欲しかっただけのかも知れない。この結果がどうなっても、孤独と寒さを拭い、誰かと分け合える、人のぬくもりが。


はい!参加させていたt……もらいました、せりふ三題噺です✨

■セリフ
 「今日はここまでにしよう」
■三題
 ・置き配
 ・コンビニ
  ・雪うさぎ

 ホラー的なアイデアが降ってきたので書かせてもらいました、が! それだけでいいのか? 本当にそれだけで!? と、もう一人の自分が問いかけてきました、そして出来上がったお話です🐇
 ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました🙇 あっ……前回#付け忘れている……。


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