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modern_iguana746
【47】 甘えてしまえば、楽だった。でもまだ… | どうしようもなく、どっぷり浸かった恋の話
金沢の同期が、
また5時間かけて来てくれた。
遅めのご飯を食べていた。
カウンターの席。
彼は相変わらず、
優しく、楽しい時間をくれる。
視界が少しぼやけて、
グラスを持つ手が止まった。
気がついたら、テーブルの上で、
私の手が彼の大きな手に包まれていた。
驚くほど温かくて、
ちゃんとそこにいてくれる安心感があった。
張り詰めていた何かが切れそうで、
そのまま甘えてしまいたくなった。
そうしてしまえば、
楽になれるのは分かっていた。
でも、握られた手のひらの中で、
なぜかあの人と繋いでいた時の、
当たり前でも愛おしかった手の感覚が、
ふと蘇る。
何も言えなくて、
そのまま黙ってしまった。
しばらく沈黙の後
「ごめん。私やっぱり…」
彼は少しだけ笑って、
「そか。ごめん、困らせてるよな」
どこまでも真っ直ぐで、優しい言葉。
強く首を振った。
彼が軽く頭を撫でた。
「大丈夫。考えすぎんなよ」
優しく笑っていた。
ズルい私を、
彼は最後まで優しく包み込んでくれた。
帰って1人になると
これでよかったのかという気持ちが繰り返し押し寄せた。
髪に触れられた感覚だけが
ほんの少し残っていた。
🎵 猫 / DISH//
次回
