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人生を変える作品に出合う⑫『岳』

人生を変える作品は、
必ずしも希望や成功を大きく掲げるものではありません。

前向きな言葉や、分かりやすい結末がなくても、
読み終えたあと、なぜか心に残り続ける。
そんな作品があります。

むしろ、強さや正しさを誇ることなく、
現実の厳しさや不条理を、
飾らずに差し出してくる作品ほど、
人の内側に深く沈んでいくように思います。

『岳』は、まさにそうした作品です。

※当コラムは、Amazonアソシエイトを利用しています。



島崎三歩という「選ばない人」

主人公・島崎三歩は、
いわゆる理想的なヒーローではありません。

善人でも英雄でもなく、
誰かに認められることを目的にもしていない。
損得を考えず、評価も求めず、
ただ「そこに人がいるから」という理由で山に入ります。

彼は正しさを主張しません。
使命感を語ることもありません。
それでも、目の前の状況から目をそらさず、
自分にできることを選び続けます。

三歩は人生を変えようとしません。
未来を大きく描くこともしません。
ただ、自分の在り方を変えない。
その一貫した姿勢が、静かに胸に残ります。


自然は優しくない。だから物語は嘘をつかない

『岳』が描くのは、
自然の美しさよりも、その容赦のなさです。

救えない命があり、
間に合わない判断があり、
どれだけ努力しても覆らない現実があります。

そこには奇跡も、都合のいい展開もありません。
だからこそ、この物語は嘘をつかない。

読者を安心させるために、
悲しみを感動で包み込むこともしません。
現実は現実として、そのまま差し出されます。

その誠実さが、
『岳』という作品に、
簡単に消えない重さを与えているのだと思います。


報われなくても、続けるという選択

助けても感謝されないことがある。
全力を尽くしても、結果が出ないことがある。

それでも三歩は、
何事もなかったかのように、次の山へ向かいます。

それは諦めでも、開き直りでもありません。
結果が出なかったからといって、
自分の在り方まで変えてしまわないという選択です。

彼の姿は、
「結果がすべてではない」と声高に語るのではなく、

結果が出なくても、人はどう生きるのかを、
行動そのもので示しています。


おわりに

『岳』を読んだからといって、
明日から人生が大きく変わるわけではないのかもしれません。

けれど、判断に迷ったとき、
努力が報われず、立ち止まりそうになったとき、
ふと、私は島崎三歩の姿が浮かぶことがあります。

人生が変わるとは、
劇的な転機を迎えることではなく、
迷ったときに立ち返る基準が、
少し静かに変わることなのかもしれません。

『岳』は、
その基準を、言葉ではなく姿で残してくれる作品です。

この作品に気になった方はぜひチェックしてみてくださいね!👇
小栗旬さん主演で実写化にもなっていますよ!





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