そこにいるの/ [波の音]シロクマ文芸部
波の音がきこえた。もうすぐだ。
駅を出ると海水浴場の看板が見えた。この看板に従っていけば海に行けるはず。
海水浴のシーズンはとっくに終わっているがそんなのは関係ない。私は泳ぎたいのではなくただ海に行きたかった。早く、一秒でも早く海に行きたかった。潮の香り、そして波の音。もうすぐだ。
建物の隙間からちらっと見えた海がだんだん大きくなっていく。足が自然と早くなる。
きたよ、私やっときたよ。私は海に向かいそっと手を合わせる。
彼には婚約者がいた、私も彼もお互いを思いながらも思いを告げることができなかった。いくら愛し合っていても私たちが一緒になることは周りが許してくれない。
二人でいる時間はとても大切だった。でも、それも許されなくなり、あなたは婚約者の人と結婚した。
共通の友人があなたが亡くなった事を教えてくれた。あなたの希望で海に散骨されたことも。
海のすべてがあなたのお墓、海に来れば私はあなたに手を合わせることができる。
こちらの企画に
参加させていただきました。
小牧幸助さん
ありがとうございます。
見出しイラストはぽてさんに描いていただきました
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