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実家の布団、帰る前に干してくれていませんか?

「今度の土曜日、帰るから」

そう伝えると、

「はいはい。気をつけてね」

いつもの返事。

そして帰ってみると――

庭に布団が干してある。

「あれ? 布団干したの?」

「うん。天気がよかったから」

そう言いながら、

なぜか嬉しそうな母。


「別に干さなくてもいいのに」

「せっかく帰ってくるんだから」

そんな会話をしながら、

干したばかりの布団に顔をうずめる。

ふわっと広がる、
太陽の匂い。

なんだか懐かしい。


子どもの頃は、

布団を干すのは
親の仕事だと思っていた。

朝になれば布団が片づいていて、

夜になれば、

ふかふかの布団が待っている。

それが当たり前だった。


でも今思えば、

シーツを洗って、布団を干して、取り込んで、

帰ってくる日までに
準備してくれていたんですね。

「気持ちよく寝てほしい」

たぶん、それだけ。

特別なことじゃない。

だからこそ、

気づかなかった。


親の愛情って、言葉より、

こういうところに
隠れていたのかもしれません。

好きなものを買っておく。

いつもの料理を作る。

いつもより早く起きる。

そして、

帰ってくる日のために
布団を干しておく。


親って、こういうことしてたな。

大人になってから気づく、

小さな「おかえり」の準備。

もし今度、実家に帰ったとき、

ふかふかの布団が待っていたら――

「ありがとう」

と、言ってみませんか。

きっと、

「そんなのいいのよ」

なんて言いながら、

少し嬉しそうに笑うと思います。




次回予告|第33話
「実家の玄関、帰ると『疲れたでしょ』って言われませんか?」


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