また今度買おう。その”今度”は、結局来なかった。
昔は、買い物に行くと最初に自分の服を見ていました。
「この色かわいい。」
「これ似合いそう。」
試着して、鏡の前で悩んで、それもまた楽しかった。
でも今は違います。
買い物に行くと、まず向かうのは子ども服売り場。
「もう半袖小さくなったかな。」
「靴もサイズアップしないと。」
「学校で使うTシャツもいるな。」
気づけばカゴの中は子どものものばかり。
それを見ても、不思議と高いとは思わない。
必要だから。
ただ、それが自分の服になると話は別。
「これいいな。」
値札を見る。
2,990円。
昔なら「このくらいなら買おう」と思えた金額なのに、今は一度ハンガーを戻してしまう。
「今日はやめておこう。」
「また今度。」
そう言ってお店を出る。
その”また今度”は、気づけば何か月も来ていません。
でも不思議なんです。
子どもの3,000円は迷わない。
自分の3,000円だけ、すごく高く感じる。
「どうせ毎日同じような服でいいし。」
「誰も見てないし。」
そうやって、自分に言い聞かせるのも、もう慣れてしまいました。
だけど先日、ふと昔の写真を見返したんです。
そこには、お気に入りの服を着て笑っている私がいました。
高いブランドでもない。
特別おしゃれな服でもない。
でも、その頃の私は”好きな服を着ている自分”をちゃんと楽しんでいました。
あの頃は、服を買うことが贅沢じゃなくて、自分をご機嫌にする時間だったんですよね。
母になってから、優先順位が変わるのは当たり前。
子どもが一番。
今自分にこの服を買うなら、息子が欲しがってた、文具やお菓子、たくさん買えるよな?
あ!パパの下着ボロボロじゃなかった?
と自分に問いかけ、、結局諦め。
専業主婦っていうのもありますよね。
でも、自分のことをいつも一番最後にしていると、気づかないうちに心まで後回しになってしまう気がします。
最近は、お店で服を見ても、最初に値札を見てしまう自分がいます。
似合うかどうかより、買っていい金額かどうか。
そんなふうに服を選ぶようになったのは、歳を重ねたからじゃなくて、「母」になったからなのかもしれません。
今日も私は、気になった服をそっと棚に戻しました。
「また今度買おう。」
そう言って帰ってきたけれど、本当は少しだけ着てみたかった。
きっと同じように、自分のことを後回しにしているお母さんは少なくないはず。
たまには、子どもだけじゃなく、自分のために服を一枚選ぶ日があってもいい。
そう思いながらも、次の買い物ではまた子ども服売り場へ向かうんだろうな。
それも、母親あるあるなのかもしれません。
