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【縮毛矯正 備忘録】施術15日目〜秒速4ナノのエルミート行列と、区分的に連続なダーティーマップ〜



2025年11月23日、施術から15日目。ついに半月という一つの折り返し地点を迎えた。

昨日から少し気になり始めていたサイドのうねりが、いよいよ本格的に自己主張を始めている。一度気になり出したら止まらない。たっぷり食べて眠くなるのは私だけで、我が頭上の縮毛たちは決して眠りにつくことなく、毛根の奥底で元気いっぱいに覚醒し続けている。ファイル「縮毛」に綴られた私の闘争の記録も、また新たな絶望のページを刻むことになった。


【第1章:秒速4ナノメートルのエルミート行列】


一歩ずつ、少しずつ。髪は1日に約0.3mm伸びていく。これを秒速に換算すると「秒速4ナノメートル」という極微の速度になる。

数学において、複雑な複素数を要素に持ちながらも、計算して出てくる固有値(観測される結果)が必ず「実数」になる行列を「エルミート行列」と呼ぶ。私の毛根で行われている細胞分裂もまさにこれだ。秒速4ナノメートルという目に見えないミクロで複雑なプロセスを経ようとも、最終的に皮膚を突き破って現れる結果(固有値)は、「うねり」という残酷でごまかしのきかない現実(実数)として私の目の前に突きつけられるのである。


【第2章:区分的に連続なストレート】

サイドのうねりが気になりだしたことで、私の髪は完全なストレートではなくなってしまった。

数学的に言えば、今の私の髪は「区分的に連続」な状態である。前髪や後頭部など、大部分の区間ではまだ美しい直線(連続性)を保っているが、サイドという特定の区間においてのみ、その連続性がプツリと途切れ、うねりという不連続点が発生しているのだ。頭部全体が完全な連続関数(完全直毛)であった黄金期は終わり、継ぎ接ぎだらけの平穏をどうにかやり過ごすフェーズへと移行してしまった。


【最終章:鏡の中のダーティーマップ】

不連続点が生まれた私の頭部を鏡で見つめる。

電波天文学において、観測データの不足によってノイズや偽の構造(アーティファクト)が混ざり込んだ不完全な画像を「ダーティーマップ」と呼ぶ。今の私の視界に映る己のシルエットも、まさにこのダーティーマップである。サイドのうねりというノイズが混入したことで、ストレートヘアという本来観測したかったクリアな画像が歪み始めている。

秒速4ナノメートルで静かに、しかし確実に増殖するノイズを恐れながら、私は今日もため息とともに洗面所を後にするのだ。


【縮毛おじさん秒速の短歌】

ナノの速(と)さ 刻む実数(うねり)の エルミート

鏡に歪む ダーティーマップ



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