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引きこもり主婦の「がん」ばらないステージ4生活⑫(入院初日と抗がん剤)

ー入院初日と抗がん剤ー


「もう〜い〜くつ寝ると〜入院日〜♪」

ちっとも楽しみじゃない「Xデー」を指折り数えながら、ステーキに寿司にケーキetc.と、まさしく食い倒れの年末年始を過ごした。

(我が人生に悔いなし!!)

私は今日から2ヶ月弱の間、標準治療(抗がん剤&放射線治療)を受けるために総合病院へ入院する。

愛するワンコをギュッと抱きしめて、おでこにチュッ、チュッ、チュッ⋯いかん、止まらん!

あぁ、いつまでもこうしていたい。可愛い、大好き。もう入院やめちゃおうか!

そっぽを向いた迷惑そうなワンコに後ろ髪を引かれながら、暫しの別れを告げて家を出た。

−− −− −−

病院へ到着すると、私が入院する産婦人科フロアの個室に案内された。

そこは、清潔な白い壁に温もりを感じる木の腰壁、パステルピンクのカーテンが可愛い、窓がある部屋だった。

「うわ〜。日当たり良いしキレイな部屋!」

「見晴らしも良いね」

私は興奮して大きな鏡の洗面台や、床から浮いた便器がある広いトイレを見ては歓声を上げた。

「見て、冷蔵庫がある!ハンガーもいっぱいあった!」

あちこち開けて見て回る私達は、まるでワンルームの内覧に来た夫婦のように見えただろう。

案内してくれた師長さんは、微笑みを浮かべて見ていたが、忙しいのか「ごゆっくり」と言って早々に去って行った。

その後は、旦那さんに手伝って貰って荷物の整理をした。

あれもこれも、と詰め込んだ荷物はスーツケースに収まりきらず、エコバッグ3つと円座クッションの大荷物だ。

チートスにポテチ、キャラメルコーンの他にコーンスープの素、カップ麺、それからカレーめし!?誰だよ、こんなの入れたのって⋯私だった。

あらかた荷物を片付けると、旦那さんは「病室に長居するのも悪いから、そろそろ帰るよ。また連絡して」と言って自宅に帰ってしまった。

ポツン。

部屋にひとり残されて改めて部屋を見渡すと、頑丈なバイプベッドと私の名前の入ったプレートが目に入った。

ーーーあ、

それまで、浮かれ気分だった私の熱は、スーーーッと引いていった。

「そっか。今日からいよいよ治療が始まるんだ」

私は、ノロノロとパジャマに着替えて看護師さんが来るのをベッドに座って待った。

−− −− −−

私が入院した時期はコロナ禍で、面会禁止、マスク着用が義務付けられていた。

また、感染の恐れがあるため、暗黙の了解で患者同士の接触もほとんど無かった。

「引きこもり」の私にとって、この状況はまさに願ったり叶ったり!!

個室を選んだことで、誰にも気を使うことなく「引きこもりを満喫」することが出来ると思った。

軽いノックの後、看護師さんがバイタルチェックに来て、「今日は点滴ルートを確保して、明日の早朝から抗がん剤をします」と告げられた。

最初に水分補給の点滴を4時間と吐き気止めを30分行って、次にシスプラチンという抗がん剤が始まる。

そして、3時間の抗がん剤が終わると、再び水分補給の点滴を9時間行う。

ざっと計算すると16時間半も点滴することになる。

放射線治療をしながら、これを6クール(回)行うスケジュールだ。

(げっ、終わるの真夜中じゃん)

抗がん剤の説明書を読みながら、私は早くも「帰りたい」と思うのだった。

−− −− −−

翌日は、6時起床と同時に看護師さんがやって来て、寝ぼけまなこのまま唐突に点滴が始まった。

(うぅぅ寒いっ!輸液、冷え冷え過ぎる〜〜〜)

それが終わりそうな頃に、吐き気止めの錠剤と点滴でW防御した。

(抗がん剤の吐き気って、そんなにヤバいの!?)

いよいよ抗がん剤の点滴が始まって、看護師さんの「点滴漏れには気をつけて。皮膚に付くと壊死するかもしれないから」の脅しにビビった私は、トイレを済ませるのにもおっかなびっくりだった。

置いた点滴スタンドが遠いと、ビィーンと点滴チューブが引っ張られるし、針を刺した所に物が当たるとズキッと痛む。

片手が上手く使えないって、ものすごく不便なんだと実感した。

(利き腕に点滴しなくて良かった〜)

夕食を食べる頃には、だいぶ扱い方に慣れてきたが、点滴の終了を知らせるブザー音の大きさには慣れそうになかった。

でも、消灯後の寝静まった病棟に、大音量のブザーが鳴り響くと「おっ、抗がん剤やってるな」なんて勝手に仲間意識が芽生えたりした。

ここでは、妊婦さんとがん患者が一緒に入院しているから、お互い様とはいえチョット妊婦さんを気の毒に思う。

(抗がん剤やってる人、夜間のブザーは気を使っちゃうだろうな)

深夜1時をまわって、当直の看護師さんが「くこさん、お疲れ様」と労ってくれて、やっと抗がん剤から解放された。

自由になった左腕をブンブン回しながら、これから歯みがきと洗顔して、と考えて⋯⋯

(えぇっ、たった4時間しか寝れないじゃん)

それに、水分補給の点滴のお陰でメチャ頻尿になってる。30分に1回なんて、酷い。

出たオシッコの量も記録しなくちゃいけないし。はぁ〜、今日は殆ど寝れなさそうだ。

部屋にトイレがあるって素晴らしい!!「がん保険」に入ってて良かった〜と、しみじみ思いつつ、頻尿の夜は更けていくのだった。

−− −− −−

入院2日目は、こんな感じで順調に抗がん剤治療はスタートした。

ーーーまさか、翌日にナースコールを押す緊急事態が起きるとは夢にも思わなかった。


ー続くー

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くこ 最後まで読んで下さって有難うございます。書くことを始めてまだ間も無いですが、支援して頂けたらとても嬉しいですし、また、今後の励みになります。