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「世の中から”移住”という言葉をなくしたい」 人生のステージに合わせて、何度でも働く場所を選び直す「Lターン」という生き方

「都市部ではない地域で働くことは、キャリアダウンではないか?」
「地域へ一度移住したら、もう東京には戻れないのではないか?」

そんな不安や固定観念を打ち破るために、LoLLL株式会社(以下、ロール)では、人生に合わせて、仕事も暮らす場所も何度でも選び直すキャリア支援サービス「LoLLLキャリア」を展開しています。

 サービス開始から1年半が経った今、新たにロールが提唱しているキャリアのスタイルが「Lターン(LoLLLターン)」です。テクノロジーによって場所の制約から人が解き放たれつつある今、人生の節目に合わせて何度でも働く場所と暮らす場所を選び直せる、新しい生き方を提案しています。

「L」には、私たちLoLLLの名前だけでなく、Life(人生)やLocation(場所)という意味も重ねています。人生の変化に合わせて、働く場所・暮らす場所を何度でも選び直していく。そしてLoLLLという名前にも込めた「ロール=循環する」ように、一方向ではなく、場所と場所の間を自由に行き来していく。そんな生き方を「Lターン」と呼んでいます。

これまでの歩みで見えてきた地域企業における採用のリアルな変化から、Lターンが当たり前になる未来像まで、ロール代表の森健志郎に聞きました。

 

求職者より、企業側の課題が大きいという現実

━━LoLLLキャリアのリリースから約1年半が経ちました。実際に地域企業や、地域で働くことに関心をもつ方々と向き合ってきた中で、どのような手応えや変化を感じていますか?

この1年半で強く感じたのは、東京に比べて地域の企業のほうが、人手不足への危機感が圧倒的に強いということです。
 
東京の経営者や人事担当者と話していても、人手不足を深刻に語る人は稀です。しかし地域の経営者は、やりたいことはたくさんあっても「人がいないことには始まらない」という切実な課題にまず直面してしまいます。
 
実は、サービスを始めてしばらくは、課題の多くは求職者側にあると思っていました。地域で働きたい気持ちはあるけれど、あと一歩が踏み出せない求職者の背中を押して、よい企業さえ紹介できればマッチングは成立するだろうと。しかし、実際に向き合ってみると、むしろ企業側の課題が大きかった。 

課題の一つは、自社の魅力を外にうまく伝えられていないこと。東京の企業と相対化したときの、自分たちの強みや魅力を訴求する戦略的な採用広報が必要だと思います。
 
さらに踏み込むと、そもそも地域では人事部が存在していない企業も多く、安心して働ける人事制度が整っていないケースも多々あります。社員の給与を社長の一存で決めている会社や、10年以上も給与テーブルが変わっていない会社も珍しくありません。そうした制度面で、多様な人材を受け入れる準備ができていないという実情が、地域で働くことの大きなハードルになっていました。

━━歴史の長い地域企業が変わるのは、簡単ではないように思えます。実際のところ、企業側は変わり始めているのでしょうか?
 
例えば、老舗企業に「もっと人を採用したいなら、時短勤務やリモートワークをOKにして応募できる人を増やしましょう」と提案しても、すぐにその企業が働き方を変えるのは難しいと思います。
 
それでも、変わり始めている会社は、確実に出てきています。中心となっているのは、東京やグローバルでの就業経験を持つ30〜40代の「アトツギ」の経営者たちです。これから地域を支えていくために「企業が変わらなければならない」という危機感をもち、時短勤務の導入、評価制度の明確化など、働きやすい環境を率先して作っているんです。
 
そうしたイノベーター企業が変革を行って優秀な人材を採用し始めると、周りの会社も「うちも変わらないと、人が取れなくなる」と動き出します。一社や二社の変革が、隣の会社、そのまた隣の会社へと変化が伝播していく。今、日本の地域ではそういう面白いアップデートが起き始めているんです。


 人生に合わせて、何度でも自由に場所を選び直す「Lターン」

━━ロールが提唱している「Lターン(LoLLLターン)」について、詳しく教えてください。
 
「Lターン」とは、自分が働く場所、暮らす場所を一回限りで固定せず、ライフステージやキャリアチェンジに合わせて何度でも選び直す生き方のことです。UターンやIターン、Jターンという言葉は、その人が移動したという事実を指す言葉です。たとえば大阪生まれの僕が福岡に引っ越したら「Iターンしたね」と言われますが、移住を決めたら、一生そこで暮らさなければならないイメージがどうしてもありました。その価値観を変えたいんです。

━━たしかに、「地域に移住する」というのは人生を賭けた、とても重い決断のように感じてしまいます。
 
そうなんです。多くの人が、地域へ戻ったり移住したりすると「もう東京や大阪には戻れないのではないか」「キャリアがそこで途切れてしまうのではないか」と、まるで片道切符の人生を賭けた決断を要求されているかのように思い込んでいます。
 
でも、実際はそうではありません。Lターンは、もっとしなやかで、もっと気軽でいいものです。たとえば、3年間だけ海沿いの街で暮らし、オンラインで学びながら魅力的な仕事をして、また東京に戻っていく。あるいは、独身時代は都市部で働き、結婚や出産を機に地域へ移住し、子どもが大きくなったらまた別の場所に拠点を移すのもいいですよね。
 
人生には、結婚、育児、親の介護などさまざまな変化が訪れます。その変化に合わせて、いつでも生きる場所と働く場所を選び直し、循環し続けることができる。それが「Lターン」という新しい生き方の提案です。
 
━━「選び直し、循環する」という生き方を提唱する根底には、どのような思いがあるのでしょうか?
 
僕は、ロールの親会社でもあるスクーを立ち上げた当初から「人はもっと自由であっていい」という思いをもっています。せっかくインターネットが普及し、すばらしいデバイスが生まれ、対面だけでなくリモートでも仕事ができるテクノロジーがあるのに、働く場所や学ぶ場所、暮らす場所に縛られ続けるのはもったいない。テクノロジーやビジネスモデルというのは、人間を自由にするために存在しているはずです。
 
スクーでは、オンラインの学習プラットフォームを作ることで学ぶ場所を自由にしてきました。また、働く場所も自由でいいと自社ではリモートワークを貫いています。そしてLoLLLキャリアを通じて、働く場所や暮らす場所を自由に選択できるようにする。自分が生きたい場所を、いつでも自分の意思で選択し直せる。そのほうが、人間として自由だし、人類の正しい進化の方向性でもあると思っています。

 

実は地域こそ、ビジネスチャンスの宝庫

━━地域で働くことに関心はあっても、「キャリアダウンになるのでは」「仕事の選択肢が狭まるのでは」という不安から、一歩を踏み出せない求職者も多いのではないでしょうか?
 
それは、これまでの価値観に縛られすぎているのかもしれません。今の時代、本気でビジネスキャリアを伸ばし、面白い挑戦をしたいなら、むしろ地域に飛び込んだほうがチャンスが多いと僕は考えています。
 
というのも、先ほどお話ししたアトツギ経営者が改革を進める企業などでは、新しい事業を立ち上げたい、あるいはM&Aで引き受けた近隣の同業他社を再生したいというニーズが山ほどあります。
 
ところが、それを任せられる優秀な若手リーダーが地域には足りていません。そのため、「20代や30代前半であっても、優秀なら責任者として迎え、新規事業の経営を任せる」「M&A後の企業統合(PMI)の責任者になってもらう」といった、東京の激しい出世競争の中ではなかなか得られないような、大きな裁量とポジションがたくさんあるんです。

実際に、LoLLLキャリアに参画していただいている企業の多くは、そうした地域をけん引する勢いのあるトップランナーです。
 
━━「キャリア」という意味そのものを捉え直す必要もありそうですね。
 
本当にそう思います。最近では、年収の額や、つぶしがきく職種を選ぶといった、将来への不安をベースにした意味に縛られすぎているように感じます。
 
でも、仕事って本来何でしょうか? 誰かの役に立って、その対価としてお金と感謝をもらうことですよね。そう思うと、地域で「自社がこのエリアの物流を支えている」「この事業を成長させることで、地域の雇用を生み出せる」という責任とビジョンのある立場で働くことで、手触り感のある感謝をたくさん受け取れるんじゃないでしょうか。
 
人として豊かな人生を送れるか、幸福度が高い生活は何かという視点からキャリアを考えることで、違う選択肢が見えてくるかもしれません。
 
━━まだLターンは一般的な選択ではないかもしれませんが、今後どのように社会に浸透していくと考えていますか?
 
これは、かつてのスタートアップの採用状況とよく似ています。僕が15年前にスクーを立ち上げた当時、起業したり、スタートアップに転職したりする人は変わり者だと思われていました。
 
それが今ではどうでしょう。優秀な若者が新卒でスタートアップに入ることも、起業することも、普通どころか、むしろカッコいい選択肢として世の中に認められています。
 
地域で働くこと、Lターンすることも、これから同じ道をたどると思っています。今はまだ「少し変わった選択」かもしれませんが、地域で面白いキャリアを築き、生き生きと暮らす先駆者たちの姿がどんどん発信されていけば、5年、10年と経ったときには、誰も驚かない、ごく当たり前の選択肢になっているはずです。


成功事例を積み上げ、「移住」という言葉がなくなる未来へ

━━Lターンという生き方を具現化するために、直近でどのような取り組みをしていますか?
 
2026年8月、LoLLLキャリアの福岡エリア専用サイト「LoLLLキャリア 福岡」をオープンしました。

 社会にLターンという新しい選択肢を定着させるには、まず成功事例を作ることが大切だと考えました。福岡は移住先として人気が高く、都会の便利さと豊かな自然が共存しているため、求職者にとって移住への心理的ハードルが低いという特徴があります。それに、もし万が一、新しく入った会社が自分に合わなかったとしても、福岡ほどの都市であれば、そこから別の地域や東京のキャリアに戻ることも容易です。
 
これが離島などの極端にローカルな地域だと、「移住先が合わなかったらどうしよう」という不安が大きくて移住の決断をしにくいですよね。だから、まずは福岡という挑戦しやすい地域で、Lターンしてキャリアも暮らしも豊かになったというモデルケースを数多く輩出する。そこから他の地域へこの社会運動を広げていくのが、確実なステップだと考えています。
 
そして、一般的な求人票だけでは伝わらない仕事の面白さや経営陣の熱量、地域貢献活動を、SNSやイベントなどあらゆる方法で求職者へ発信していますが、まだまだ情報を届けきれていません。こんなにも魅力的な企業が地域にあるということを、もっと多くの人に伝えていかなければならないと思っています。
 
LoLLLキャリアを通じてLターンを実現した方々も出てきているので、そうした成功事例や学びを他の求職者の方や地域企業へ伝えていく必要もありますね。


━━Lターンを広げるためには、受け皿となる地域企業の採用や組織の改革も必要です。そのための取り組みについても教えてください。

 
求職者の背中を押すだけでは、企業側とのギャップは埋まりません。地域企業の多くは、人事の専任者がおらず、総務が採用も兼任しているようなケースがほとんどです。
 
そこで立ち上げたのが、「LoLLLビルド」というサービスです。AIのフル活用を前提とした業務設計、採用戦略の立案、面談のやり方のレクチャー、人事評価や制度の設計などを支援します。受け入れ側となる企業の体制が整い、魅力的なポジションが用意されれば、優秀な人が自然と集まってくる会社へと変わっていくはずです。
 
LoLLLキャリアとLoLLLビルドの両軸で、求職者と地域企業の両方に対する支援の幅を広げていきたいと思います。 

━━森さんが描く、Lターンが当たり前になった先の日本の未来とは、どのようなものでしょうか。
 
僕が目指す究極のゴールは、「移住」という言葉がこの世からなくなることです。たとえば、東京の目黒区から隣の品川区に引っ越すとき、あるいは横浜市に引っ越すとき、「移住する」とは言いませんよね。これは「引っ越し」です。
 
それが、福岡や熊本、長野などに行くとなった瞬間に、なぜか「移住」という大きな言葉になり、一生を賭けた決断のように扱われてしまう。国境を越えるわけではないのですから、国内の移動はすべて、自分のライフステージや仕事に合わせた、前向きな引っ越しであってほしいんです。
 
誰もが他人の評価や固定観念から解放され、自分自身の人生に正直に、軽やかに居場所を選び直せる社会。そんな、人が本来もっている「生きる自由」を最大限に発揮してLターンできる日本を、LoLLLキャリアを通じて作っていきたいと思います。

※LoLLL株式会社では人材紹介許可取得後に事業開始を予定しており、現在は株式会社Schoo(有料職業紹介事業許可:13-ユ-315572)でのみ人材紹介事業を行っています。


日本中から自分らしい仕事と暮らしを見つける、Lターン実現サービス「LoLLLキャリア」では、「いつか移住したいけど、何から考えていいか分からない」段階から気軽に相談できます。無料のメンバー登録をいただくと、イベントの開催情報や求人情報をいち早くお届けしています。

移住転職はあくまで、キャリアの選択肢のひとつ。自分のキャリアにふと迷ったら、ちょっとのぞいてみませんか? 地域にはまだ知らない、「あなたらしく働ける場所」があるかもしれません。

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