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ある地名の風景

今回は日本地名研究所を主宰した
谷川健一の著書「続日本の地名」より
カッパについての項目を抜粋して紹介したいと思います。

夏だから”お菊さん”や”のっぺらぼう”の続き
というわけではないのですが・・(笑)

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(前略)

中国、四国の方言ではエンコウは猿のことではなく、河童をさす。
山口県豊浦郡菊川町下保木の城光寺にある猿猴塚は、
水浴びにきた馬を川に引き込もうとして逆に負け、
陸に上げられた猿猴(河童)が、
今後絶対に悪ふざけはしない誓いに立てた大石だという。

広島市のJR駅近くに猿猴川が流れている。
柳田国男の「山島民譚集」には、島根県や高知県の猿猴川とか
エンコウ淵の地名がいくつか挙げられている。

また同書には中世に河童を河猿とか淵猿と呼ぶ時代があったことが
記されている。
愛媛県北条市猿川は高縄山の北方、立岩川の上流にある集落であるが、
この猿川という地名は河童の棲む川という意味である。

河童は私の郷里の熊本ではガラッパまたはカワワロと呼ぶ。
これは川童(かわわっぱ)の方言である。
川太郎を意味するガタロ、川子に由来するカワゴまたはコウゴと呼ぶ地方は各地にある。

そこで、川子石とか川子岩という地名が残っているが、
それらの地名は河童にちなむ話を伝えてもいる。

長野県上伊那郡辰野町の羽場は、天竜川に面する段丘で、羽場淵がある。
この淵にも河童が棲み、容貌は猿によく似ているとされ、
あるいは馬を水に引き入れようとして失敗した話が残っている。

そこから一キロほどはなれたところに辰野町赤羽があり、
そこには川子沢という名が見られる。
ここもまた、河童の棲む沢という地名であることは疑いない。

谷川健一著「続日本の地名」-動物地名をたずねて-

                    (1998年岩波新書)より

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猿と重ね合わせた日常の存在をうかがわせますねぇ。
地名になるということは、実在するしないより
川に対する畏敬のようにも思えます。

まぁ、私などは小島功氏の黄桜カッパが
先に浮かびますが(笑)

口絵はイメージとして徳島の吉野川を描きました。

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