審査は、公平に行われた
目をつぶる。
審査員たちは、一斉にそうした。
「姿に惑わされず、歌だけで公平に選びます」
今年の迎え火では、ご先祖様を迎えるオペラの祖母役を、
公開オーディションで決めることになった。
一人目。落選。
二人目。落選。
三人目が歌い終えると、審査員全員が満点をつけた。
「素晴らしい。これこそ、私たちが求めていた『祖母』です」
会場から大きな拍手が起こる。
審査員たちが目を開けると、
舞台には町とは縁もゆかりもないプロ歌手が立っていた。
一方、迎え火を見て帰ってきた祖母は、予選で落とされていた。
審査員長が結果を読み上げる。
「歌唱力、表現力、舞台映え。すべて最高評価です」
そして最後に付け加えた。
「なお、ご先祖様本人であることは、審査項目にありません」
祖母は黙って帰った。
審査は、公平に行われた。
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