欄干のない橋を渡る。沈下橋で見つけた、飾らない日々の色
四万十川の最も下流に架かる、佐田の沈下橋。欄干のない独特の橋から見下ろす清流。
SNSで見かけるそれは、透き通った清流の上にスッと伸びる、絵に描いたような美しい絶景だった。

でも、私が訪れた日の沈下橋は、少し様子が違っていた。
雨の影響だろうか。川の水は想像していたような透明度を持たず、少し濁った色をして流れていた。
最初は「あ、思っていたのと違うな」と、少しだけ拍子抜けしたのも事実だ。

けれど、自分の足でその橋の前に立ち、アスファルトの道を歩き始めたとき、景色に対する見方がすっと変わっていくのを感じた。
ずらりと等間隔に並ぶ青い橋脚。増水すればそのまま川に沈んでしまうように造られたその橋は、自然に抗うことなく、ただそこにあった。

立て看板によれば、昭和46年に架けられる前は渡し舟で両岸をつないでいたそうだ。橋の途中に2箇所、人がすれ違えるように少し幅が広くなっている場所がある。

ここは、誰かに見せるための「観光地」ではないのかもしれない。
天候によって濁る日もあれば、橋ごと沈んでしまう日もある。それでも、両岸の集落をつなぐ「生活の道」として、当たり前のように日々を支え続けている。
私たちは時々、日常に対しても「美しい状態」ばかりを求めて息苦しくなってしまう。
でも美しいばかりじゃなく、濁る日もあっていいのだ。予測できない自然のままに任せてしまえばいい。余計な境界線を持たずに、自然と歩んでいくことが大切だ。

そのことに気づいたとき、濁った川の景色が、なんだかとても愛おしく、逞しいものに見えてきた。飾らない生活感の匂いとともに、その青い橋脚の姿は、私の心に深く刻まれた。

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