マーマレードたこ焼き
夢を見ました。
そこで皆さんに相談があります。
僕は夢占いとか信じるタイプなんですけど、この夢が何を暗示しているのか、そして、僕はどうしたら良いのかを一緒に考えてくれると助かります。
*
それは新宿の「銀だこ」にたこ焼きを買いに行く夢でした。
「6個入りを1パック、持ち帰りでください」
「はーい」
店内から出てきたのは、白い割烹着を着た子熊のパディントン。
いきなり熊ですからね。現実ならパニックですよ。
でも夢なので
「パディントンも働くときは割烹着なのか。銀だこの教育はしっかりしているな」
と感心しました。
「プレーンでお願いします」
「ソースとマヨネーズは?」
「たっぷりで」
「わかりました」
ソース ペタペタ マヨネーズ ビュー
「青のりはかけますか?」
「あ、お願いします」
アオノリ パラー
「ハチミツはかけますか?」
いやハチミツはねぇだろ。
パディントン、たこ焼きにハチミツかけようとしてきたんですよ。
ハチミツの壺をよく見るとプーさんが持ってるやつでした。
もしやと思い店頭を見上げたら
「期間限定!ハチミツキャンペーン実施中」
の看板。
そこにはプーさんが美味しそうにハチミツたっぷりのたこ焼きを食べてるイラストが描かれていました。
これ憶測なんですけど、どうやら銀だこは人違いならぬ熊違いでパディントンを採用したっぽいんですよね。
プーさんの看板でパディントンですから。現実ならパニックですよ。
でも夢なので
「パディントンも色々と大変だなぁ」
と納得しました。
看板を見上げていると、パディントンは周りをキョロキョロと見渡して人がいないことを確認してから小声で囁きました。
「あの、実はプーさんじゃないんです、ボク」
知ってるからね。
「えぇ、わかってます。でも僕はパディントンさんの方が好きなので嬉しかったですよ。ていうか日本にもあなたのファンは沢山いますから、逆に喜ぶ人も多いと思います」
「本当ですか!?それはうれしいなぁ」
目を細めるパディントン。小さな耳をピコピコと動かして嬉しそう。
「サービスに特製マーマレードをかけますね」
マーマレード トロ〜
いやマーマレードもねぇだろ。
「ちょ、何やってんだパディ公!」
カウンター越しにパディントンの胸ぐらを掴みました。
「だ、大丈夫。マーマレードサンドひとつで熊に必要な1日分の栄養が摂取できますから」
何が大丈夫なの? バカなの?
温厚な僕もさすがにキレましたね。
大抵のことなら許せます。でもたこ焼きに関しては地雷っていうか、頭のネジが飛んじゃうんですよ。いくら世界中から愛されるパディントンでも関係ありません。僕にとってのたこ焼きってそれくらいの存在なんです。
でも、そこで僕の怒りは収まりました。
なぜかって?
よく見るとマーマレードたこ焼きがめっちゃ美味しそうだったんですよ。
「ほら、早く食べて。ヤケドに気をつけてくださいね」
パディントンを解放し、たこ焼きを1つ口に放り込みます。
何コレうっっっま。
口に入れた瞬間、鼻に抜ける青のりと柑橘系の爽やかな香り。
複雑に絡み合うマーマレードとソースの異なる甘さ。
ほのかな苦味が後をひいて、飲み込んでもすぐ次が食べたくなります。
あまりの美味しさにパディントンを強く抱きしめました。あぁ、ソースの匂いがする。
僕は普段こんなに感情を表に出さないのですが、たこ焼きに関しては琴線いうか、頭のネジが飛んじゃうんですよ。大都会の新宿ど真ん中だろうと関係ありません。僕にとってのたこ焼きってそれくらいの存在なんです。
「パディントンさん、これ美味すぎ。たこ焼きの新時代到来ですよ」
「でしょう。ペルー名物です」
いやペルー名物はねぇだろ。
——そう思ったところで覚めました。
「なんて夢みてんだ…」
この夢の暗示が気になり
「かわいい 子熊 夢」
で検索した結果、
「熊は母性のシンボル。あなたの母性が高まっています」
と出ました。
*
皆さんに相談です。
で、僕どうすりゃいいの。
