【猫の掌編小説】|猫さん子猫のおもちゃに夢中

「今日は子どもたちのおもちゃを買いに行くでやんす」
猫は車の鍵を手に取った。
「おもちゃ、かうでやんしゅ!」
子猫たちは大喜びした。
猫たちは、猫町にある「ベビーキャットショップ にゃんすく堂」へ向かった。

お店に到着すると、三毛猫の店主が迎えてくれた。
「いらっしゃいませでがんす。お久しぶりでがんす。」

「子どもたちのおもちゃを買いに来たでやんす」
「何をお探しでがんすか?」
「この子たちが楽しく遊べるものが欲しいでやんす」
「承知しましたでがんす。店内をゆっくりご覧くださいでがんす」
店の中には、猫じゃらしやボール、ぬいぐるみなど、たくさんのおもちゃが並んでいた。
子猫たちは、目を輝かせながら店内を見て回った。
最初に風吉が見つけたのは、秋刀魚の形をしたポールに、猫の首輪を投げて遊ぶ輪投げだった。
「おしゃかなでやんしゅ!」
「なかなか立派な秋刀魚でやんすね」
なぜか猫のほうが、じっくりと眺めている。
白雪は、台の穴から次々とねずみが飛び出す「ねずみ叩き」を選んだ。
「ねじゅみ、たたくでやんしゅ!」
虎之助が気に入ったのは、円盤の上を鰹節のおもちゃが逃げ回る「くるくる鰹節キャッチ」だった。
「かちゅおぶし、つかまえるでやんしゅ!」
「三つともいただくでやんす!」
猫はおもちゃを車に積み、一家は家へ帰った。
家に着くと、猫は庭に三つのおもちゃを並べた。
「まずは、お父さんが正しい遊び方を見せるでやんす」
猫は秋刀魚の輪投げの前に立った。
「秋刀魚をよく見て投げるでやんす!」
ひょいっ。

首輪は秋刀魚を大きく越え、植木鉢に入った。
「いまのは、風のせいでやんす」
もう一度投げると、今度は猫の頭に落ちた。
「もう少しでやんす!」
猫は何度も首輪を拾い、夢中で投げ続けた。
「お父しゃん、風吉もやりたいでやんしゅ……」
「あと一回だけでやんす!」
しかし、その一回は、なかなか終わらなかった。
次に猫は、ねずみ叩きの前に座った。
穴からねずみが顔を出した瞬間、猫の目つきが変わった。

「そこにいたでやんすね!」
ぱしっ!
別の穴から出ると、今度は両方の肉球で叩いた。
「あっしから逃げられると思ったら、大間違いでやんす!」
最後は、くるくる鰹節キャッチである。
円盤の上を鰹節が回り始めると、猫もその周りをぐるぐると追いかけた。

「待つでやんす!その鰹節はあっしのものでやんす!」
猫はすっかり夢中になり、子猫たちは三匹並んで、その様子を眺めていた。
やがて、空が夕焼け色に染まり始めた。
「そろそろ秋刀魚を焼く時間でやんす」
たま子が声をかけた。
「あと一回だけでやんす!」
「よほどおもちゃが気に入ったんでやんすね」
たま子は微笑んだ。
「これは、子どもたちが安全に遊べるか、念入りに確かめているだけでやんす!」
そう言いながら、猫は鰹節を追い続けた。
「ぼくたち、まだほとんど遊んでないでやんしゅ……」
その日、庭から秋刀魚の焼ける匂いがすることはなかった。
聞こえてきたのは、「そこにいたでやんす!」という猫の声と、ねずみを叩く音だけだった。

これまでのお隣の猫シリーズはこちら😺
おまけ😺



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