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#9「発信者とカウンセラーの違い」公認心理師×ラブライフアドバイザーが読み解く「だれかに聞いてほしい、性のなやみ」

性に関する相談は、ひとつとして同じケースはありません。けれど、その奥には共通する「すれ違い」があります。

このシリーズでは、公認心理師の潮英子先生と、ラブライフアドバイザーのOliviAが、実際の相談現場でどう見立て、どうアドバイスを考えるのかを、対談形式でお届けします。

今日からシーズン2が始まります!
このシーズンでは、これまでの「悩みを抱える方」に向けた相談紹介に加えて、性の発信者やカウンセラーとして活動していく人が抱える悩みも取り上げていきます。
相談を受ける側にも、迷いや葛藤があります。
相談を受ける人を支えることも、このシリーズの役割にしていきたいと思っています。
その第1回は、「発信者とカウンセラーの違い」から。

今回のテーマ

性の専門家として活動したい。
そう思ったとき、道は大きく二つに分かれます。多くの人に向けて発信していく「発信者」と、目の前のひとりと向き合う「カウンセラー」
似ているようで、この二つは決定的に違います。
その違いがいちばん表れるのが、「自己開示」
自分の経験を、どこまで人に見せるか。
今回は、11年にわたって性の専門家を育ててきたラブライフアドバイザーのOliviAと、公認心理師の潮英子先生が、発信者とカウンセラーの分かれ道を、自己開示という切り口から読み解きます。


「自己開示は、しない」というカウンセラーの原則

OliviA 私はこの11年、ラブライフカウンセラー®養成講座を続けてきました。始めた目的は、次世代の性の専門家を育てること。東京にいる私ひとりが関われる人数は限られているので、各地域に、性の悩みを受けとめられる人が根づいて活動していってほしい。そう思って続けてきました。
蓋を開けてみると、発信者になりたい方と、一対一のカウンセリングをやりたい方と、それぞれの個性で進む道が分かれていくんですね。
まず、この「自己開示」について、公認心理師の立場から教えていただけますか。

英子 自己開示というのは、自分の経歴や属性、個人的な体験を、カウンセラーがクライアントや公の場で話すことを言います。実は、どの流派の心理療法でも、原則として「自己開示はしない」とされているんですね。
理由はいくつもあります。自己開示をすると、カウンセラーとクライアントの適切な距離—境界が保てなくなる。
クライアントがカウンセラーに感情を向けることを「転移」、逆にカウンセラーがクライアントに感情を抱いてしまうことを「逆転移」と言いますが、距離が縮まりすぎると、これが起きやすくなります。

英子 それに、カウンセラーの体験が、そのまま誘導になってしまうことがあります。「先生は離婚して、こんなふうに活躍している」と知ると、まだ決めていないクライアントが「じゃあ私も離婚した方が?」と傾いてしまう。逆に、固まっていた決心が「こんな大変なこともあるのか」と揺らいでしまうこともある。よく喋るカウンセラーだと、「この人は私の話も、どこかで話すのでは」と、守秘への不安を抱かせてしまうことも。だから原則として、カウンセラーは自己開示をしない方がいい、とされています。

それでも、経験を「看板」に掲げる人はいる

OliviA ただ、個人で活動するカウンセラーは、新規の相談者を得るために、自分の離婚経験や育児経験を強みとして「看板」にしている方も多いですよね。
自己開示しないことが原則でも、宣伝の場とカウンセリングルームという個人の空間と。
皆さん、どう使い分けているんでしょう。

英子 先ほど、お話ししたのは、あくまで心理師としての基本形です。実際は、柔軟に考えていい。情報発信をされる方なら、あらかじめ「自己開示の範囲」を決めておくといいですね。家族構成はここまで、出身地や職業経歴はここまで、あるいは過去の失恋体験まで出す。それを売りに発信しているのであれば、最初からそれを読んで来てくださるので、構わないと思います。決めておくこと、が大事です。

不特定多数に向けるとき、ひとりに向き合うとき

OliviA 私自身、メディアで多くの人に届ける発信のときは、言葉を選んで、発信者としての立ち振る舞いで話します。エッセイには、自分の経験を赤裸々書くこともある。むしろメディアの方が、自己開示しています。
でも、同じ空間で一対一の相談を受けるときは、自分を引く。自分の体験に、相談者を引きずらないように、すごく気をつけています。
講演、施術、カウンセリングで、モードを切り替えているので、受講生が施術を受けにきてくださると「今日はセラピストモードですね」と言われることもあります。この線引きを、自分で引けるかどうか。
ここを気をつけることで、多様な価値観を持つ読者や相談者に柔軟に対応できるようになると思います。

顔出しするか?活動名を作るか?

OliviA それと、これから発信活動をしたい受講生が悩むのが、顔出しをするか、活動名と本名を分けるか、ということ。私自身は顔出しはして、ある程度の家族構成も出しますが、家族の顔や個人情報は出さない。活動とプライベートは切り分けています。顔を出した方が、一対一の相談でもセミナーでも申し込み前に信頼度は上がる。でも、顔を出さず、文章の力だけで信頼を築いて活躍している方もいます。顔出しがマスト、ではないんですね。

英子 カウンセリングから入った方は本名で活動していることが多いので、途中で名前を変えるのは難しい面もあります。でも、これから始める方なら、SNSで何でも書かれてしまう時代ですから、自分や家族を守るために活動名を作った方がいい、と個人的には思います。ただ、カウンセリングも同時にやっていくなら、顔出しは必要になっていくかな、とも。オンラインでも、クライアントの顔を見ながら話したいカウンセラーは多いんです。

分かれ道の先に、「受け継ぐ人」がいる

OliviA 発信のときと、一対一のとき。自己開示の線引きを自分で引けること、自分の体験に相手を引きずらせない配慮ができること。これは、発信者にもカウンセラーにも欠かせない、プロの技術だと思います。「ラブライフカウンセラー®︎養成講座では、「ブランディング相談」として、顔出しや活動名、自己開示の設計まで一緒に考えます。リアルタイムで講師2名との個別講義だからこそ、こうした一人ひとりの活動の悩みにも乗れるんですね。

英子 OliviAさんが草分けとして道を切り開いて、その後を受講生が継いでいく。これは、本当に誇らしいことですよね。

OliviA 今では、メディアにも、「ラブライフカウンセラー®︎養成講座の卒業生が次々に登場して、次の世代の専門家として活躍している。私の想いを伝え、活動をサポートした方々が、次世代として育っている。この講座を始めた時の願いも叶えられ、これほど誇らしいことはありません。

発信者に向く人と、カウンセラーに向く人。
その分かれ道の芯にあるのは、「自分を、どこまで出すか」という自己開示の設計です。自分を前に出して多くの人に届ける力と、自分を引いて相手を主役にする力。どちらも、性の専門家に必要な技術です。

こうした「現場でどう見立て、どう対話するか」
そして活動の始め方までを、「ラブライフカウンセリング入門講座」、そしてより深く学ぶ「ラブライフカウンセラー®養成講座」で、体系的に整理しています。

▶ ラブライフカウンセリング入門講座

▶ ラブライフカウンセラー®養成講座

▶ 卒業生の活躍

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