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「合格範囲内」って、合格なのか?|49歳、人生の第二の柱へ。第2話

第2話|「合格範囲内」って、合格なのか?

「合格範囲内」

……ん?

合格範囲内?

これ、受かったってことなのか?

それとも「合格する可能性がある範囲」ってことなのか?

2度目の試験は、正直まったく自信がなかった。

むしろ1度目の方が手応えはあったくらいだ(笑)。

だから画面にその文字が出ても、すぐには喜べなかった。

何度見ても、

「合格範囲内」

……いや、だからどっちなんだ(笑)。


結果は後日プロメトリックから届いた。
「合格基準点以上」…ん?だからどっちやねん!!!

説明によると「合格基準点以上となった場合、指定試験機関からの通知を持って正式な合格となります。」とある……

と言う事は

そう、無事に合格したのだ!


意味を確認して、ようやく分かった。

やったぁ…受かった…

正直、湧き上がる喜びというより、もうあのしんどい学科の勉強をしなくていいんだぁ、と言う安堵のため息混じりの「やったぁ。」でもあった。

一等無人航空機操縦士の学科試験を、突破した。

会場を出て車へ、ここでようやく小さくガッツポーズ。

「よし!」

「終わった……」

ドアを閉めて一人になった瞬間、涙が出た。

49歳にもなって、試験に受かって泣くとは思わなかった(笑)。

でも、それだけ必死でそれだけ大変だった。

48時間の学科講習。

聞いたこともない法律やルール。

暇さえあれば問題集。

大量の付箋。

社会人、仕事を終わってから子供のお迎え、クラブ活動の送り迎え、帰ってきてからの家事。
そんな中での勉強。
足りない時間…

そして1度目の不合格。

もう一度勉強して、ようやくたどり着いた合格だった。


ただ――

ここで終わりではない。

むしろ、一等無人航空機操縦士になるための本当の緊張は、ここからだった。

実地講習のため、千葉へ


次に待っていたのは実地講習。

数日間、千葉に泊まり込んでドローンを飛ばす。

家族と離れて、4泊5日。

これが地味にきつかった。

普段なら仕事が終われば家に帰る。

家族がいる。

でも、この数日間はホテルと講習場所の往復。

ホテルに戻ってもゆっくり休めない、何故かと言うともちろん試験勉強だ。

ホテルから現地までは片道1時間ほど。

なんでそんなに遠いのかと言うとホテルを取る頃はまだ明確な場所が決まっておらず、

この辺、みたいな感じだったから安いところを探して取ってみた。

が、当てが外れ、結果的に微妙に遠い場所となった(笑)。

朝が早いので遅刻しないように起きなくてはいけないから夜遅くまで勉強していられない、

でもなんだかんだAM2時頃まではやっていただろうか。

家族とテレビ電話でもすれば少し気が楽になったのかもしれない。

でも、あえてしなかった。

顔を見たら帰りたくなるし気が緩むと思ったからだ(笑)。

今はとにかく、

「全部終わらせて帰る」

それだけ考えることにした。

飛ばせばいいだけではなかった


最初は、

「学科より、実際に飛ばす方が楽なんじゃない?」

そんな気持ちも少しあった。

甘かった(笑)。

もちろん、ドローンを決められた通りに飛ばせなければならない。

でも、それだけではない。

機体の確認。

飛行前の点検。

周囲の安全確認。

試験官からの質問。

飛行後の点検。

記録。

覚えることが山ほどある。

しかも本番では、

「飛ばすこと」



「試験官に正しく答えること」

を同時にやらなければならない。

普段なら普通にできる操作でも、

「これは試験だ」

と思った瞬間、別物になる。

そして、修了審査の日


いよいよ本番。

まずは机上試験、実技なのに学科試験がある(笑)全体を通して持ち点100点の減点方式、

正直実技は飛ばすまで何点減点されるか予測ができない。
そうそう、ちなみに一等は野外での試験となる。

だから風がもちろんあるし更にATTIモード(GPSやビジョンセンサー等の水平位置制御がOFFの状態)で飛ばさなければならない。

2等の体育館、GPS、各センサー類ONとは違い難易度が格段に跳ね上がる。

そう言うこともあり机上試験では1点も落とせないのである。

この日のことは、今でもかなり覚えている。

緊張で、

手が震えた。

本当に震える(笑)。

プロポを持つ手に力が入る。

頭では、

「いつも通りやればいい」

と思っている。

でも体が言うことをきかない。

試験官の指示に従って機体を飛ばしていく。

決められた飛行。

決められた位置。

決められた操作。

そして補助試験官がドローンに追従しながら位置を見ている。


そのときだった。


「逸脱!」


大きな声で手があがる。


ドキっ!


あれは怖い(笑)。


決められた範囲から外れたということだ。

当然、減点。

でも試験中だから、

「今ので何点引かれた?」

なんて考えている余裕はない。

そのまま続けるしかない。


また飛ばす。

指示に答える。

また操作する。


そして――


補助試験官の手が上がりかける。それは逸脱のラインギリギリを飛んでいるということだ。
ヤバい!

心の中では完全に焦っている。

何点残っている?

あと何回ミスしたら終わる?

分からない。

でも途中で止めるわけにはいかない。


冷静に…落ち着け、とにかく最後までやる


そこからは、

「上手くやろう」

というより、

「最後まで終わらせる」

それだけだった気がする。

ちなみに一発アウトラインもある。
そこを超えたら即終了、制御を試験官に強制的に奪われ不合格。

だから手が震えるほど緊張するのだ。

周囲を確認する。

機体を戻す。

着陸させる。

飛行後の点検。

必要な確認。

震える手でなんとか記録を記入。

一つずつ終わらせた。


全部終わった。


無事に戻って来れたとしても合格したかどうかは分からない。


審査員同士が確認している。

待っている時間が、とにかく長く感じた…


頼む。

頼むから残っていてくれ。


約100万円をかけて始めた挑戦。

家族に、

「絶対に途中でやめない」

と言って始めた挑戦。


ここまで来たんだから。


そして結果が告げられた。

80点!


一等の合格ラインは80点。


つまり――


合格。


…………。


ギリギリじゃん(笑)。


でも80点は80点だ。

満点でも80点でも、

合格は合格。


しかも私は、そのグループで最初に飛ばした。

そして最初に合格した。

一緒に講習を受けていた仲間たちが、

「おおー!やったー!おめでとう!」

と喜んでくれた。

あの瞬間は本当に嬉しかった。


そして最終的にみんな合格できた。


これで終わった。


……わけではなかった(笑)。


私には、まだ次が残っていた。


別日に「目視外飛行」と「夜間飛行」の限定変更。
またも千葉へ。

そして目視外の審査で私は、

離陸してすぐにやらかす羽目になる。



――つづく。


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