第3話|離陸してすぐ、やらかした!
まさかあそこでそんなミスをするとは…この時の私は1ミリも思っていなかった。
一等無人航空機操縦士の実地講習と修了審査を終え、
80点。
合格ラインも80点。
本当にギリギリだったけど、なんとか合格。
でも、実はまだ終わりじゃない。
別日に「目視内飛行に係る限定の変更」と「昼間飛行に係る限定の変更」の限定変更を受けるため、
私は再度千葉へ向かった。
またあの緊張が蘇ってくる…
今回も同期の仲間たちと一緒。
さらに、同スクール卒業生の先輩方も限定変更を受けに来ていた。
まずは、
目視内飛行に係る限定変更(目視外飛行)。
要するに、機体を直接見ずに操作できるようにするための限定変更。
送信機のモニターに映るドローンカメラの映像を見ながら飛行する。
機体点検、飛行前点検、口述試験などを行い、離陸。
その後は機体に背を向け、モニターを見ながら試験官の指示に従って課題をこなしていく。
背中を向け…「えっ⁉︎」
そう真後ろを向くのだ。
初めは慣れなかったが何度か練習はできた。
そんな中、仲間たちが続々とクリアしていく。
みんなよく頑張っている。
他人事ではない(笑)
そして、
私の番・・・あの時の緊張が蘇り手が震え出す。
離陸。
上昇。
ここまではいい。
試験官から指示が出る。
「180度回頭し、目標Aに向かってください」
(よし、練習通りやればいいだけ、練習では出来ていた。)
そして私は――
何を思ったのか、そう、180度回頭するのを忘れた。
いや、思ったんじゃない、緊張のあまり頭が真っ白になり回頭したつもりになっていたのだ。
もちろん気付いていないので、そのままA地点へ進もうと前進させる。
当然だけど、
進んでもA地点が出てこない。
「あれ?」
目視外だから、機体を直接見ることはできない。
頼れるのは、目の前にあるモニターの映像だけ。
でもドローンのカメラに映っているのは、限られた範囲。
A地点がない。
機体の向きを振って探してみる。
それでも分からない。
焦る。
完全に動揺した。
一度焦ってしまうと、もう立て直せなかった。
(終わった・・・)
結果――
もちろん不合格。
やってしまった。
最初の180度回頭を忘れた・・・
が、まだ終わりではなかった。
目視内飛行に係る限定変更の審査は、その日もう一度挑戦する機会があった。
再度受けられる喜びと、もう絶対失敗できないという気持ちが込み上げた。
他の受験者が終わったあと、
不合格者にとって2度目の最終試験。
今度こそ、本当に後がない。
これでダメならアウト。
遠方まで来た意味が無くなってしまう。
気を引き締めて、
もう一度。
離陸。
上昇。
そして――
何を思ったのか、また回頭せずに進もうとしてしまった。
……
一瞬、間があり、はっ!と気づいた。
180度回頭。
すると、
A地点が見えた。
今度は無事にA地点へ移動。
そこからは気持ちも落ち着き、大きく崩れることなく指示された課題をこなしていく。
そしてホームポイントまで戻り、
着陸。
まだ安心はできない。
口述。
飛行後点検。
記録。
すべて終わった。
あとは結果を待つだけ。
試験官たちが採点を確認する。
結果は――
88点。
合格。
試験官から一言。
「余裕だろ!」
いやいやいや。
私たちに余裕の一言はありえないw
一回落ちて、
2回目も同じことをやりかけてるんだから(笑)
一時は本当にどうなることかと思ったけど、
これで、
目視内飛行に係る限定変更、突破。
でも、この日はまだ終わらない。
残っているのは、
昼間飛行に係る限定変更(夜間飛行)。
こちらは、夜間でも飛行できるようにするための限定変更。
そしてその夜、
目前で見たものは・・・
――つづく。
