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溢れる日本語愛

私の友人に東南アジアのとある国出身の方がいる。高校生の頃から日本語を勉強しはじめ、ずっと勉強を続けている。

その友人の「日本語愛」がものすごい…

たとえば、お笑い番組を見ていて、「案の定」という言葉が聞き取れたとする。すぐに調べはじめて、例文を記憶する。
「怪しいと思っていたら、案の定彼女は嘘をついていた」
すぐに、周りの人に「案の定」を使い出して記憶する。いつもそんな感じだ。

その友人が数ヶ月、沖縄に滞在した事がある。

その時彼が言っていた日本語の悩みは「会話で尊敬語と謙譲語のつかいわけが自然に出てこない」だった。

→ 私も自然に出てこない(笑)。

偶然その時期、私の母が病気で入院していたので一緒にお見舞いに行った。その時、母のベッドの隣にいた親子が大きな声で話していた。彼の顔が見る見る青ざめていった。全くリスニングができなかったからだ。

→私も何言っているかよくわからなかった(笑)

母から、「人口30万の那覇市の中でも、地域によってはイントネーションが変わる。そもそも本土の日本語と沖縄の日本語は違うと思ったほうがいい。聞き取れないのも仕方がない。」と慰められていた。

ある時、彼は那覇から首里行きのモノレールに乗っていた。勉強熱心な彼は、モノレールの中で漏れ聞こえてくる日本語にいつも耳をすませる。

「ちんぴらこぼう」

という言葉が耳に入ってきた…彼はプライドがあるのですぐに日本人に聞いたりしない。すぐに自分で調べ始める。あらゆる漢字の可能性を考え、できる限りのことをする。沖縄の方言なのか…彼は悩む…。

彼の脳裏には、ガラの悪い日本人男性が両手でゴボウを握っている映像がずっと浮かんでいる。

謎が解けないまま、偶然通りかかったスーパーの惣菜売り場で「きんぴらごぼう」を発見して膝から崩れ落ちそうになる。

「でも、ゴボウのイメージはあっていた…」

ひどく落ち込んで…発音がダメだと思った彼は、好きな日本のドラマを全話見返し、ジブリの映画を繰り返し見る…

溢れる日本語愛だ。

彼は沖縄にいる間、沖縄の言葉が会話の中にたくさん入っている事に気づいた。それで沖縄の言葉を覚え出した。

フーチバー(よもぎ)
ユタ(霊能者)
トートーメー(位牌)
アガー(痛っ!)

沖縄の言葉のストックもだいぶ増えていた。

ただ心配な事がある…。
彼の横浜の日本語学校で身につけたきれいな日本語の発音が、どんどん沖縄式の発音に変化してしまっていた。これは進化なのか(笑)。

少なくとも言葉の語尾に「さ〜。」を付けるのは、日本の他の地域では辞めてもらいたい(笑)。

日本国内での日本語学習者は30万人近くいて、全世界では379万人が日本語を学習しているそうだ。

その中には、私の友人のように「溢れる日本語愛」ゆえ、日本語力の伸び悩みに苦しんでいる人もたくさんいそうだ。毎日健気に頑張っている世界の日本語学習者のことを思うと胸が痛くなる。

日本語ネイティブの一人として、できることはなんでもしてあげたいと願っている。


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