【#168 何も変わらない日にも少しずつ変わっている】
昨日と同じように過ごして、今日も大きな出来事はなくて、明日もきっと似たような一日になる。そんな時間が続いていると、前に進めていないような気がして、少しだけ焦ることがある。
もっと成長しなければ。
何かを変えなければ。
今のままではいけない。
そんな言葉を、自分の心に何度も並べてしまう。
けれど、変化というものは、いつもわかりやすい形で現れるわけではないのだと思う。
昨日できなかったことが、今日できるようになる。
何か新しいものを手に入れる。
大きな決断をする。
そういう変化は見つけやすいけれど、本当に小さな変化は、もっと静かな場所で起きている。
以前なら何日も引きずっていたことを、少し早く手放せるようになったり。
誰かの言葉を必要以上に気にしなくなったり。
自分と誰かを比べて落ち込む時間が、ほんの少し短くなったり。
苦手だった自分の一面を、以前ほど嫌いではなくなったり。
そんな変化は、数字にもできないし、誰かに報告するようなものでもない。
だから、自分でも気づかないまま過ぎてしまう。
でも、確かにそこには変化がある。
心は、昨日と今日で突然別のものになるわけではない。
少しずつ考え方が変わって、少しずつ感じ方が変わって、その積み重ねの先で、ある日ふと「前とは違う」と気づく。
それは、朝起きたら突然大人になっていた、というような劇的なものではなくて、気づけば少しだけ呼吸がしやすくなっているような変化なのだと思う。
何も変わっていないと思っていた日々も、本当は自分の中にたくさんのものを残している。
悩んだこと。
迷ったこと。
嬉しかったこと。
誰かの言葉に救われたこと。
そういうものが少しずつ心の奥に積もって、今の自分の考え方や、誰かへのやさしさや、自分自身との向き合い方をつくっている。
だから、大きな結果が出ない日を、無意味だと思わなくなった。
何も成し遂げていないように見える日にも、ちゃんと生きている。
何も決められない日にも、心の中では何かを考えている。
立ち止まっているように見える時間も、次に進むための準備になっている。
変わることは、いつも前へ進むことだけではないのかもしれない。
傷つきにくくなることも、誰かにやさしくなれることも、自分を責める時間が少し減ることも、立派な変化だと思う。
そして、そういう変化ほど、あとから振り返ったときに大切なものになっている。
何も変わらない今日も、昨日とは少し違う。
同じように見える毎日の中で、わたしの心はほんの少しずつ形を変えている。
だから、焦らなくてもいい。
目に見える何かを急いで探さなくてもいい。
今日の自分が昨日よりほんの少しやさしくなっているのなら、それだけで十分なのだと思う。
気づかないほど小さな変化を重ねながら、わたしたちはちゃんと、自分だけの未来へ近づいている。
