見出し画像

魔物は文鳥 24 淀みを払う編 4

村長の家に戻ると、村長は奥から小さな革袋を持ってきた。


「これは、今日のお礼だ」


手渡された革袋は、思ったより重かった。


「それと」


村長は置いてあった籠を持ち上げた。


「こいつも持ってけ」


中には果実が入っていた。


「裏庭にたくさん実ってな」


「ありがとうございます」


ノアは頭を下げる。


「なにか異変があったら知らせてください」


「そりゃ助かる!」


村長はノアの肩をポンと叩いた。


ノアは帰ろうとして、ふと足を止める。


「あの……」


「ん?」


「もし……」


「もし、よければ」


麻袋の紐を意味もなく触る。


「お庭のオーチャードグラス、少し摘ませていただけませんか」


早口で一気に言った。


村長は目を丸くする。


「オーチャードグラス?」


「はい」


ノアは頷いた。


「お庭にたくさんあるのが見えたので」


村長は「構わないが……」とノアを見た。


「何故そんなものを?」


「薬草の実験材料に」


ノアはにっこりと笑う。


銀色の髪がさらりと揺れた。


「そうか」


村長はテーブルの端に置いてあった紙袋を手に取った。


「好きなだけ取っていきなさい」


「ありがとうございます」


報酬の時より大きな声がでる。


ノアは紙袋を両手で受け取った。


「お庭のオーチャードグラス、
少し摘ませていただけませんか」

いいなと思ったら応援しよう!