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【コンサル的思考① 】なぜコンサルは「結論から話す」のか?

「結論から話してください」


コンサルティングの世界では、よく言われる言葉です。

その代表的な話し方がPREP法です。

Point(結論)

Reason(理由)

Example(具体例)

Point(結論)

確かに分かりやすい。
でも、最初にこれを聞くと少し疑問があります。

なぜ、そこまで「結論から」が重要なのでしょうか?
単なる話し方のテクニックなのでしょうか

実は「結論から」という考え方は、コミュニケーションだけではありません
会議の進め方や問題解決など、コンサルの仕事の進め方そのものにつながっています。

日本人は「最後に結論」が自然?


私たちは学校で「起承転結」という文章構成を習います。
背景があり、話を展開し、最後に結論へたどり着く。

日常会話でも、
「昨日、お客様のところに行ったんですけど……」
「そこで○○部長と話をして……」
「以前からこういう問題があったみたいで……」
「いろいろ話した結果……」
「来月、新しい提案をすることになりました」
という話し方をすることがあります。

最後まで聞けば分かります
しかし、聞いている側は途中まで、
「で、結局何の話?」
という状態です。

特に仕事では、これが問題になります。

コンサルは「結論」から話す


同じ話でも、結論から始めると変わります。
「来月、お客様に新しい提案をすることになりました」
まず結論を伝える

そのあと、
「なぜなら○○という課題が見つかったからです」
「具体的には現在△△という運用になっています」
「そのため□□という提案を考えています」
と説明します
これがPREPの基本です。

結論 → 理由 → 具体例 → 結論

最初に結論が分かっているので、聞き手は、
「この人は何を言おうとしているのだろう?」
と推測しながら聞く必要がありません。

代わりに、
「なぜ、その結論になったのだろう?」
と理由を理解しながら聞くことができます。

最初に結論を伝えるとは、聞き手の頭の中に「これから何の話をするのか」という箱を作ることとも言えます。

「結論から話す」は「すぐ答える」ではない


ここは意外と重要です。
質問された瞬間、
「何か答えなければ」
と思ってしまうことがあります。

頭の中が整理されていないまま話し始めると、
「あー……」
「つまり……」
「いや、そういう意味ではなくて……」
と話が迷走してしまいます。

これは「結論から話す」とは違います

分からなければ、一度考えていい
「自分は何を結論として伝えたいのか?」
を頭の中で整理する。

必要なら、
「少し考えてから回答してもいいですか?」
でも構いません。

重要なのは即答することではなく、整理したうえで結論を先に出すことです。


PREPは「話し方」だけではない


PREPというと、
「プレゼンの話し方」
「分かりやすい文章を書く方法」
というイメージがあります
しかし、この考え方は仕事の進め方にも応用できます。

例えば会議です。

ありがちな会議は、
「とりあえず関係者を集めましょう」
から始まります。

資料を説明する
営業が意見を言う
製造が意見を言う
IT部門がシステムの話をする
議論しているうちに1時間が経つ

そして最後に、
「ところで、今日は何を決める会議でしたっけ?」
となる。

これでは時間がもったいない。



会議も「得たい結論」から逆算する

例えば、新しいシステムについてA社とB社を比較する会議を開くとします。

最初に考えるのは、
「この会議で得たい結論は何か?」
です。

仮に、
「A社とB社のどちらを採用するか決める」
ことが得たい結論だとします。

すると、その結論を出すために何を議論すべきかが見えてきます。

価格は予算内なのか。必要な機能を満たしているのか。既存システムと連携できるのか。導入期間は現実的なのか。そして導入後の運用負荷はどちらが小さいのか。

必要な論点を整理し、さらにその判断に必要な情報を集める。

つまり、

得たい結論

判断に必要な論点

必要な情報

会議で議論する内容

と逆算できます。

ここまでくると、「結論から」という考え方が単なる話し方ではないことが分かります。

ゴールを先に定義し、そこから必要な仕事を逆算する。

これもコンサルの基本動作です。


ただし「結論」を作る前に、課題を疑う


ここでもう一つ重要なことがあります。
結論から話せば、それだけで良い提案になるわけではありません。

例えば、お客様から、
「在庫管理システムを導入したい」
と言われたとします。

そこで、

「結論として、弊社の在庫管理システムを導入すべきです」
「理由は在庫をリアルタイムで把握できるからです」
と完璧なPREPで説明したとします。

話し方はきれいです。
でも、本当にそれでいいのでしょうか。

そもそも、
なぜ在庫が多いのか?
を調べていません。

調べてみると、

在庫が多い

安全在庫を多く持っている

なぜ?

欠品が多い

なぜ?

需要予測が外れる

なぜ?

営業の受注見込みが生産計画に反映されていない

という構造かもしれません。

そうなると、本当に解決すべきなのは「在庫を見える化すること」ではありません
営業・需要予測・生産計画の情報連携かもしれないのです。


AIもERPもECも「課題」ではない


DXの提案をしていると、
「AIを導入したい」
「ERPを刷新したい」
「ECを作りたい」
「データをDWHに集約したい」
という話が出てきます。

しかし、AIもERPもECもDWHも、基本的には課題ではなく手段です
AIを導入すること自体が目的ではありません
ERPを刷新すること自体が目的でもありません

その前に、
「何を解決したいのか?」
を考える必要があります。

ここを間違えると、どれだけ論理的に説明しても意味がありません。

極端に言えば、
間違った目的地に向かって、論理的に全力疾走することになります。

だからコンサルでは、結論を分かりやすく伝える技術と同時に、そもそも何を問題として考えるべきなのかを見極める力が必要になります。


「結論から」は、仕事を短くするための技術でもある


ここまで考えると、「結論から話す」ことにはもう一つメリットがあります。

無駄な仕事を減らせます。

会議で得たい結論が決まっていれば、不要な資料を作らなくて済みます。
報告で伝えたい結論が決まっていれば、必要のない説明を減らせます。
提案で解決すべき課題が決まっていれば、関係のない機能を並べる必要もありません。

つまり、

結論を先に置く
→ 必要な論点が決まる
→ 必要な情報が決まる
→ やらなくていい仕事が見える

ということです。

コンサルが「結論から」にこだわる理由は、単に話を分かりやすくするためだけではない
限られた時間の中で、必要なことに集中するためでもあるのだと思います。


明日から一つだけやるなら


PREP法を完璧に覚える必要はありません。

まず、一つだけやってみる。
会議を開く前に、資料やメモの一番上に、
「この会議で得たい結論は何か?」
と1行書いてみる。

例えば、
「A社とB社、どちらを採用するか決める」
これだけです。

そこから、
「その判断には何が必要?」
「その情報は揃っている?」
と逆算する。

報告するときなら、話し始める前に、
「結局、私は何を伝えたいのか?」
を一度考える。

それだけでも、会議や報告の仕方は変わってきます。

コンサルの技術というと、ロジックツリー、3C、SWOT、MECEなど、難しそうなフレームワークを想像するかもしれません。

でも、その前にある基本動作はもっとシンプルです。

ゴールを決める。
そこから逆算する。
必要なことだけを考える。
そして、相手には結論から伝える。

まずはここからでいいのではないでしょうか

そして次に必要になるのが、
「まだ答えが分からない状態で、どうやって結論に近づいていくのか?」
という考え方です。

そこで次回の「コンサル的思考入門②」では、
「仮説を立てるとは、どういうことなのか?」
について考えてみます。

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