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漆黒の背表紙にくちづけを……SD選書『現代デザイン入門』(1965)についての覚書

黒い本が、ただ静かに並んでいるだけで、美しい——そんな光景をご覧になったことはおありかしら。

こちらはダーク・アカデミア図書館。
わたくしは館長の藤本冬蘭と申します。

この図書館では、建築、室内装飾、文学、そして少しばかりのお洋服にまつわる書物を扱っておりますの。

本日お手に取りますのは、鹿島出版会が1965年より刊行を続けておりますSD選書、その記念すべき第一巻
『現代デザイン入門』でございます。

設計事務所の書棚や、大学の建築学コーナー。
そこに整然と並ぶ、小さく、黒き書物の列。

あの光景に、胸を射抜かれたことのある方も、きっといらっしゃるはずですわ。

数年前、ふと立ち寄った100円店にて、ウィリアム・モリスの「いちご泥棒」を見つけたとき——わたくしは思わず息を呑みました。

あの、英国の深い森の気配を閉じ込めたような意匠が、たった100円で。

かつては高嶺の花であった輸入壁紙やテキスタイル。
それがいま、手のひらに収まる小さな品として売られているのです。

ミニマリストを自負する身ではありますけれど、あれを見過ごすことなど到底できませんでした。

なぜなら、モリスはこう言っておりますの。

「あなたの家の中に、あなたが有用と知り、あるいは美しいと信じないものは、一つも置かないようにせよ」


英国では、国家が美術教育に力を注いだ時代がございました。

その結果は、必ずしも「美術」の分野にのみ花開いたわけではありません。

たとえば、ビートルズ。
そして、フレディ・マーキュリー。

彼らは音楽家でありながら、視覚的感性においてもまた、卓越しておりました。

当時の英国では、アートスクール出身のミュージシャンが、自らジャケットを手がけることは、決して特別なことではなかったのです。

それはつまり——
美意識というものが、社会全体に静かに浸透していた証なのかもしれません。

古い本というものは、不思議なものですわね。

時代遅れになるどころか、むしろ未来の輪郭を、そっと指し示してくる。

この一冊もまた、そんな静かな光を宿しておりました。

さて、次にひもとくのは『現代建築12章』。

それまで、どうかごきげんよう。

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