「ささみはパサパサ」をやめたら、毎日食べるようになった焼き方
口の中の水分を、全部持っていかれる感じ。
ささみという食材に、私はずっとそういう印象を持っていました。茹でて、裂いて、サラダに散らす。ヘルシーなのはわかるけれど、噛むたびにパサパサして、飲み込むのにひと苦労。「体にいいから食べるもの」・・・つまり、我慢の食材だと思っていたのです。
そのささみが今、わが家の夜ごはんにいちばん多く登場しています。しかも我慢どころか、これが食べたくて帰ってくる日があるくらい。
変えたのは、たったひとつ。フライパンにオリーブオイルを引いたことでした。
■ きっかけは、味ではなく「包丁を握る時間」だった
正直に書くと、ささみに変えた理由は、健康でも味でもありませんでした。切るのが面倒だったからです。
それまでよく作っていたのは鶏むね肉。おいしいのですが、大きいので、そぎ切りにするのに時間がかかります。疲れて帰った夜、まな板の前で何度も包丁を入れて、厚みを見て、また入れて・・・その判断の積み重ねが、地味にこたえる。
日中さんざん動き回ってきた私には、夜、細かい判断を重ねる余力がもう残っていないのです。
その点ささみは、半分に切るだけ。包丁を入れる回数は、たった1回。
手抜きのつもりで始めたのに、食べてみたら、こちらのほうが美味しかった。
■ 材料(1人分)
ささみ:1本
オリーブオイル:フライパンにさっと
ピンク岩塩:適量
3種のレタス:お好きなだけ
■ 作り方
ささみを半分に切る(包丁の出番はこれで終わりです)
オリーブオイルを引いたフライパンで、弱めの中火でじっくり焼く
お皿に3種のレタスを広げ、焼けたささみを並べる
ピンク岩塩をパラパラと振って完成
焼いているあいだ、私は何もしません。ジュッという音がだんだん静かになっていくのを、ぼんやり聞いているだけです。
■ 鶏むね肉には油を引かないのに、ささみには引く理由
以前、鶏むね肉の蒸し焼きをご紹介したとき、私は「油は一切引きません」と書きました。今回と正反対です。
矛盾しているようですが、私の中では同じ基準でした。
むね肉は脂が少ないぶん、旨味のほとんどが水分の側にあります。だから足すより、逃がさないほうが美味しい。
けれどささみは、その水分すら少ない。持っていないものは、さすがに足さないと届かないのです。
引き算というのは、何も足さないことではなくて、「その素材が持っていないものだけを、最小限だけ足す」こと。
だからこのオリーブオイルは、味付けではありません。ささみに足りないものを、ほんの少し補っているだけ。そう考えると、調味料はピンク岩塩ひとつで足ります。
■ 50代の夜に、たんぱく質を「続ける」ということ
50代になったら、たんぱく質を意識したほうがいい。よく聞く話です。
でも「毎日しっかりお肉を食べましょう」と言われると、夜の私にはハードルが高い。頑張って食べるものは、たいてい続かないからです。実際、むね肉の日はだんだん間隔が空いていきました。おいしいのに、下拵えを思い出した瞬間に手が止まるのです。
続けるために必要だったのは、栄養の知識でも意志でもなくて、包丁を入れる回数を1回に減らすことでした。
「頑張って食べる」から「気づいたら食べている」へ。私にとってその境界線は、たぶんそのくらいの場所にあります。
■ 判断の少ない夜が、いちばん優しい
レタスの上にささみを並べて、岩塩を振る。それだけのお皿を前にすると、一日じゅう跳ね回っていた私が、ようやく静かになります。
刺激を求めて出かけていくHSSの私と、その刺激で消耗して帰ってくるHSPの私。HSS型HSPの一日は、だいたいこの往復で終わります。だからこそ夜の食卓は、判断の回数がいちばん少ないほうがいい。
包丁を1回入れるだけ。油をひとまわし。塩をひとつまみ。
そのくらいでちょうどよくて、そのくらいだから、続いています。
■ あわせて読みたい
油を「引かない」ほうの鶏肉料理は、こちらに書きました。
https://note.com/loyal_curlew839/n/n46bfb4590683
同じ考え方で作っている、お昼のお弁当です。
https://note.com/loyal_curlew839/n/n9b2f493d3837
