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熱帯夜② #シロクマ文芸部
熱帯夜には必ずベランダに出る。
日中の鎧の代わりに、生ぬるい空気がまとわりつく。
クーラーのよく効いたマンションの部屋からはテレビの音だけが漏れてくる。
室外機の音、車の走行音、どこからか聞こえてくる笑い声。
私は今外側にいる。
私の世界の外側に。
そして、熱帯夜を彷徨い、懐かしい場所へ辿り着く。
静かな夜、寝る前に僕はベランダへ出る。
窓を閉めた瞬間、そこは僕の世界の外側になる。
“僕”から少し距離を取る。
熱帯夜に目を細め記憶を探る。
不意に懐かしい声が問いかけてきた。
なんでこうなったんだっけ?
忘れたよ
忘れたらまた繰り返しちゃうじゃん
次はもう少し上手くやるよ
あの頃よりはね
僕は、
私は、
忘れたくない記憶に引っ張られ、
何度も立ち止まり、あなたの面影を探してる。
熱帯夜の中、ベランダに出てあなたを想う。
何十年後か、たとえ来世であったとしても、
再び交差するその時が来るまで、
この想いが消えないように。
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